歴史あるファッション誌のVogueだけれど4月号の表紙が真っ白になっている。これまでになかった真っ白の表紙に込められた意味とは?(フロントロウ編集部)

イタリアのVogueの表紙が真っ白

 雑誌の表紙は、顔となるため最も力をいれている部分。とくにファッション誌となれば、一般の雑誌よりさらにこだわっており、目を引くものが多く、世界でも名の知れたVogueとなるとハイブランドの洋服を着た人気セレブたちが登場して華を添えている。

3月号の英Vogueはメゾン・マルジェラ(Maison Margiela)の洋服を着たリアーナが表紙。

 毎月豪華な表紙も魅力の1つであるVogueだけれど、今、イタリアのVogueの表紙に異変が。なんと4月号の伊Vogueの表紙は真っ白。

 いつものゴージャスな表紙ではなく、何もない真っ白になった理由とは?

明るい未来の象徴となる白

 現在世界中で新型コロナウイルス が蔓延しているけれど、とくにイタリアの感染者数は多く、13万人以上が感染し、約1万7,000人が命を落としている。そんな大変な状況のため、イタリアのVogueは、様々なキーワードになる白を表紙にした。

 イタリアのVogueのインスタグラムで、「Vogueは100年以上に及ぶ長い歴史の中で、戦争、危機、テロ行為を見てきました。その中で、目を逸らさないことを最も気高い伝統としてきました。ちょうど2週間弱前、予定されていた4月号を印刷しようとしていました。それには、L’Uomo Vogueとのツインプロジェクトが含まれていました。しかし、人々が死んでゆき、ドクターやナースが命の危機にさらされ、世界が変わろうとしているなか、それ以外の話をするのはVogueイタリアのDNAではありません。したがって私たちはプロジェクトを見送り、原点に戻りました。歴史上はじめて真っ白な表紙を印刷することを決めたのは、写真がなかったからではなく、むしろ逆です。私たちが白を選んだのは、白という色は同時に多くのものを意味するからです」と表紙を白にした経緯を語った。

 そして「白は第一に尊敬です。白は再生であり、暗闇のあとの光、すべての色の総体です。白は、命を救うために命をかけた人が着る制服の色です。じっくりと物事を考える空間と時間、それに沈黙を表します。白は、このなにもない時間と空間をアイデア、思考、ストーリー、詩のライン、音楽、他人への思いやりで満たす人々のためのものです。白は、1992年の危機(※世界恐慌のこと)の後、この染みひとつない色が、今の純粋さや将来の希望を表したものとして衣服に採用されたときを思い出させます。なによりも白は降伏ではなく、書かれるのを待っている空白のシートで、これから始まる新しいストーリーのタイトルページです」と、今回表紙を白にした理由を明かした。 

 Vogueの歴史上、白一色の表紙は初めてだったけれど、この決断には多くの人が賛同しており、マーサ・ハントなどのモデルたちも投稿にいいねやコメントをして支持している。(フロントロウ編集部)

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