ラッパーのテカシ・シックスナイン(Tekashi 6ix9ine)がアリアナ・グランデとジャスティン・ビーバーに対してコラボ曲の「チャート1位を金で買った」と主張していた問題で、全米シングルチャートを発表している米ビルボードが声明を発表した。(フロントロウ編集部)

1位を獲得できなかったことに憤慨したテカシ

 最新の全米シングルチャートが現地時間5月18日に発表され、シンガーのアリアナ・グランデとジャスティン・ビーバーがリリースしたチャリティ・コラボ曲「スタック・ウィズ・ユー(Stuck with U)」が首位を獲得。2位には女性ラッパーのニッキー・ミナージュが参加したドージャ・キャットの「セイ・ソー(Say So)」、そして3位には自宅軟禁中のラッパーであるテカシ・シックスナインによるカムバックシングル「グーバ(Gooba)」がランクインした。

 このランキングに不満を持ったのが3位にランクインしたテカシで、獄中で制作したという「グーバ」のMVの再生回数が記事執筆時点で1億9,000万回以上再生されていたり、リリース後の週末に全世界で5000万回以上ストリーミングされたりしていたことから、テカシは「グーバ」で自身にとって初となる米ビルボードのシングルチャート1位を獲得できるはずだと確信していたのだそう。

 1位の座をアリアナ・グランデとジャスティン・ビーバーに“取られた”ことに憤慨したテカシはインスタグラムに投稿した動画を通じて、「チャート1位は金で買えるらしいぜ! 」と、アリアナとジャスティンのレコードレーベルが楽曲を大量購入して「スタック・ウィズ・ユー」が1位を獲れるようチャートを不正操作した、さらに、ビルボードが自身の楽曲「グーバ」のストリーミング回数を半分近く少なく換算したなどと、独自のリサーチに基づいたという持論を展開して抗議。その後、アリアナとジャスティンや、2人のマネージャーであるスクーター・ブラウンがテカシの主張に反論する声明をSNSで出す事態に発展していた。

米ビルボードが声明を発表

 最新のランキングがテカシやジャスティン、アリアナ、スクーター、そしてファンをも巻き込む騒動になったことを受けて、今回、米ビルボードが最新の全米シングルチャートの経緯を説明する声明を公式に発表した。

 米ビルボードはテカシが主張するようなストリーミング回数の操作はしていないとした上で、彼が主張するYouTubeの再生回数はあくまでも世界で再生された回数であり、チャートには全米での数字のみが反映されると説明。チャートについては少なくとも年に1度更新される独自の方法論で集計しているとし、チャートに反映される数字の比率は大きいものから順にストリーミング再生、ラジオでの再生、楽曲の売上高になっているという。また、チャートに反映されている「スタック・ウィズ・ユー」と「グーバ」の具体的な数字については、「『スタック・ウィズ・ユー』はアメリカで2,810万回ストリーミングされ、2,630万人の聴衆に対してラジオで放送。集計された週の売り上げは10万8,000万枚となっています。『グーバ』はアメリカで5,530万回ストリーミングされ、17万2,000人の聴衆に対してラジオで放送。売り上げは2万4,000枚となっています」と明記している。

 加えて、米ビルボードは「スタック・ウィズ・ユー」について、アリアナやジャスティンのそれぞれのウェブサイトで週を通じてデジタル/フィジカル(※)の両方のフォーマットで販売されていたとした上で、最新チャートに数字が反映される最終日の現地時間5月14日に、2人のサイトでサイン入りのCDが発売されたのも売り上げに大きく貢献したと指摘。一方で、テカシの「グーバ」が彼のサイトで発売されたのは週の最終日だったと述べた。

(※)CDやレコードなど、デジタルではない物理的なフォーマットで販売されているもののこと。

 結果として、ジャスティンとアリアナはラジオでの再生回数や楽曲の売上高でテカシに大きく差をつけ、最新の全米シングルチャートで1位を獲得したよう。ちなみに、テカシはギャングとの関連など、素行が問題視されて一部のラジオでは楽曲が再生されておらず、ラジオでの再生回数が少ないのはそのためとなっている。アリアナとジャスティンはテカシへの反論として投稿した声明のなかで、それぞれ1位を獲得することに貢献してくれたファンへの感謝も述べている。(フロントロウ編集部)

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