イタリア版Vogueが、新型コロナウイルスのため学校へ行けなくなった2歳~10歳までの子供たち8人が描いた絵を6月号の表紙として採用することに。計8パターンの表紙を紹介。(フロントロウ編集部)

雑誌の表紙に子供たちの絵を採用

 雑誌の顔とも言える表紙は、編集部が最も力を入れる場所で、売れ行きを左右する大事なポイント。老舗ファッション誌のVogueでは、毎月ハイブランドのアイテムを身にまとったセレブたちが表紙に起用されるけれど、イタリア版Vogueの6月号の表紙は、少し様子が違った。一風変わったイタリア版Vogueの表紙がこちら。

 なんと、2歳~10歳までの子供たちが描いた絵を表紙として起用したのだ。この絵は、全て2019年12月に行なわれたシャネル(Chanel)のメティエダール コレクションのルックがテーマとなっており、子供たちは「Our New World(私たちの新しい世界)」という文字と共に好きなルックの絵を書いている。

 なぜ大事な表紙を子供たちの絵にしたのかについて、編集長のエマニュエル・ファルネーティは「Vogueイタリアは、シンプルで根本的な理由から、子供たちと彼らの新しい世界にこの号を捧げています。彼らこそ、私たち全員が影響を受けている(新型コロナウイルスの)パンデミックのなかで、最も見過ごされ、目立たない被害者だと、我々は思っているからです。彼らの遊びや社会的な権利が侵害されていることとは別に、イタリアを含む多くの国で、学校が9月に再開するかどうか、またどのように再開するかまだ誰も知らないことは、信じられないことであり受け入れがたいことです」と、子供たちが大きな被害を受けていることを訴えるとともに、子供たちに捧げる号にしたかったと発売元であるコンデナストのオフィシャルサイトで語った。

 イタリア版Vogueは、これまでにも驚きのチャレンジをしており、4月号は、新型コロナウイルスの危機から目を背けていつもと変わらないゴージャスな服で着飾るモデルを表紙にするのではなく表紙を真っ白に。その際、表紙を白にした理由について「白は第一に尊敬です。白は再生であり、暗闇のあとの光、すべての色の総体です。白は、命を救うために命をかけた人が着る制服の色です。じっくりと物事を考える空間と時間、それに沈黙を表します。白は、このなにもない時間と空間をアイデア、思考、ストーリー、詩のライン、音楽、他人への思いやりで満たす人々のためのものです。白は、1992年の危機(※世界恐慌のこと)の後、この染みひとつない色が、今の純粋さや将来の希望を表したものとして衣服に採用されたときを思い出させます。なによりも白は降伏ではなく、書かれるのを待っている空白のシートであり、これから始まる新しいストーリーのタイトルページなのです」とインスタグラムで明かしていた。

 ファッション誌が真っ白な表紙にするという大胆な行動は、大きな称賛を得て、雑誌はソールドアウトという見事な結果を残した。今回も新型コロナウイルスで学校へ行くことができず、友達とも思うように会えない日々を過ごす子供たちに捧げた雑誌を生み出したイタリアVogue。その時々の出来事に合わせイタリアの人々に寄り添うイタリア版Vogueは、ファッション誌という概念を超え、多くの人の力となっている。(フロントロウ編集部)

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