2020年6月12日の金曜ロードショーは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』! 映画史に残る大人気SF映画だけれど、もしかしたらまったく別のタイトルになっていたかも?(フロントロウ編集部)

今なお愛されるSF映画の傑作

 1985年に公開され大ヒットした、ロバート・ゼメキス監督による『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。1989年にはPART2が、1990年にはPART3が公開され、劇中で登場した自動で靴紐が調節できる未来の靴「Nike Mag(ナイキ・マグ)」は2011年と2016年にナイキから限定発売されるなど、何十年にもわたり映画ファンから愛され続けている。

 1作目では、マイケル・J・フォックス演じる高校生マーティ・マクフライと、クリストファー・ロイド演じる科学者のドクが、タイムマシンに改造したデロリアンDMC-12で1985年から1955年にタイムスリップ。マーティが若い頃の自分の両親に出会い、騒動を巻き起こす。

画像1: ⓒAMBLIN/UNIVERSAL / Album/Newscom

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BTTFのタイトル、別の案が出ていた

 “未来へ戻る”という意味のタイトル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は物語を見事に表現しており、ファンの間では『Back To The Future』の頭文字を取って「BTTF」の愛称も使われている。しかし、本作の配給を担当したユニバーサル・スタジオの当時のトップ、故シドニー・シャインバーグ氏は当初このタイトルを気に入っていなかったため、タイトルの変更を要請していたという。そのタイトル案が…、

「Spaceman from Pluto(冥王星から来た宇宙飛行士)」

 なぜ『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が“冥王星から来た宇宙飛行士”?と思ってしまうこの代替案だけれど、ビジネスの視点から映画の脚本を見ていたシャインバーグ氏は、タイトルが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では、“ジャンル映画(※)”であることがあからさますぎると考えていたという。
 ※ジャンル分けが簡単にできる映画。それくらい単純明快な娯楽映画のこと。

画像2: ⓒAMBLIN/UNIVERSAL / Album/Newscom

ⓒAMBLIN/UNIVERSAL / Album/Newscom

 シャインバーグ氏は、本作の製作総指揮を務めたスティーブン・スピルバーグに、「観客にチープで古臭いSF映画に見られるだろう。ナンセンスだ!」という歯に衣着せぬ物言いのメールを送っている。

スティーブン・スピルバーグの天才的な機転

 当初、ゼメキス監督と脚本家のボブ・ゲイル氏はそのメモを無視していたそうだけれど、シャインバーグ氏の要請は本気。しかしここで、2人を救ったのがスピルバーグ氏。

画像: スティーブン・スピルバーグ(左)とロバート・ゼメキス(右)

スティーブン・スピルバーグ(左)とロバート・ゼメキス(右)

 本作は、ゼメキス監督とゲイル氏が20代の頃に企画し、配給会社を見つけるのに何年も苦労したという逸話があるのだけれど、そこに製作総指揮としてスピルバーグ氏が加わったことで、一気に企画が進んでいった。そんなスピルバーグ氏を若い頃に見出したのが、じつはシャインバーグ氏。長年一緒にやってきたからこそ、スピルバーグ氏はシャインバーグ氏からの無理難題を、機転を利かせてサラッと交わしている。当時のことについて、ゲイル氏は英Shortlistのインタビューでこう明かしている。

「どうすれば良いのか分からなかったので、スティーブンに(タイトル変更を求める)メモを渡しました。すると、『心配いらないよ。彼の扱い方は知ってるんだ』と言って、こんな返信を書いたんです。『ハイ、シド。すごく面白いメモをありがとう。みんなで笑いましたよ。これからもよろしく』」

 まさか冗談だよね?という態度を取ったことで、シャインバーグ氏がタイトル変更は本気だとは恥ずかしくて言えない状況を作り出したスピルバーグ氏。ゲイル氏は、「スティーブンなしでは、すべてがまったく違うものになっていましたよ」と振り返った。(フロントロウ編集部)

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