映画『バットマン』にジョーカー役として出演した俳優のジャック・ニコルソンは、ティム・バートン監督とジョーカーの髪の毛の色についての意見の違いでモメていた。(フロントロウ編集部)

ティム・バートンの名作『バットマン』

 1989年に公開された映画『バットマン』は、DCコミックスの同名ヒーローを主人公とした作品。監督は、映画『シザーハンズ』や『スリーピー・ホロウ』などの人気作を生み出してきたティム・バートンが務め、バットマン役にはマイケル・キートンが、ジョーカー役にはジャック・ニコルソンが抜擢された。

画像: ©️WARNER BROS/DC COMICS

©️WARNER BROS/DC COMICS

 本作の舞台はお馴染みのゴッサムシティ。悪がはびこるこの街に突如として現れ、次々と悪党を退治していくコウモリ男、バットマン。そして彼を嘲笑うかのように暗躍する犯罪組織とその新しいボス、ジョーカー。映画『バットマン』ではこの2人の戦いと、暗い過去を暴く。本作は、ダークでファンタジックな世界観の演出が得意なバートン監督の要素がふんだんに詰め込まれているばかりでなく、ジャック演じるジョーカーの怪演も光る。

ジャック・ニコルソン演じるジョーカー

 2019年に公開された『ジョーカー』のホアキン・フェニックス、2008年に公開された『ダークナイト』のヒース・レジャーと共に、名ジョーカーとしてその名をあげられる1人であるジャック。ファンの間では、「どのジョーカーが1番か」という論争も絶えない。

画像: 映画『ジョーカー』より(左)、映画『ダークナイト』より(右)

映画『ジョーカー』より(左)、映画『ダークナイト』より(右)

 バートン版『バットマン』のジョーカーは、コミックと同じく、化学薬品の液が入った槽に落ちて肌が白くなってしまい、髪の毛も緑色になってしまったという設定。ホアキンとヒースのジョーカーは暗い雰囲気に満ちていたけれど、ジャックのジョーカーはパレードしながら登場したり、犯罪用グッズを自作していたりと、まるで漫画から飛び出てきたかのようにコミカル。そんなところが逆に「狂気」を生み出していると評判だった。

画像: 映画『バットマン』より

映画『バットマン』より

 ふくよかな真っ白い顔にオレンジのシャツ、パープルのジャケット、グリーンの水玉リボン風ネクタイ、そして広い額にダークグリーンの髪の毛。不思議な組み合わせの服だと言うのに、なぜか完璧に着こなしているところが、さすがジョーカー。

 いまや誰が観てもジャックのジョーカーだと認識できるこのスタイルの中で、唯一監督のバートンとジャックの意見が合わなかった部分がある。 

ジャック・ニコルソンのジョーカーの髪色

 撮影当初、はジョーカーの髪色を“かなり明るい緑色”にしようと計画していたことが米Hollywood Reporterによって明かされた。ところがジャックはこの意見に反対。どうしても明るい色にしたくなかったらしいジャックは、コミックスのジョーカーを見せながら、「絵を見ると、彼の髪は明るい色じゃない」と言ったそう。

画像: ジャック・ニコルソン

ジャック・ニコルソン

 さらに、「そのレベルのピエロぶりはいらないんじゃないかな?」「心配しなくても僕が滑稽な感じに演じるよ。彼はジョーカーなんだから」と、重ねて説得。ジャックは一応楽屋でバートンが望むような明るい色のカツラを試したけれど、バートン監督はそれを見て明るすぎだということに気づき、あの髪色になったという。こうして収まった、バートン監督とジャックの髪色バトル。しかしその後も、ウィッグをつけるための映画撮影用の接着剤にアレルギーを起こすなど、ジョーカーの髪に関連したジャックの心労は続いた。

画像: ティム・バートン

ティム・バートン

 映画『バットマン』を見るときには、紆余曲折を経て定着したあの深緑の髪の毛にも注目してみて。(フロントロウ編集部)

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