オークション番組『Xファクター』出身のシンガーであるシェール・ロイドが、デビュー当初に受けていた扱いを振り返り、まるで「狼のもとに投げ込まれたような気分だった」と当時のショービズ界を批判した。(フロントロウ編集部)

16歳でデビューしたシェール・ロイド

 シェール・ロイドは当時16歳だった2010年、イギリスの音楽オーディション番組『Xファクター』でワン・ダイレクションと同時期にデビュー。デビューシングル「スワッガー・ジャガー(Swagger Jagger)」がいきなり全英シングルチャートの1位を獲得するなど、シンガーとして一躍成功を掴んだシェールだけれど、当時の自身の売られ方には不満を感じていたそう。

 先日、キャラクターを作り上げられたことが原因で誹謗中傷を受けるようになった過去を振り返っていたシェールは今回、英The Sunによるインタビューに応じて、デビュー当時の自身に対する周囲の扱いを改めて批判した。

 『Xファクター』をきっかけに、番組のプロデューサーであるサイモン・コーウェルのレーベルSyco(サイコ)と契約したシェール。若くして成功へのチャンスを掴んだシェールだったけれど、彼女は「周りからは出世街道だねなんて言われたけど、恐ろしいものでもあった」と当時を回想。「決して理解が追いつけるものじゃなかったし、誰も私に警告してくれなかった。私はそれに1人で対処しなければいけなくて、怖かった」とシェール。

画像: 16歳でデビューしたシェール・ロイド

 定住地を持たないことで知られるジプシーのロマ族出身であるシェールは、ショービズ界に入ってそのような生活が一変したことについて、「当時の私は、悪いことが何一つないような遮断された小さな町から来た純粋な16歳だった。だから、そういう育ちやバックグラウンドだったこともあって、(華々しい)番組に出るのが怖かったの」と、華々しい世界に入ったことで葛藤もあったと明かした。

「狼のもとに投げ込まれたような気分だった」

 「合図ひとつでパフォーマンスするようなプレッシャーには耐えられた。私が苦しんだのはそういうところじゃない。クリエイティブなことをするのは私の夢だったから」と、アーティストになることは昔からの夢だったとした上で、「ショービズやゴシップの世界に入ったことで、次第に崩れ始めて、夢が少しずつ悪夢に変わっていった。狼のもとに投げ込まれたような気分だった。精神的にすごく傷つけられたの」と、周囲から食い物にされているような気分だったと語ったシェール。

画像: 「狼のもとに投げ込まれたような気分だった」

 シェールは「夜はほとんどホテルの部屋で泣いてた。もちろん、ホテルは5つ星だったけどね」と、華やかな生活は送っていたものの、「私はすごく孤独だった。私は誰も信用していなかった」と回想。「全員が私を捕まえようとしてたり、おちょくって私の夢を壊そうとしているんじゃないかって思っていたの」と、疑心暗鬼に陥っていたことを明かした。

 「私はずっと、自分が業界のあちこちへ追いやられているように感じてた。ダボダボの服を着たり、男の子っぽい服を着たりすれば、不良っぽいって言われるし、少しでも短いスカートを履けば、淫乱だなんて呼ばれてたから」と、イメージが重要視されるあまり、自分が着たいと思っていた服を着られなかったと当時を振り返ったシェール。

母親になったことで意識が変化

 けれど、デビューから10年が経ち、夫でヘアスタイリストのクレイグ・モンクとの間に第1子も出産している現在26歳のシェールは、周囲の目を気にすることなく生活できるようになったそうで、「ここ何年かで、『もういい、周りが私をどう見ようと、どう思われようと気にしない』って思えるようになった。私は自分にとって心地がいい、自分が着たいものを着るつもり」と、すっかり意識が変わったよう。

今年4月には新曲「Lost(ロスト)」をリリースしているシェール

 「母親になったことで、人生には自分のイメージにこだわること以上に大切なものがあることを知ったの。もうそれは私の1番のプライオリティじゃない。そんな時間ないもの!」と、子供を出産したことで多くのことに目を向けられるようになったと語ったとシェール。

 「10年経った今でも、私はまだ、当時の私は『私』じゃないって人々に証明しなくちゃいけない。当時私が受けていた扱いは、今では許されないこと。すごく趣味が悪いし、不快。ただ座って他の人のことを笑うなんてことはしたくない」と、周囲からのイメージを気にし、他人にもそうした価値観を押し付けるような風潮は許されるべきではないと語った。(フロントロウ編集部)

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