1月末に亡くなった元NBA選手のコービー・ブライアントと娘のジアナ・ブライアントの追悼式が開催された。(フロントロウ編集部)

追悼式が開催

 米時間1月26日(日)にヘリコプターの墜落事故により、41歳の若さで急逝した元NBAのスーパースター、コービー・ブライアント。彼とともに亡くなった13歳の次女ジアナ・ブライアント、そして、彼女が所属していたジュニア・バスケットボールチームのチームメイトたちやコーチ、大学野球のアメリカ代表のコーチを務めたジョン・アルトベリ監督とその家族を含む計9名の犠牲者を追悼するメモリアル『A Celebration of Life Kobe & Gianna Bryant(ア・セレブレーション・オブライフ コービー&ジアナ・ブライアント)』が現地時間2月24日(月)に行なわれた。

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 コービーが現役時代にロサンゼルス・レイカーズ(以下、レイカーズ)の一員として何度もコートを踏みしめた、カリフォルニア州ロサンゼルスの屋内競技場ステイプルズ・センターで開催された追悼式には、2万人余りの人々が参列。

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 全身黒の喪服を着用した人々のほかにも、コービーが着けていた背番号のユニフォームを着用する参列者の姿も多くあり、生前のコービーと家族ぐるみで親交があったシンガーのジェニファー・ロペスは、コービーの背番号「24」とジアナが着けていた背番号「2」を施したネイルアートを取り入れて追悼式に参加した。

画像: 恋人で元メジャーリーガーのアレックス・ロドリゲスとともに会場を訪れたジェニファー・ロペス。

恋人で元メジャーリーガーのアレックス・ロドリゲスとともに会場を訪れたジェニファー・ロペス。

 会場には、NBA選手のステフィン・カリー、ラッセル・ウェストブルック、ジェームズ・ハーデン、アンソニー・デイビスらが駆けつけたほか、ラッパーのスヌープ・ドッグ、LL・クール・J、ラッパー兼俳優のクイーン・ラティファ、俳優のガブリエル・ユニオン&ドウェイン・ジェイド夫妻といったセレブたちの姿もあった。


ゆかりのあるアーティストたちがパフォーマンス

 追悼式のオープニングを飾ったのは、シンガーのビヨンセ。真っ白な衣装を着た聖歌隊を引き連れてステージに登場したビヨンセは、「私はコービーを愛している。だから、今ここにいます。これは彼が生前愛してくれた曲です」と、コービーのお気に入りだったという自身の楽曲「XO」をパフォーマンス。

 続けて、宗教画などで聖人の頭の後ろに描かれる「後光」を意味するタイトルの楽曲「Halo(ヘイロー)」を披露した。

 さらに、追悼式の終盤では、シンガーのアリシア・キーズがベートーヴェン作曲の『幻想曲風ソナタ』をレイカーズのチームカラーの1つである紫のピアノを使って演奏。

 この曲は、じつは、ストレス解消や緊張をほぐすためにピアノを弾くことを好んでいたというコービーが、妻ヴァネッサのために独学で学び、たった2週間ほどでマスターしたという逸話がある、夫妻にとっては思い出の曲だった。

 さらに、シンガーのクリスティーナ・アギレラは、シューベルトの「アヴェ・マリア(エレンの歌第3番)」を歌唱した。

画像: ゆかりのあるアーティストたちがパフォーマンス

人気コメディアンが涙の弔辞

 コービーとジアナの思い出の写真の数々がスクリーンに表示されると、続いて、同メモリアルの進行役的役割を担ったコメディアンのジミー・キンメルが登場。

画像: 人気コメディアンが涙の弔辞

 司会を務める米人気トーク番組『ジミー・キンメル・ライブ! 』でいつも見せている陽気で饒舌な様子からは一転、友人であり、ファンとして慕っていたコービーの突然の死を未だ消化しきれていない様子で、時折涙で声を詰まらせながら、「今回の事件から、なんとかポジティブな何かを見出そうとしてきましたが、とても難しい。なぜなら、ポジティブなことなどほぼ無いからです。でも、私が何とか見つけることができたのは『感謝』です。私たちにできるのは、彼らとともに過ごすことができた時間、そして残された私たちが共有することができる時間に感謝するということ。それだけです」と語った。


コービー妻が夫と娘の人生を回想

 ジミーの紹介で檀上に立ったのが、最愛の夫と娘を一度に失うという悲劇に見舞われたコービーの妻ヴァネッサ。

 したためてきた手紙を涙しながら、なんとか読み上げたヴァネッサは、父の背中を追ってバスケットボールに打ち込みながらも、学校ではつねに成績優秀で、「いってきます」と「いってらっしゃい」のキスを毎日忘れずにしてくれたという次女ジアナの心優しく、周囲の人を明るくする性格を振り返り、さらに、まだ10代ながら、スポーツ界における女性の地位を向上させ、男性選手たちとの賃金格差を無くしたいというレポートを書くほど、志を高く持っていたジアナを誇りに思うと語り、生きていれば将来は「WNBA(※2)で最高の選手になれたはず」と無念を口にした。

※2 女子プロバスケットボールリーグ)

画像: コービー妻が夫と娘の人生を回想

 さらに、夫コービーについては、自分にとって、彼は有名人やバスケットボール界のスタープレーヤーなどではなく、「愛すべき夫にして、美しい父親でした」と語り、彼を”ソウルメイト”、“最高の夫”と呼んだヴァネッサ。

 自身がコービーにとって初めてのガールフレンドであり、初恋の相手だったこと、そして初めての妻であり、親友であり、ときには保護者のような存在となり、彼を支えながら、とともに人生を歩んできたことを追想した彼女は、お互いに正反対の性格だったからこそ、パートナーとして最高の関係が築けたこと、現役引退後には、コービーが率先して娘たちの送り迎えをしてくれたこと、そして8ヵ月になった末っ子のカプリちゃんが「パパ」と言えるようになったのをコービーが死の少し前に耳にすることができたことがせめてもの救いだったと語った。

ヴァネッサとの間に誕生した4姉妹の父だったコービー。写真はコービーの死後にヴァネッサが公開した2019年のクリスマスカード用に撮影されたもの。

 夫と娘に先立たれてしまったことについて、ヴァネッサは、「きっと神様は、2人(コービーとジアナ)がお互いの存在なしではこの地球上に存在することはできないということをご存知だったのでしょう。彼らを一緒に天国へ連れて行かなければならなかったのです。コービー、ジジ(※1)をよろしくね。ナタリア(長女)とビアンカ(三女)、末っ子(四女)のことは私にまかせて。私たちはまだ、最高のチームよ」とスピーチを締めくくった。

※1 ジアナのニックネーム


“バスケの神様”が号泣

 追悼式では、レイカーズのジェネラル・マネージャーのロブ・ぺリンカや女子バスケ界の名ブレイヤーのダイアナ・トーラジやサブリナ・イオネスク、現役時代からのコービーの友人であり、宿敵とも言われたシャキール・オニール、そして、コービーにとってはNBAの大先輩にあたり、世界中のバスケファンから“バスケの神様”と呼ばれるマイケル・ジョーダンも弔辞を述べた。

 自分を慕い、スキルを盗みながらバスケの腕を磨いてきたコービーをまるで弟のように可愛がっていたマイケルは、スピーチをしながら号泣。

画像: “バスケの神様”が号泣

 過去に自分の泣き顔がネット上でネタにされたことを引き合いに出し、「じつは妻には、弔辞は辞退しようかと話していた。だって、また自分の泣き顔が3、4年間もネット上でネタにされるのは見たくなかったからね」と笑いを誘いつつ、「コービーが死んだ時、私の一部も死んだ」とコメントして涙も誘った。


  2時間以上におよんだ追悼式は、コービーが脚本・ナレーションを担当し、第90回アカデミー賞で短編アニメ賞を獲得した『親愛なるボール』(2015年)からの映像でフィナーレ。会場を後にする参列者たちからは、「コービー!コービー!」というコールの大合唱が巻き起こった。

 メモリアルの模様はライブ配信され、ツイッターでは「#Kobe」、「#KobeFarewell」、「#Vanessa Bryant」という関連ハッシュタグがワールドトレンドの上位を占めた。

 追悼式の全編はレイカーズが公式YouTubeチャンネルで公開した下の動画で視聴できる。

 コービーとジアナを含む乗客9名の命を奪った墜落事故を受け、妻ヴァネッサは、ヘリコプター会社アイランド・エクスプレスと生き残ったパイロットを相手取り、訴訟を起こしている。(フロントロウ編集部)

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