臨時休業中のイケア店舗に「ある施設」がオープン
スウェーデン発祥のホームファニッシングカンパニー、イケア(IKEA)は、新型コロナウイルス(Covid-19)の世界的流行の影響下にある顧客やコミュニティ、従業員らに対し、さまざまな支援を行っている。
世界30か国のコミュニティに対して約33億円(2,600万ユーロ)相当の現物寄付を行ない、感染リスクの高い人々やその救済にあたる医療従事者らを優先して、フェイスマスクや手袋といった防具、さらに、病院や医療センターで使用するためのベッドや寝具、食品やおもちゃといった必需品の寄付を行なったことを明らかにした同社は、現在、感染拡大が懸念される世界各国の店舗の多くを臨時休業し、ウイルスの感染拡大防止に努めている。
そんなイケアのイギリス国内のある店舗の駐車場が、今、新型コロナウイルス感染症の最前線で働く人々や、そのほかの市民にとっても「最も必要とされている場所」の1つへと変貌を遂げた。
ロンドン北西部の町ウェンブリーにあるイケア店舗の巨大駐車場にオープンしたのは、政府運営の医療機関、国民保健サービス(NHS)で働く医療従事者たちを対象にドライブスルー方式で新型コロナウイルス感染判定検査を行う検査所。
これは、国全体で見ても検査件数が少なく、医療従事者への検査体制の整備も他国と比べて不十分だというイギリス国民からの反発や不安な声を受けて設置された対策の1つ。
現地時間3月31日にオープンした検査所には、医療従事者たちが運転する自家用車が長蛇の列を作った。
課題は残されている
検査所として場所を提供した初の商業施設となったイケア・ウェンブリー店について、イケアの広報は、「わずかながら政府とNHSを支援できることを非常に誇りに思います。このほかにも、国家全体としての努力をサポートするために使える場所が無いか模索しています」と、今後も必要に応じて、ほかの店舗の駐車場を検査所設置のために提供する可能性について英Standardに示唆している。
イギリスでは、ロンドン南西部チェシントンにあるテーマパーク、チェシントン・ワールド・オブ・アドベンチャー・リゾートの駐車場にも、医療従事者向けの新型コロナウイルス判定検査のためのドライブスルー検査所が設置された。
現時点では、検査を受けるには、事前の予約とそれを証明するメールの提示が必要となるため、検査を求めて検査所を訪れたものの、残念ながら断られてしまったといった医療従事者たちからのクレームも寄せられており、まだまだ課題は残されている。(フロントロウ編集部)