『スポンジ・ボブ』を放送するニコロデオンを含む多くのテレビ局が、放送を一時中止し、「8分46秒」の間あるメッセージだけを放送した。(フロントロウ編集部)

8分46秒の間「息ができない」

 アメリカの大手テレビ局バイアコムCBSが、運営する各系列チャンネルで「8分46秒」の間通常の放送を中止し、真っ暗な画面のなか呼吸音だけを流し続けた。その画面には、この文字が映されていた。

「息ができない」

 この言葉は、2020年5月終わりに、白人警官によって首を押さえつけられ死亡した黒人ジョージ・フロイド氏が死に際に残した言葉。当時彼は非武装であり、命の危機を察知した周囲の人々も警官に彼を離すよう叫んでいたにもかかわらず、警官はフロイド氏の首を「8分46秒」押さえつけ続けた。

 白人警官によって非武装の黒人が殺される事件は過去に何度も起こっており、黒人コミュニティへの深刻な差別が残るアメリカで、多くの人々が声をあげている。その声は現在、黒人の命にも価値があると叫ぶBlack Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)というスローガンとともに、アメリカだけでなく、黒人コミュニティが存在する各国で支持されている。

 そんななかバイアコムCBSもBlack Lives Matterを支持。フロイド氏へ敬意を払い、Black Lives Matter支持を表明するため、彼が首を押さえつけられていた「8分46秒」通常放送を中止し、黒人コミュニティが直面する深刻な差別への理解を求めた。

ニコロデオンは子供たちへのメッセージを放送

 幅広い年齢層の人々にメッセージを発信することができるテレビを使って、バイアコムCBS がBlack Lives Matter運動を支持した影響は大きい。『スポンジ・ボブ』などを放送する子供向けチャンネルのニコロデオンでは、呼吸音の放送の代わりに、これからを生きる子供たちにこうメッセージを送った。

「君たちには、世界の市民として、認識され、その声を聞いてもらい、敬意を払われる権利がある。

君たちには、平和な世界に対して権利がある。

君たちには、肌の色に関係なく平等に扱われる権利がある。

君たちには、危害や不正、嫌悪から守られるべきだという権利がある。

君たちには、世界を率いていくための教育を受ける権利がある。

君たちには、他の人がそれに賛成しなくても、自分の意見や感情を持つ権利がある」

 一部の親からは、この放送を子供が怖がったという苦情が入る事態となったけれど、ニコロデオンは公式SNSで、「残念なことに、子供たちの中には毎日を恐怖の中で生きている子もいます」とコメントし、この差別社会で黒人として生まれた子供たちをサポートするという確固たる意志を見せた。

多くの企業がBLMに賛同している

 バイアコムCBSのほかにも、多くの企業がBlack Lives Matterを支持しており、ツイッターやユーチューブ、ワーナー・ブラザースは、SNSアカウントのアイコンを真っ黒にした。またYouTubeは、「社会的な不当行為に対処するため」に、約1億円の寄付を発表している。

 また、差別問題に焦点を当てた作品を多く制作し、その先進的な姿勢で知られる本家アメリカのNetflixは、そのプラットフォームをこの先も差別撤廃のために活用していく企業としての姿勢を見せ、こう声明文を出した。

「黙っていることは、共犯だ。

私達にはプラットフォームがある。そして私達には、黒人メンバー、従業員、クリエイター、才能のために声をあげる義務がある」

(フロントロウ編集部)

 ※記事内の誤表記を修正致しました。

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