スポーツユニフォームの広告で、女性だけポーズが違う! 性差別だとママパパから批判の声が沸き上がった。(フロントロウ編集部)

女性だけポーズやコーディネートが違う

 3月8日の国際女性デーに合わせ、3月の1ヵ月間は女性の権利のために闘ってきた人々を称える女性史月間となっている。そこで今回は、衣服において女性差別が指摘されたイギリスの事例をご紹介。

 2019年に開催されたFIFA女子サッカーワールドカップ。スコットランドに住むサイモンは、2人の子供たちと一緒に試合を観戦するため、スコットランドサッカー代表のユニフォームを購入しようと、公式販売者であるJD Sports(ジェイディースポーツ)の公式オンラインサイトをチェック。すると、そこであることを発見したサイモンは、怒りからツイッター上で、スコットランドサッカー協会とJD Sportsにメッセージを送った。

 「子供たちを女子ワールドカップに連れていくため、全員に新しいTシャツを購入しようと思いました。そこで、説明してほしいのですが、なぜ公式販売者のJDスポーツは、男児と男性はアスリートとして表現し、女性モデルだけは“伝統的”に表現されているのでしょうか。# everydaysexism(毎日起きている性差別)」

 この時JD Sportsのサイトでは、男性モデルと男児はトップスもズボンもユニフォームを着て、普通にスッと立っているのに対し、女性モデルは、ダメージジーンズを着て脚を広げ、髪をセットし、含みのあるポーズを取っていた。女性ばかりがサッカーとは関係のないポーズを取らされていることに、サッカーに熱中する娘を持つサイモンは激怒。ツイートの最後には、everydaysexism(毎日起きている性差別)というハッシュタグをつけた。

 続けてサイモンは、「ところで、私の娘はサッカーをします。他の数千の少女たちがしているようにね。これによって、どのような考えが彼女たちに植えつけられてしまうのでしょうか?」と言い、女性だけが性別にとらわれた表現をさせられていることは、自由に生きている幼い子供達の価値観にも大きく影響すると苦言。さらに、サイトで見つけたほかの問題点も指摘した。

 「別の問題もあります。あなたたちは、男性、女性、そして男児用のセットを販売していますが、女児のものはありませんね。サッカーは男児のものだというメッセージにほかなりません。そしてそれは、スコットランドサッカー協会が望む、より多くの女の子たちにサッカーをしてほしいという目標に沿っていません。もし子供用のセットがユニセックスなのであれば、それを『子供用』と呼んで、男児の横に女児のモデルもいるべきです」

 サイモンのこの指摘には、女性たちだけでなく、子供を持つ両親や、子供と関わる仕事に就いている人々などからも大きな賛同が寄せられ、スコットランドサッカー協会は謝罪コメントを発表。JD Sportsに該当の写真を取り除くことを要請し、新しい写真に差し替えた。

子供服のデザインにも性差がある

 子供服のデザインにおいては、これまでも多くの少女や母親が声を上げてきた歴史がある。

 2016年には、イギリスに住む8歳のデイジーが、子供服売り場で撮影した動画が広くシェアされた。デイジーは、女の子用の服には「こんにちは!」「美しい」「良い気分」といった文字が並び、男の子用の服には「砂漠のアドベンチャーが待っている」「枠を越えて考えろ」「ヒーロー」といった言葉が並んでいることが、「フェアじゃない!」と批判。性別によって期待されることが変わるのは良くないと言って、デザインを性別で分ける必要はないと訴えた。

 また、イギリスの大手スーパーマーケットMorrisonsやASDAで売られていた子供服で、女の子用の服には「大きな笑顔」といった言葉が多く、男の子の服には、「大きなアイディア」「男の子だから仕方ない」といった単語が使われていた時には、多くの両親が声を上げた。同様の出来事はアメリカでも起きており、ファッションブランドであるギャップ(GAP)の子供服キャンペーンでも、女の子には「社会の蝶(※)」、男には「小さな学者」という言葉が使用され、多くの人から批判が相次いだ。
 ※英語ではSocial Butterfly。社交的、明るい人などといった意味を持つ比喩表現。

 広告での表現や、洋服のデザインで女児と男児に差が出ている問題は、世界的に起きていること。幼い頃からこういった差がまわりにあることは、子供たちの間でも性差別やステレオタイプを助長し、子供たちの可能性を狭めてしまう大きな問題だと指摘されている。(フロントロウ編集部)

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