晴れのち曇りのち嵐⁉ナイル・ホーランがアルバム『ハートブレイク・ウェザー』で綴る多彩な失恋ストーリー

「失恋」を多角的に見つめたソロ第2弾アルバム

　英人気オーディション番組『Xファクター』への出場がきっかけで結成された5人組ボーイズグループ、ワン・ダイレクション（One Direction／以下、1D）のメンバーとして一世を風靡し、全世界7,000万枚を超えるセールスを上げたナイル・ホーラン。

　1D時代から作詞・作曲のスキルが高く評価されていたナイルは、「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」や「ナイト・チェンジズ」といったファン人気も高いグループの代表曲の共同制作者にも名前を連ねた。

　2016年にソロ活動をスタートさせたナイルは、翌年には、自身が故郷スコットランドで過ごした幼少時代に聴いて育ったという、70年代ロックにインスパイアされた1stアルバム『フリッカー』を発表。

　同作は全米チャート1位を記録し、61の国と地域のiTunesチャートでも1位を獲得したほか、アメリカを含めた18か国でプラチナ認定。さらに、2018年にはソロとしては初となる日本ツアーを敢行。同公演のチケットは即日ソールドアウトとなった。

　そんなナイルが、前作から2年半ぶりとなるニューアルバム『ハートブレイク・ウェザー（Heartbreak Weather）』を3月13日にリリース。

　前作の『フリッカー』でも、聴く人の心にじんわりと染み入るような、せつなく甘い失恋ソングを量産したナイルが、再び「失恋」をメインテーマに命を吹き込んだ『ハートブレイク・ウェザー』には、人として、そして1人の男性として、より魅力的に成長した彼が紡ぎ出す至極のラブソングがラインナップしている。

“ハートブレイク・ウェザー”の意味は？

　アルバムタイトルであり、同名の収録曲も存在する“ハートブレイク・ウェザー（Heartbreak Weather）”という言葉は、同作の制作に取り掛かりるにあたり、ナイルが一番最初に書き留めたフレーズだったという。

　日本語にすると「失恋」、「傷心」、「失意」といった意味がある「ハートブレイク（Heartbreak）」と、「天気」を意味する「ウェザー（Weather）」をかけ合わせた、オリジナルのこの造語について、ナイルはこんな風に説明している。

　「失恋」というテーマを掲げたアルバムを制作するうえで、「どうやったら、全体を通して湿っぽくなるのではなく、さらに、自己中心的ではない作品にすることができるだろう？」と思いを巡らせたというナイル。

　そんなとき、どこからともなく突然“降りてきた”のが、「ハートブレイク・ウェザー」というフレーズだったと、米ラジオ番組『Most Requested Live』とのインタビューで明かしている。

　失恋にはつきものの、胸の痛みや相手への未練にくわえて、失恋の経験から学んだ教訓や、どん底の境地か立ち直る過程で得た気づきや相手への感謝などにも触れ、ただただ悲しくて切ないビタースウィートな楽曲が並ぶだけではない『ハートブレイク・ウェザー』。

　ナイルが、自分自身の経験だけでなく、「みんながどんな瞬間に喜んだり、悲しんだりするのかを感じて完成させた作品なんだ」と想像力をフルに活用して作ったという同作は、「失恋」というものをさまざまなアングルから考察した、前作とは異彩を放つアルバム。

　しとしとと降る雨の日や、どんよりとした曇天、雲間からそっと光が差し込む様子、カラリと晴れた晴天、そして時には雷鳴が鳴り響く嵐…といった、まるで移り気な空模様を連想させるような多彩な楽曲で楽しませてくれる。

　計14曲にくわえ、ボーナストラック2曲を収録したナイル渾身のアルバム『ハートブレイク・ウェザー』から、絶対に聴くべき7曲をピックアップして、楽曲の背景にあるナイルの心情や歌詞の一部を紹介！　さらに、各曲の歌詞から受ける印象を“天気予報風”に解説。

「ハートブレイク・ウェザー」　Heartbreak Weather

＜曇りのち快晴、そして嵐の幕開け？＞　【降水確率：30％】

　オープニングを飾る同曲は、過去の恋愛に傷つき、陰鬱とした、なかばヤケのような気持ちで日々を過ごしていた最中、魅力的な相手に遭遇し、まるで雷にでも打たれたかのように一瞬にして恋に落ちるという刺激的な出会いを歌ったラブソング。

　最近、海外でも人気が高まっている、1980年代に流行したAOR（アダルト・オリエンテッド・ロック）を彷彿とさせる、どこか懐かしさを感じるポップなサウンドの同曲の歌詞には、ナイルが敬愛してやまないシンガーのブルーノ・マーズの名前が登場。

　運命の人と出会ったことで、ずっと頭上を覆っていた分厚い雲が晴れていくような軽やかな心境を歌いつつも、どこへ向かうか分からない刺激的な恋の始まりに戸惑いを隠せないといった節も。

「ベンド・ザ・ルールズ 」　Bend The Rules

＜曇りのち嫉妬の嵐＞ 【降水確率：60％】

　好きな相手が自分に対して誠実ではないのではないか、もしかしたらウソをついて他の男と会っているのではないかと、不安と嫉妬を募らせるジリジリとした心情をアコースティックなメロディに乗せて歌った曲。

　自由奔放な相手の素質を魅力的に感じながらも、もしも思っていることを口に出したら　関係が壊れてしまうのではないかというもどかしさを抱え、ついお酒に逃げる…というやるせなさを歌っている。

「ナイス・トゥ・ミート・ヤ」　Nice to Meet Ya

＜晴れときどき嵐＞ 【降水確率：25％】

　ソロデビュー曲となった「スロー・ハンズ」（2017年）を手がけたジュリアン・ブネッタとルース・アン・カニンガムと再びタッグを組み、わずか1日で完成させたという同楽曲は、誰もがノリノリになってしまう2000年代の英国ロックのテイストを表現したダンサブルなサウンド。

　一夜限りの恋に酔いしれる、甘く危険な駆け引きを表現した内容の歌詞は、じつはナイルがロンドンで経験した一夜にインスピレーションを得たのだとか。

　ナイルが恋愛の「ハッピーでエゴイスティックな部分を表現した」と語る同曲のMVは、スタイリッシュな中にもコミカルでセクシーな要素を盛り込んだ内容が評判に。

　『ハートブレイク・ウェザー』からの1stシングルとしてリリースされたこの曲は、リリースから1ヶ月でアメリカでは20万セールスを突破。イギリスではトップ10入りし、地元アイルランドでもトップ3 入りを果たした。

「プット・ア・リトル・ラヴ・オン・ミー 」　Put A Little Love On Me

＜土砂降り＞ 【降水確率：120％】

　ナイルが「これまで自分が作った曲の中で一番のお気に入りかもしれない」と自負するエモーショナルなバラードは、過去のロマンスの中では、最も世間に知られた交際相手だったシンガー兼俳優のヘイリー・スタインフェルドとの別れを題材にした楽曲だと言われている。

　この曲が、失恋直後の生々しい感情をピアノに向かって思いのままに吐き出すようにして作ったものであることを英The Sunに明かしているナイル。「これを書いた時は雨が降ってた。『悲しい。僕らは終わってしまった。ほんの少しでいいから愛が欲しい』って感じだった」と、当時は失意のドン底にいたことを振り返りつつ、「でも、悲しい悲しい悲しいバラードが入っていてこそ、僕のアルバムでしょ」と、出来栄えには大満足しているとも語っていた。

　ちなみに、何度もレコーディングして試行錯誤した結果、楽曲の良さを一番に引き出すために、あえてデモに近いシンプルなサウンドに仕上げたのだそう。

「アームズ・オブ・ア・ストレンジャー 」　Arms Of A Stranger

＜どんより曇り空＞【降水確率：40％】

　低音ヴォーカルが心にじんわりしみるアコースティックなバラードの「アームズ・オブ・ア・ストレンジャー」は、失恋の痛手を別の相手との新しいロマンスで埋めようとするものの、やっぱり元恋人のことばかり考えてしまうという、未練やもどかしさを歌った曲。

　
　「誰かとの恋が終わりを迎えた後、『僕らは終わってしまった。そして僕は君を忘れるために別の誰かの腕に抱かれている』という気持ちを歌った曲なんだ」。そうナイルがThe Sunに説明した通り、忘れたいのに忘れられない、嫌いになりたいのに嫌いになれない、といった複雑な恋心が表現されている。

「ニュー・エンジェル」　New Angel

＜曇りのち晴れ＞【降水確率：10％】

　前の恋人のことが忘れられず、悶々と過ごす日々から自分を掬い上げてくれる“新しい天使”との出会いを歌った「ニュー・エンジェル」は、モダンなポップのサウンドとナイルが得意とするアコースティックな響きを巧みに融合させた1曲。

　自分を振りまわす報われない恋にようやく踏ん切りをつけ、新たな一歩を踏み出す決意をする様子を描いた、せつないながらも、どこからか陽の光が差し込むような爽快感を感じる歌詞となっている。

　ちなみに、1stシングルの「ナイス・トゥー・ミート・ヤ」のMVで、相手役を演じる女性が背中に天使の羽をつけているシーンが登場するのは、この「ニュー・エンジェル」との“隠しリンク”なのだそう。

「ノー・ジャッジメント 」　No Judgement

＜のんびりとした晴天＞【降水確率：5％】

　3rdシングルとしてリリースされた「ノー・ジャッジメント」は、一度聴いたら耳から離れないキャッチーなメロディが心地良い1曲。自分と一緒にいるときは、飾らず、ありのままでいて欲しいと歌う同曲は、キュートだけどちょっと奇妙な老夫婦をフィーチャーしたダークユーモア溢れるMVも好評。

　直球の失恋ソングではないけれど、過去の恋愛での失敗なども踏まえ、お互いに自分らしく自然体でいられるような恋愛が理想であり、そういう相手こそが将来の伴侶に相応しいということに気づいたというナイルの“悟り”が感じられる。

　土砂降りの日もあれば、晴れの日もある。ひと言では語れない失恋の奥深さをさまざまな視点から綴った共感度120％のラブソングを集約した『ハートブレイク・ウェザー』。

　じつは、作品を通して聴くと、ひとつの恋の始まりから終わりまでを追いかけるストーリー構成になっているというコンセプト・アルバムでもある同作は必聴！　1つのジャンルの枠にとらわれず、伸び伸びと自分だけの音楽を表現する等身大のナイルの味わい深い歌声にどっぷりと酔いしれて。

ナイル・ホーラン
『ハートブレイク・ウェザー／Heartbreak Weather』
発売中（3月13日）
全14曲＋ボーナストラック2曲収録

＜国内盤CD＞
UICC-10046 / \2,500（税抜）
歌詞・対訳・解説付
※歌詞カードには10枚のポートレート写真が掲載

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ナイル・ホーラン日本公式HPはコチラ

（フロントロウ編集部）