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Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)が叫ばれる今、黒人差別やその歴史について知識を得たい。そんな思いを助けてくれる、映画やドラマを特集。(フロントロウ編集部)

映画やドラマで学ぶ黒人差別やその歴史

 2020年に入り、すでに何人もの黒人が白人警官によって殺されている。黒人の命にも価値があると叫ぶBlack Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)ムーブメントが大規模に広がるアメリカでは、白人が黒人を奴隷とみなしていた歴史的過去があり、21世紀となった2020年現在でもいまだに深刻な黒人差別が存在している。

 長い歴史と因縁を持つ黒人差別について知識を深めたい。そう思う時に見るべき映画やドラマ厳選9作品をご紹介。

映画『ヘイト・ユー・ギブ』

 主人公の高校生スターは、低所得者層の黒人が多く暮らす地域ガーデン・ハイツに住む黒人の少女。しかし、高校は、白人が大多数を占める私立校へ通っている。ある日ホームパーティーに参加したスターは、友人のカリルに家へ送ってもらうことに。しかしその帰路2人は警察に止められ、白人警官はカリルを射殺する。目の前で事件を見ていたスターは、カリルに非がなかったことを知っているけれど、メディアはカリルを悪者扱いし、スターは高校でも、白人たちの黒人差別をまざまざと感じることになる。事件をすべて見ていたスターは、行動を起こす決意を固める…。


ドキュメンタリー『13th -憲法修正第13条-』

 現代にもまだ“黒人奴隷制度”が残っているとし、法や政治、メディアや偏見など、様々な視点から、アメリカにおける構造的な黒人差別の原因を明らかにするドキュメンタリー映画。

 本作は非常に多くの映画賞でノミネート・受賞しており、アメリカの大物司会者オプラ・ウィンフリーや、人権派として知られるコメディアンのダックス・シェパード、俳優のケリー・ワシントンやアイス-Tなど、数多くの著名人が見ることを薦めている。Black Lives Matterムーブメントを受けて、現在Netflixが公式YouTubeアカウントで本作を無料公開しており、日本語字幕を表示することも可能。


ドラマ『ボクらを見る目』

 1989年にアメリカのニューヨークで実際に起こったセントラル・パークにおけるジョガー性的暴行事件を基にしたNetflixのリミテッドシリーズ。全4話。

 1989年4月、アメリカのニューヨークにあるセントラル・パークで、女性の強姦事件が起こる。ケヴィン・リチャードソン、アントロン・マックレイ、ユセフ・サラーム、コーリー・ワイズ、そしてレイモンド・サンタナ達5人の少年は、その日にセントラル・パークにいたという理由だけで、警察に逮捕される。彼らはここから、10年以上の長きにわって闘い続けることになる…。


映画『ゲット・アウト』

 ホラー映画にも黒人差別を学べる作品が。ジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』は、黒人と白人の間に存在する差別が、カタチを変えて根深く存在することを克明に描いたとして評価が高い。ピール監督の『アス』もまた、黒人差別を含むアメリカの闇を表現していると評価されている。見終わったあとに、様々な考察を読むのもオススメ。

 黒人のクリスは、白人の恋人ローズの実家を訪れる。当初は白人の家族に会うことに不安を抱いていたクリスだけれど、一家の雰囲気は朗らか。近隣に住む人々も優しくて良い人ばかりだった。しかしそのうちに、クリスは違和感を抱いていく。この家族は、何かが変だ…。


映画『プレシャス』

 黒人女性は、黒人差別だけでなく女性差別といった差別も受けており、その生活環境が危惧されている。またアメリカでの黒人差別には、警察の暴力性だけでなく、貧困や教育格差などといった様々な問題があり、本作はその構造的問題に迫る。

 16歳のプレシャスは、実父と義父によってレイプされ、2度妊娠している。母親からは虐待を受けており、その悲惨な環境から逃げ出すために教師や友達、ソーシャルワーカーの助けを借り、最悪の状況から抜け出そうとするが…。


ドキュメンタリー『私はあなたのニグロではない』

 公民権運動の活動家で黒人作家のジェイムズ・ボールドウィンの未完の原稿を基にしたドキュメンタリー映画。1950年代から60年代にかけて黒人コミュニティを率いたマルコム・X、キング牧師、メドガー・エバースへの回想を通しながら、アメリカの黒人差別の歴史を振り返り、それに対するボールドウィン氏の考察を描く。

 ジェイムズ・ボールドウィンの小説が原作の、『ビール・ストリートの恋人たち』も評価が高い。


映画『マルコムX』

 今から70年前の1950年代から60年代にかけて、複数の黒人リーダーたちがそのコミュニティのために立ち上がり、黒人の人権のために闘った。公民権運動として歴史の一部となっているこの運動を率いたリーダーのうちのひとりが、マルコム・X。

 彼と、友人で黒人作家のアレックス・ヘイリーが共著した『マルコムX自伝』を基に、黒人映画監督として黒人差別と闘ってきた先駆け的存在のスパイク・リー監督が、マルコム・Xの人生を映像化した。


映画『グローリー/明日への行進』

 公民権運動を率いたもう1人のリーダーといえば、かの有名なキング牧師ことマーティン・ルーサー・キング氏。1965年にキング牧師の呼びかけで集まった黒人コミュニティの人々が、黒人の有権者登録の妨害に抗議。平和的デモ行進を行なおうとしたが、警察が武力的制圧を実行。のちに「血の日曜日」と呼ばれることとなったこの出来事は、社会が動くきっかけとなる…。


映画『フルートベール駅で』

 2009年1月1日に発生した、オスカー・グラント射殺事件を基にした映画。この事件は、アメリカ初となる黒人の大統領、バラク・オバマ大統領が誕生する20日前に発生。さらにこの事件が起こったのは、保守的ではなくリベラルな地域だったことから、アメリカが抱える黒人差別の根深さをまざまざと見せつけることとなった。

 オスカー・グラントは、まだ若い22歳の青年。12月31日の大晦日が誕生日である母を祝い、家族と少しケンカをしながらも笑いあい、幼い娘と遊び、友人との時間を楽しむ。そんな平凡で幸せな毎日は、22年で突然終わらせられることとなった…。 

(フロントロウ編集部)

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