クリストファー・ノーラン監督による映画『インセプション』の「あの結末」の真相を、映画公開から8年後にマイケル・ケインが明かしている。(フロントロウ編集部)

※この記事には、映画『インセプション』のネタバレが含まれます。

トリック満載の『インセプション』

 これまでに、『メメント』や『ダークナイト』3部作、『インター・ステラ―』など、数々の名作を生み出してきたクリストファー・ノーラン監督。そんな彼が2010年に手掛けた映画『インセプション』といえば、主演にレオナルド・ディカプリオ、そしてその他のメインキャストにジョセフ・ゴードン・レヴィット、渡辺謙、エレン・ペイジといった超豪華俳優たちを起用。ノーラン監督の頭の中を見事に具現化した映像美は、多くの映画ファンをうならせた。

 『インセプション』では、レオナルド演じるコブとそのチームが、夢の中と現実を行き来するため、どのシーンが現実でどのシーンが夢なのか混乱することも。その判断をするには、コブのトーテムであるコマが回り続ければ夢で、コマが自然に止まれば現実というルールがある。それこそが『インセプション』の面白い要素なうえ、ノーラン監督が本作のラストシーンで使ったトリックといえる。

コマは回り続けるのか…

 本作のエンディングでは、夢に潜っていたレオナルド演じるコブと、渡辺謙演じるサイトーは、夢の中に取り残されるが、最後には目を覚まし、コブはやっと自分の子供たちと再会できた。しかしその後ろで、コブのトーテムが、あと少しで止まりそうだけれど回り続けているという状態で映画は終了する。

 このラストは、映画を見たファンの間でももちろん大きな論点に。コブは本当に現実に戻ったのか、それとも夢の中にいるままなのか、その場合はサイトーも共に残されたのか、などといった多くの可能性があった。

 曖昧な結論で、解釈は観客に任せる作品は多いけれど、やっぱりはっきりした答えが欲しくなってしまう時も。そんなファンが満足できる回答がある。

ノーラン監督がマイケル・ケインに明かしたこと

 マリオン・コティヤールが演じたコブの妻モルの父で、コブの義理の父にあたるマイルス教授を演じたマイケル・ケインも、脚本を読んだ時に頭の中がこんがらがってしまったと、2018年にイギリスで参加したイベントで話した。そしてその正直な感想をノーラン監督に伝えたところ…?

「『インセプション』の台本を受け取った時、少し迷ってしまってね。彼に、『どこが夢か分からないね』と言ったんだ。『どこが夢で、どこが現実なんだい?』と聞いたら、彼は『あなたがいるシーンは現実です』と言っていたよ。だから、こう考えてください。私がいれば、それは現実。私がいなければ、それは夢」

 マイケルがいるシーンは現実。そして…、ラストシーンにはマイケルがいる! 

画像: マイケル・ケイン(左)とクリストファー・ノーラン監督(右)

マイケル・ケイン(左)とクリストファー・ノーラン監督(右)

現実説を裏づける他の考察も

 彼のこの発言を信じるとすれば、『インセプション』のラストは現実で、コブは無事現実に帰ってきたということになる。また、ラストは現実だという説を裏づける他の考察も存在する。

 そのカギとなるアイテムは、コブの結婚指輪。

 劇中で、夢のシーンではコブは結婚指輪をはめており、現実のシーンでは結婚指輪をはめていない。そしてラストシーンでは、コブは結婚指輪をはめていない。

 この考察1つでは、ラストシーンが現実かどうかを決定するには弱いと考えていたファンも多かったけれど、出演者であるマイケルが明かしたノーラン監督本人の発言を合わせたら、ラストは現実だと考えるには十分なものとなる。

 あのラストは観客の見方次第というのには変わりはないけれど、マイケルの発言が本当であれば、ノーラン監督はコブを現実に帰したようだ。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.