ニューヨークを拠点に活動するあるメイクアップアーティストが、メイクを通してメッセージを表現し、発信している。その美しいメイクと力強いメッセージをご紹介。(フロントロウ編集部)

あるメイクアップアーティストのメイクを通した問題提起

 今月6月は、LGBTQ+(性的マイノリティ)文化やコミュニティに理解を深める「プライド月間(Pride Month)」。そこで今回紹介するのは、「メイク作品」を通してメッセージを発信しているあるメイクアップアーティスト。

画像: あるメイクアップアーティストのメイクを通した問題提起

 ニューヨークに住むマット・バーンスタインは、メイクアップアーティストであり写真家。マットは、 LGBTQ+コミュニティの一員でありクィア(※)である自身の経験を活かし、ジェンダー、セクシュアリティ、公衆衛生、暴力などの社会問題についてのメッセージをメイクを通して発信している。

※時代や使う人によって定義が異なる場合があるが、現代において一般的には、”生まれた性と心の性が一致するシスジェンダーであり異性愛者である人”以外のことを指す。

 マットが作り上げるメイクは、LGBTQ+の象徴であるレインボーカラーを取り入れたカラフルなメイクと、文字やアートを描いて発信する強いメッセージ性が特徴。自身の経験や社会で起こっている問題を、顔や身体をキャンバスにした作品で伝えている。マットが披露したメイクのほんの一部をご紹介。

 下まぶたの粘膜にレインボーカラーの線を引いて、まつ毛を際立たせたアイメイクには、それを囲むように「人生は短い。だから好きなだけ自分らしく生きて」とメッセージを書き込んだ。

 マットのメイク作品の中には、顔だけでなくボディにメッセージをつづったものも。デコルテに書かれた「PRIDE MONTH(プライド月間)」の文字を「PRIDE LIFE(プライド人生)」に書き直したこの作品では、この画像と一緒に、「プライドはマラソン(長距離走)であり、スプリント(短距離走)ではない」というメッセージを添えて投稿。さらに、プライド月間は誇りあるものだけれど、LGBT+としての毎日はその1ヶ月だけでなく一生のことであると語り、自分はクィアとして同じコミュニティの人の声に傾け続けることを宣言した。

 2020年4月に作成されたこの作品では、同性婚が認められているわずかな国名を顔に描き、「なぜ‘プライド’が必要かって?世界のうち85%の国で、愛する人と結婚する権利が存在しないから」というメッセージを添えて投稿した。

 ほかにもマットは、インスタグラムに投稿した数多くのメイク作品で、日々起こっているさまざまな問題についてメッセージを発信しているけれど、その理由について、「とくに若い人たちにいろいろな社会問題を考えるきっかけになってくれればと思っている」と英Dazed Beautyでコメント。カラフルな色彩や美しいメイクを通してメッセージを発信することで、複雑な問題でも興味を持ちやすいと思ったことがきっかけだったと説明した。

メイクをするようになったきっかけ

 保守的な家庭で育ったというマットは、家族からの大きな期待を受けて育ったため、自分を表現するのが難しかったと自身の幼少期を振り返りながら、高校生のときに訪れた転機について明かした。

 マットは、「高校時代の一番の思い出は、友達の家で遊んでいたとき、女の子たちが小さなキラキラと黒いアイライナーを塗ってくれたこと」とコメント。そのときとても混乱しつつも、自分の殻を破れたと感じた瞬間だったと話した。

画像: メイクをするようになったきっかけ

 その後すぐには自分でメイクすることがなかったというマットだけれど、その数年後、ニューヨークに引っ越したことをきっかけにメイクをするようになり、インスタグラムを使って自身が感じたことをメッセージとして発信するようになったそう。

 そんなマットのインスタグラムのフォロワー数は32万人以上を誇り、その中には俳優でシンガーのダヴ・キャメロンなどのセレブも。

マットが考える「美しさ」の定義

 マットは、自分にとって最も美しく感じる瞬間はつけまつ毛を装着した直後で、とにかくまつ毛が大好きなのだという。

 そして「あなたにとって美しさとは何?」という質問には、「本当の美しさとは、ほかの誰かにどう見られるかではなく、自分がどう感じるかが重要だと思う」と回答。他人に決められた美しさよりも、自分が望む姿でいることが本当に美しい姿なのだと語った。

 メイクアップを通してさまざまな問題を提起し、メッセージを発信しつづけるマット・バーンスタイン。気になった人はぜひインスタグラムをチェックしてみて。(フロントロウ編集部)

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