黒人に対する暴力や差別の撤廃を訴える抗議運動「Black Live Matter/ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命にも価値がある)」の最前線では一体何が起きている? 実際に抗議デモに参加したセレブの証言によって明らかになった事実とは?(フロントロウ編集部)

全米各地で「Black Lives Matter」を訴える抗議デモ

 米現地時間5月25日、白人の元警察官(※)デレク・ショービン容疑者に約9分間首を膝で圧迫されたことにより、黒人男性のジョージ・フロイドが死亡する事件が発生したことがきっかけで、現在、アメリカでは黒人に対する人種差別の撲滅を訴え、警察による行き過ぎた暴力の行使に抗議する運動「Black Live Matter/ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命にも価値がある)」が各地で活発化している。
※事件後に懲戒免職となり、逮捕・起訴された。

画像1: 全米各地で「Black Lives Matter」を訴える抗議デモ

 連日のように各地で行われている抗議デモでは、抗議活動の枠をはみ出して、一部の群衆が暴徒化したり、略奪行為や破壊行為といった犯罪に手を染めたりしていることが問題視されているものの、大多数の参加者は法に触れることなく平和的に抗議活動を行なっているとされる。

 しかし、今、警察がそういった「平和的な抗議活動」を行なう人たちに対しても、ゴム弾や催涙ガスを使って制圧するなど、過剰な措置を取っていることに批判の声が集まっている。警察への予算の打ち切りを呼びかける、「Defund The Police(ディファンド・ザ・ポリス)」なる運動も発足するなど、警察に対する国民の怒りは増すばかり。

画像2: 全米各地で「Black Lives Matter」を訴える抗議デモ

 実際、「Black Live Matter/ブラック・ライヴズ・マター」の最前線では一体何が起きているのだろうか? “平和的な抗議デモ”に参加したセレブたちの証言をまとめてみた。

アリアナ・グランデ

画像: アリアナ・グランデ

 フロイド氏の事件が発生した直後に自身のSNSで、「#Black Lives Matter/ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命にも価値がある)特定の警察官を逮捕することだけが正義じゃない。これを許してしまった体系を解体させることこそが正義。#ジョージ・フロイドに正義を」と訴えていたシンガーのアリアナ・グランデは、ツイッターにほかの参加者とともにロサンゼルス市内を練り歩く様子を撮影した写真をアップし、「昨日、何時間も何マイルもかけて平和な抗議活動が行われたけど、ほとんど報道されなかった。私たちはビバリーヒルズからウェストハリウッドにかけて声を上げながら練り歩き、車でその横を通りかかった人たちがクラクションを鳴らして応援してくれた。私たちは情熱と愛を持って大声を上げた。どうかこの話もちゃんと伝えてちょうだい。#Black Lives Matter」とコメント。

 一部で非難の声が上がっている警察の横暴な取り締まりにはあわなかったようだが、ニュースに取り上げられるのは暴徒化した市民による破壊行為や略奪行為といったセンセーショナルなものばかりで、“ほとんどの抗議デモは平和的に行われている”という事実が報じられないことへの不満を漏らした

ホールジー

画像: ホールジー

 シンガーのホールジーは、平和的な抗議デモに参加している最中に、警察に包囲され、無抵抗だったにもかかわらずゴム弾で撃たれたことを自身のSNSで報告。「私たちは平和的で、(言われた通りに)両手をあげて、違反ラインを超すことなくじっとしていた。なのに、彼ら(警察)は私たちに向けてゴム弾や催涙ガスを何度も発射してきた。挑発をしていない市民に対して警察は何度も発砲した。私たちは2度撃たれた。1度目は(ゴム弾の)弾で、2度目は弾の破片。それから何時間にもわたって催涙ガスを浴びせられた」と、警察から過剰な制圧を受けたことを明かした。

 ホールジーは、後日、その時に撮影した写真を自身のツイッターにアップしている。

写真にはゴム弾が入った銃をかまえる警察の姿が写されており、かなり緊迫した様子が伝わってくる。

ダヴ・キャメロン

画像: ダヴ・キャメロン

 ディズニー・チャンネルのオリジナル映画『ディセンダント』シリーズなどの出演作で知られる俳優兼シンガーのダヴ・キャメロンも、人種差別抗議デモに参加したセレブの1人。しかし、ダヴもホールジーと同様に“平和的な抗議デモ”だったにもかかわらず、警察から過剰な制圧を受けたことを自身のツイッターで報告している。

 「平和的な抗議活動からちょうど戻ってきたところ。みんなで水やお菓子を分け合ったり、笑顔で声を上げたり、たくさんの情熱と愛であふれてた。にもかかわらず、警察は私たちを壁で覆われた駐車場へと追い詰め、すべての道を封鎖して、催涙ガスを撒き散らした。私たちはその場から動くことができず、大勢の人たちがフェンスを倒して脱出せざるを得なかった」

 「(自分が参加した抗議活動では)催涙ガスを撒き散らす必要性はまったくなかった。愛を持って書いたプラカードを掲げて、良い雰囲気のなか、静かに歩道を歩いて家へ帰る途中だった。なのに、(警察は)道の両端をふさいで、有刺鉄線で囲まれた駐車場へと私たちを誘導した。何の理由もなく、身動きを取れないようにされたの。なんなら参加者の半数以上が(プラカードや武器ではなく)手に花束を持っていたのに」

 幸いダヴは催涙ガスを浴びずに済んだが、「過剰すぎる対応に精神的に傷ついたわ。(警察の対応は)あまりにも馬鹿げてるし、不必要なものだった」と自身が経験した出来事について振り返っている。

コール・スプラウス

画像: コール・スプラウス

 すでに何度か抗議デモに参加している、元ディズニー・チャンネル・スターで現在ドラマ『リバーデイル』に出演する俳優のコール・スプラウスは、先日、自身を含む複数の抗議デモ参加者が「逮捕された」ことをインスタグラムで明らかに。

 コールいわく、自分たちはいたって“平和的”だったそうで、当時に状況について、「前線にいたほかの人たちと同じように、連帯を示して立っている時に拘束された。その場から立ち去るという選択肢を与えられ、立ち去らなかったら逮捕する言われた。その言葉を信じて大勢の人たちがその場を離れようとした瞬間、列をなした警察官たちに行く手を阻まれてしまった。そして、彼らは僕たちを結束バンドで縛り始めた」と説明している。

マディソン・ビアー

画像: マディソン・ビアー

 ジャスティン・ビーバーに発掘されたことによって一躍有名になったシンガーのマディソン・ビアーも、コールと同じくすでに何度か抗議デモに参加しており、「サンタモニカにいる人は今すぐ逃げて!今、催涙ガスをかけられた。彼ら(警察)はみんなに催涙ガスを浴びせて、逮捕している」とツイッターで警察に催涙ガスを浴びせられたことを明かすと同時に、ほかのデモ参加者に警告していた。

ビリー・アイリッシュ

画像: ビリー・アイリッシュ

 “ティーンのカリスマ”として知られ、弱冠18歳にして、今年のグラミー賞で女性アーティストとして史上初めて主要4部門を制覇したビリー・アイリッシュも、先日、米カリフォルニア州ロサンゼルスで行なわれた大規模な抗議デモに参加し、その模様を撮影した動画をインスタグラムのストーリーにアップ。

 参加者たちが黒人への人種差別に抗議するための象徴的なジェスチャーとなっている「Take a knee(テイク・ア・ニー)」と呼ばれるポーズを取り、拳を上げて訴えている様子など、ビリー自身は映っていないが、彼女の目線から撮影された動画を通じて“平和的な抗議デモ”がどのようにして行われているのかを伝えた。

一部の警察官が“ひざまずく”姿も

 ゴム弾や催涙ガスを用いた横暴な取り締まりなど、警察に関してあまり良い話は聞こえてこないが、先週あたりから、抗議デモの対応にあたる警察官たちが先ほど話に挙がった「テイク・ア・ニー」と呼ばれるポーズを取って、フロイド氏に哀悼の意を評する姿が、ニューヨークやマイアミなど複数の都市で目撃されている。

 ちなみに、「テイク・ア・ニー」は、2016年8月、当時、NFL(米フットボールリーグ)のサンフランシスコ・フォーティナイナーズに所属していたコリン・キャパニック選手が、有色人種のへの差別に抗議するために試合前の国歌斉唱中に起立することを拒否し、その代わりに、ひざまずくアクションを見せたことが発祥。

 「Black Live Matter/ブラック・ライヴズ・マター」を支持する人たちのあいだでは、フロイド氏が首を押さえつけられていた時間と同じ「8分46秒」にわたってこのポーズを取る動きが広まっている。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.