デザイナーでありスパイス・ガールズのメンバーだったヴィクトリア・ベッカムが、自身のファッションスタイルの変化について率直に語った。(フロントロウ編集部)

ヴィクトリア・ベッカム、若い頃は不安を抱えていた

 現在は自身の名を冠したファッションブランドを手掛けるデザイナーで実業家のヴィクトリア・ベッカムが、英The Guardianの企画で、ファッションを学ぶ大学生たちとともに1問1答。私生活でのファッションスタイルについて質問されたヴィクトリアが、若い頃は自分が抱えていた不安感が、ファッションに出ていたと明かした。

「コルセットをつけて、タイトなワンピースをよく着ていたし、今でもそのうちの何着かは持っているけど、プライベートでのファッションスタイルはかなりリラックスしたものになったの。振り返ってみると、すごくタイトですごくぴったりした服をいつも着ていたのは、不安感の表れだったのかもしれない」

画像: 1999年に撮影されたヴィクトリアと夫のデヴィッド・ベッカム。

1999年に撮影されたヴィクトリアと夫のデヴィッド・ベッカム。

 ヴィクトリアといえば、現在はファッションデザイナーとして活躍しているけれど、1994年から2001年までは、世界中で大人気を博したスパイス・ガールズのメンバーとして活動していた。つねに人目にさらされる生活で不安感があったのか、その気持ちを紛らわすためにタイトな洋服を着ていたと話す。

服は自分を守る手段のひとつ

 イケてるとされるファッションでも、逆に自分を隠すファッションでも、その服装で自分を守ろうとしている女性は多い。つねにダボダボな服を着ていることでも有名な、現代の若者を代表するシンガーのビリー・アイリッシュも、そのファッションの理由は自分を隠したいからだと話している。また、勝手に外見に意見されることについて自身のショートフィルムのなかでこう訴えている。

画像: 服は自分を守る手段のひとつ

「でも、私は見られている。いつも。人の目にさらされないものは何もない。だから私はあなたの視線、あなたの不安、あなたの安堵のため息、それを気にしながら生きていくことになれば、もう動くことができなくなる。私に小さくなってほしい?それとも弱くなってほしい? 柔らかく?背が高く?私に黙ってほしい? 私、肩で挑発している?それとも胸で?あとお腹?お尻?私が生まれてきた身体はあなたが望むものではないの?もし私が着心地いい服を着ていたら私は女ではないの?露出したら尻軽なの?あなたは私の身体を見たことがないのにいまだに批判する。そして決めつける。どうして?私たちは人のことをあれこれ推測する。ボディサイズで勝手に決めつける。どんな価値がある人かを決めつける。私がたくさん着たら、私が露出したら、誰が私のことを決めるの?それってどういうこと?私の価値はあなたがどう思うかで決まるの?それとも、私に対するあなたの意見なんて私の責任ではない?」

ヴィクトリア・ベッカム、ファッションの楽しみ方

 またヴィクトリアは、年を重ねた今は自立し、自分で自分に自信を持たせることができるため、自分に合ったファッション、無理のないファッションを楽しんでいるという。

画像1: ヴィクトリア・ベッカム、ファッションの楽しみ方

「(ブランドの)ビジネスが始まり、私はさらに忙しくなって、私のスタイルは変わった。スタジオでハイヒールを履いてすべてのことをするなんて出来ない。私は色々なことをやっているしね。ママであり、妻であり、毎日スタジオにいる。ニューヨークでのショーの時に、男っぽいズボンにスニーカーを履いて行ったら、みんなが大騒ぎしたのを覚えてる。『オーマイゴッド、彼女がスニーカーを履いてる!』ってね。でも年を取るにつれて、自分に対する自信も育っていったから。自分には何が合っていて、なにが似合って、なにが自信を与えてくれて、なにが着心地が良いか分かってる。今は、ファッションを通して証明したい何かがあるとは感じない」

 ヴィクトリアといえばつねにハイヒールを愛用していたことがジョークになるほどだったのだけれど、2016年にニューヨークで開催されたショーではフラットなサンダルで登場したことで、ヴィクトリアですらハイヒールは苦痛なのかとかなり大きな話題となっていたけれど、その背景にはこんな心の変化もあったよう。

画像2: ヴィクトリア・ベッカム、ファッションの楽しみ方

 ちなみに、女性へのヒール靴の“強制”は世界各国で長年問題となっており、2019年には女性へのヒール靴の強制が女性差別だとして、“強制的”な制度の撤廃を求めるKuTooムーブメントが、石川優実氏によって日本から世界へ広がった。(フロントロウ編集部)

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