蘭イケアで客と店員数名が「化学火傷」、「呼吸困難」
大手家具チェーンのイケア(IKEA)は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受け、世界各国の店舗をに一斉に臨時休業。それから約2ヵ月が経ち、感染者数の増加が緩やかになってきた、もしくは減少が著しい国の店舗では、入店客数の制限、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保、入店前の手指の除菌といった予防策を講じたうえで、徐々に営業を再開している。
オランダ国内でも多くの店舗が営業を再開しはじめるなか、北部の都市はハールレムにある店舗も万全の体勢を整えて、リオープンに臨んだ…はずだった。
店の入り口に除菌用スプレーを設置し、来店客や従業員たちに使用を呼びかけていた同店だったが、なんと、スプレーボトルの内容物を用意した清掃員の女性が、誤って除菌用のローションではなく排水溝を掃除するための洗剤を入れてしまうという手違いが発生。
知らずに使用してしまった2名の客と従業員数名が手指に化学火傷を負ったほか、呼吸困難を訴えたという。
現地メディアNOSの報道によると、このミスは、清掃員の女性がオランダ語がよく理解できなかったために発生したもので、故意ではないという。
スプレーボトルの中には除菌用の溶液が残っていたが、誤って排水管洗浄剤を補充してしまったため、化学反応が起き、ガスが発生してしまったことが周囲にいた数名が呼吸困難を訴えた原因だったものとみられている。
イケア・ハールレム店の管理チームは、被害を訴えた人々のほかにも、最低でも10人はこのスプレーを使用してしまったと報告しており、現場では被害を訴えなかったものの、不調を感じた人がいたら申し出てほしいと要請している。
幸い、被害者たちの化学火傷や呼吸器の不調は大事には及ばず、通報により駆けつけた救急隊員によって、その場で処置が行なわれた。
現地メディアNLTimesによると、被害者のうち2人はすでに弁護士を雇い、同店の過失に関して交渉する準備を行なっているという。イケア・ハールレム店の広報は「現時点では、被害者への補償に関する話し合いは行なわれていません。できる限りの援助をするために被害に遭われた方と連絡を取り合っているところです」とコメントしている。(フロントロウ編集部)