1986年に公開された映画『トップガン』で、マーヴェリック役を演じたトム・クルーズのスタントをしたパイロットは映画撮影後、驚きの職業に転身していた。(フロントロウ編集部)

トム・クルーズ主演のヒット作

 映画『トップガン』は、アメリカ海軍パイロットのエリート養成学校、通称“トップガン”に所属するエースパイロット候補生たちの挫折と栄光の日々を描き出した作品。1986年に公開され世界中で空前の大ヒットを記録すると、主人公のマーヴェリックを演じたトム・クルーズは、一気にスターダムの頂点へと駆け上った。

画像: ©︎PARAMOUNT PICTURES

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 2020年7月には34年ぶりの新作である『トップガン マーヴェリック』が公開予定だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により公開延期が決定している。新作にはトムがマーヴェリック役として続投、アイスマン役のヴァル・キルマーも参加している。

トム・クルーズのスタントマン、華麗なるキャリア

 そんな『トップガン』で、トムのスタントを務めたのは、当時アメリカ海軍で海軍飛行士だったスコット・アルトマン。映画の中では、トムのスタントを含め様々なスタント飛行を行なった彼が、映画撮影後に歩んだ華麗なるキャリアがスゴすぎる。

画像: スコット・アルトマン(左)

スコット・アルトマン(左)

 スコットがアメリカ海軍に入隊したのは1981年で、海軍飛行士になったのは1983年。そのため、1986年に公開された『トップガン』撮影の頃にはまだ若手の兵士だった。

 彼が指揮官から『トップガン』の撮影の話を受けたのは、7ヶ月にも及ぶ空母での海外遠征から帰還した直後。映画には「パイロットが管制塔に向かって指示をする」といった、現実では絶対にあり得ないシーンもあり、スコットが所属していた中隊の隊長は、撮影のために“ルールを少し破る行為” をさせても悪影響を受けないだろうと信頼していたパイロット4名を『トップガン』の撮影のために選んだそう。

 撮影後の1987年に海軍大学院のテストパイロット学校への入学者に選ばれたスコットは、1990年に優秀な成績で卒業。その後は、戦闘機の様々なプロジェクトに関わり、軍の作戦にも参加した。40種類以上の航空機で、7,000時間以上の飛行を行なった彼は、1994年にはなんとNASAの宇宙飛行士に大抜擢!

画像: トム・クルーズのスタントマン、華麗なるキャリア

 『トップガン』で俳優たちのスタントを飛行をしていたスコットは、映画公開から10年たらずで今度は舞台を宇宙に変えて活躍することに。そして引退するまでに4度の宇宙飛行を行ない、軍では大佐という階級まで登りつめたという。

『トップガン』撮影後の心残りは?

 スコットは、「スペースシャトルを飛ばすことは、映画(『トップガン』)でやったことより少し難しかったよ」と、『トップガン』でスタントマンをつとめ、宇宙飛行士にまでなった者だからこそ言えるコメントを米CNNにした。

 さらに、「俳優たちとは良い関係を築けました。例えばトム・クルーズはとても意欲的だった」と撮影時の状況を明かし、「彼は飛行機に乗るのを楽しんだ。彼は私たちの意見をよく聞いて、その後、本物のパイロットになっていましたよ」と続けた。

画像: スコット・アルトマン(画面中央)

スコット・アルトマン(画面中央)

 ちなみにスコットらスタントマンを務めたパイロットに支払われた日当は、なんと、わずか2,500円ほど。上官命令だったため仕方ないとは言え、大作映画への出演料としては想像以上に低い。一方で、戦闘機を借りるのにかかっていたレンタル代は1時間に約84万円という高額だったそう。

 そんなスコットには一つ心残りがある。それは、映画を公開後すぐに見に行けなかったこと。彼と仲間のパイロットたちはプレミアに招待されていたものの、イベントへの出席を上官に許可してもらえず、不参加に。そして映画が公開された頃には、数ヶ月に及ぶ海外遠征に入ってしまい、映画館に行くことができなかったという。

 新米パイロットで『トップガン』に出演してからNASAの宇宙飛行士へとスゴすぎるキャリアを積んだスコット・アルトマン。米Deadlineによると、現在トム・クルーズはイーロン・マスクやNASAと協力し、宇宙での長編映画の撮影に意欲的だそう。トムは『トップガン』出身者として、2人目の“宇宙飛行士”になれるのだろうか。(フロントロウ編集部)

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