毎年3月8日は国際女性デー。今年のテーマと、その“ポーズ”もご紹介。(フロントロウ編集部)

2020年のテーマは「平等のための1人」

 2020年3月8日の国際女性デー、テーマは「平等のための1人」! 個人が力を合わせて男女平等を実現していこうと訴える国際女性デーの主催団体IWD(International Women’s Day)は、ホームページで世界中の人々にこうメッセージを送った。

「個人として、私たちはみんな自分の考えや行動に責任があります。1日中、毎日。私たちは積極的に、ステレオタイプに異議を唱え、偏見と闘い、視野を広げ、状況を改善し、女性の功績を称えることができます。私たち一人ひとりが集まれば、男女平等の世界を作り出すことができるのです。みんなで# EachforEqual(平等のための1人)になりましょう」

 平等のための1人というテーマについて、IWDはさらにこう説明する。

「平等のための1人は、“集団的個人主義”です。国際女性デー2020のキャンペーン・テーマは、“集団的個人主義”の人々から成り立っているのです。私たちは、全体の一部です。私たち個人の行動や会話、態度や考え方は、私たちの大きな社会にインパクトを与えます。集団的に、私たちは変化を作ることができます。集団的に、私たちは男女平等な世界を作る手助けができます。私はみんな、平等のための1人になることが選べます」

 その他にも、IWDは「平等のための1人」のポーズを取り、写真をSNSに公開する企画も応援。両手を横にし、平行に並べるスタイルが、今年のポーズだという。

日本では何が問題?

 2020年は、じつは日本の性別間における格差を解消に向けた取り組みにとっても重要な年。というのも、2010年に日本政府は、2020年までに「あらゆる分野の指導的地位に占める女性の割合を30%程度に」という目標を掲げていたから。

 しかし、2018年に帝国データバンクが発表したところによると、日本における女性社長の比率は7.8%。東京商工リサーチによると、同年の上場企業3,490社の女性役員の比率は4.2%となっている。また、2019年3月のIPUの発表によると、日本の衆議院における女性議員の割合は、なんとたったの10.2%。さらに、2019年12月に発表された各国のジェンダー・ギャップ指数では、政治分野で144位となり、153ヵ国中のワースト10に入るほど。総合でも121位という結果となり、日本では男女格差が色濃く残っていることが明らかにされた。

画像: 日本では何が問題?

日本の性教育や制度は非常に遅れている

 社会において、決定権を持つ立場に女性が少ないことは、女性の権利や健康を守る性に関する制度や性教育においても、深刻な影響を及ぼしている。

 例えば、2019年6月に開かれたアフターピルについてのオンライン診療検討会では、「若い女性は知識がない」「若い女性が悪用するかも」という驚きの意見が委員から飛び出したが、そんな検討会の委員のうち女性は1人だけだった。

 避妊方法に関して、海外では無料でできることもあるIUS/IUDや避妊インプラント、低用量ピルや避妊シールが、日本では数万円かかることが多い。また、日本で82%のカップルが行なうコンドームでの避妊は、性感染症を防ぐには有効だけれど、妊娠する可能性のある女性自身が主体的に身につけられるものではなく、男性がコンドームをつけてくれないと悩まなくてはいけない状況にいる女性は多い。さらには、性教育の欠如の影響も考えられる、避妊していることにはならない腟外射精も避妊方法として19.5%が行なっていると、2016年の日本家族計画協会の調査で明らかになっている。

画像: 日本の性教育や制度は非常に遅れている

 2018年には、東京都足立区内の中学校で行なわれていた保健体育の授業で、「性交」という単語が使用されたことを、自民党の都議会議員である古賀俊昭氏が「不適切」だとし、都の教育委員会が、区の教育委員会に指導する出来事が発生。専門家たちは、教育現場への不当介入だと反発した。古賀俊昭氏は、2003年にも都内の学校の性教育を批判・教材を没収するなどし、教育における「不当な支配」を行なったとして、最高裁判所より、原告である教員らに賠償金の支払いを命じられている。

世界の性教育は?

 ユネスコの研究では、学校や家庭で行なわれる性教育は、性行為や、リスクを高める行為、STI/HIV感染率を高めないと明らかになっているうえ、避妊だけでなく感染症にも触れる教育であると、より効果的であると結論づけている。ユネスコが推奨する包括的な性教育(Comprehensive sexuality education )は、子供たちに自身の健康や尊厳を気づかせ、敬意のある社会的・性的な関係の築き方を教えることを目標としており、5歳からスタートするものになっている。

画像: 世界の性教育は?

 また、国連の調査によると、イタリア、ドイツ、スイスなどのヨーロッパ諸国では、10代の子供が産んだ新生児の割合は、1000人の新生児のうち4人以下と低くなっている。また、続いてスウェーデン、フランス、オランダ、デンマーク、ベルギーも1、その割合が1000人中5人から6人となっており、専門家は、該当の国で性教育が進んでいること、またその内容が、性行為は普通のことであると伝え、抑圧的ではないことが結果に繋がっていると分析している。

 一方で、アメリカではその割合は1000人中30人と高く、その原因として、性教育が抑圧的であり、また、教育の中で妊娠や感染症には触れず、避妊だけを教えるものであることにあると指摘されている。ちなみに厚労省統計によると、日本におけるその割合は1000人あたり10.5人となっている。

 女性の社会進出や、性教育など、様々な分野で遅れをとっている日本。2000年代に入って20年が経った今年こそは、ひとりひとりが「平等のための1人」となって、小さくても声を出していきたい。(フロントロウ編集部)

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