2020年4月25日から5月6日は東京プライドウィーク。さらに、毎年6月は多くの国でLGBTQ+コミュニティへの理解を深めるプライド月間になっている。そこで、LGBTQ+を扱った映画を厳選してご紹介。今回は、トランスジェンダーを描いた作品。(フロントロウ編集部)

『リリーのすべて』

 エディ・レッドメインが、1926年に世界で初めて性別適合手術を受けたリリー・エルベ役を演じたことで話題になった本作。画家である妻のモデルをするために冗談で女装してからというもの、自らのアイデンティティに気づき、性別適合手術にまで至った1人の人間の姿を壮絶に描く。当時まだ理解のなかったトランスジェンダーを「病気ではない」と認める医師の存在に希望の光が宿っている。


『ナチュラルウーマン』

 2017年公開のチリ映画。同年のベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞し、アカデミー賞では外国語映画賞をチリ映画で初めて受賞した。主役は、トランスジェンダーとしてアカデミー賞で初めてプレゼンターを務めた俳優ダニエラ・ベガ。本作は、トランスジェンダーの主人公がパートナーの急死後に社会や遺族からの冷たい目に直面し、戸惑い傷つきながらも再び人生を歩み出すという物語。厳しい現実をリアルに描きながらも、未来への希望を与えてくれる。


『ぼくのバラ色の人生』

 トランスジェンダーの子供とその家族の姿を描いた本作は、女の子になれると信じて疑わない7歳の男の子リュドヴィックが主人公。リュドヴィックは、純粋な心で女の子としての人生への希望を膨らませるが、一方で彼の両親はその心を理解することができない。本作が公開されたのは1997年ではあるけれど、現代でもまだ起こっている「無理解」という問題を描いている。


『オール・アバウト・マイ・マザー』

 1999年にアカデミー外国語映画賞を受賞したスペイン映画。色とりどりでオシャレな映像と共に様々な境遇の「母親」の姿を映し出す。トランスジェンダーで女性になった元夫、エイズ、臓器提供、離婚、性別適合手術などのテーマを軽やかなテンポで、しかしリアルに描いている。監督ペドロ・アルモドバルは、神学校での性的虐待を描いた映画『バッド・エデュケーション』の制作者。



『アバウト・レイ 16歳の決断』

 エル・ファニング演じるレイは男の子として生きていくことを決意したトランスジェンダー。けれども、16歳のレイが性別移行の施術を受けるためには、両親の同意書が必要で…。一緒に暮らすおばあちゃんは、レイはレズビアンになればいいと考えているし、母親は医師に性別移行の説明を受けて大混乱。レイの決断に対する周りの反応に焦点が当てられている。


『タンジェリン』

 映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』を制作したショーン・ベイカー監督の低予算映画。撮影には映画用のレンズを取りつけた3台のiPhone5sが使用された。ロサンゼルスに暮らすトランスジェンダーのセックスワーカーの騒々しいクリスマス・イブを描いた本作。主演には演技未経験のトランスジェンダー俳優を起用し、自然でリアルな演技力を見事引き出しているところが魅力。


『トムボーイ』

 トランスジェンダーとしてのアイデンティティに気づけていないほど幼い子供の物語。引っ越してから近所の男の子たちと遊ぶようになるものの、どこか馴染み切れないというような表情が切ない。自分は男の子だとなんとなく思っているが、男と女の違いがよくわからず、モヤモヤを感じている繊細な仕草が見どころ。ちなみに、「トムボーイ」とは、おてんばでボーイッシュな女の子のことを指している。


『Girl/ガール』

 バレリーナを目指すトランスジェンダーの主人公の葛藤を描いた作品。血の滲むような努力の末、バレエ学校に入学が認められるものの、身体の成長やクラスメイトからの嫌がらせによって、次第に心身ともにバランスを崩してしまう。家族や周囲の理解があり、LGBTQ+に寛容な社会においても、当事者の苦悩はつきないということを改めて考えさせてくれる。


『アタック・ナンバーハーフ』

 大人気バレー漫画『アタックNo.1』から、原作者の了解を得てタイトルがつけられた本作は、2000年公開のタイ映画。性別適合手術が盛んな同国に実在したLGBTQ+オンリーのバレーボールチームをコメディタッチで描いている。もともとのタイトルは『サトリーレック=鋼鉄の淑女』という、チーム名。「オカマ」であると笑い者にされ、差別や偏見の的になってきたチームメンバーを情熱的に支えた女性コーチの気概には感動! 監督は「オカマチームに出場する資格はない」と大会のお偉い人々に言われても一刀両断し、チームを実力でのし上がらせた。


『ボーイズ・ドント・クライ』

 トランスジェンダーにまつわる悲しい実話を描いたストーリー。カミングアウトすれば殺されるかもしれない、というほどヘイトクライムが横行していた時代、女性の体を持ちながら男性として生きていた主人公が、悲しい運命をたどる。彼が受けた痛ましい現実を記録し、忘れない教訓とするための重要な1作。


『ハイヒールの男』

 硬派な凄腕刑事の主人公が、実はアイデンティティに悩んでおり、女性になることを決意して辞職しようとするが…。というハードバイオレンスアクション。LGBTQ+の描写は荒削りな部分も多いが、意外にも主人公の悩みが繊細に描かれており、ヤクザや警官を絡めたトランスジェンダーの作品という異色作。


『トランスアメリカ』

 トランスジェンダーの主人公ブリーが、自分が父親であることを隠したまま実の息子とアメリカ横断の旅に出る。ブリーを演じているのは、『デスパレードな妻たち』に出演したフェリシティ・ハフマン。彼女の豹変ぶりと高い演技力は大きな話題となった。親子2人の旅の途中には、もちろん様々な試練や出会いが待ち受けていて、心温まるラストを迎える。

 トラスジェンダーを描いた作品はまだまだたくさん。境遇やセクシュアリティは違っていても、人間として共通の悩みや共感を見つけることができるはず。男性同士の恋愛を描いた作品15選はコチラ女性同士の恋愛を描いた作品15選はコチラ。(フロントロウ編集部)

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