シーア(SIA)が新曲「トゥゲザー」をリリース。聴く人を前向きにさせてくれるシーアの楽曲の魅力に迫りながら、彼女が新曲に込めた思いを紐解いていく。(フロントロウ編集部)

前向きなメッセージを歌い続けてきたシーア

 顔をほとんど覆い尽くすウィッグが特徴的な、オーストラリア出身のシンガーであるシーア。「シャンデリア」や「アライヴ」など、数々のヒット曲で知られる彼女だけれど、その唯一無二の特徴的な歌声で人々を惹きつけているのはもちろんのこと、卓越したソングライティングの才能で、ネガティブな感情をも前向きで元気が出るポップソングに作り変えてしまうのが彼女のすごいところ。

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 実はシーア、1997年にアーティストとしてデビューしたのだけど、アルコールなどの依存症に苦しみ、自分が有名になることに息苦しさを感じてしまって、表舞台から退いていた時期を経験している。その期間にはソングライターとして他のアーティストに楽曲提供することに徹し、DJのデヴィッド・ゲッタやポップシンガーのリタ・オラら多くの有名アーティストに楽曲を提供した。その後、“有名にならない”ように、顔を隠した上で自らもパフォーマーとして復帰することを決意したシーア。過去に様々な葛藤を経験したこともあって、彼女の楽曲は聴く人たちの感情に訴えかけてくるような、心を震わせる力を持っている。

「シャンデリア(Chandelier)」

 アーティストとして7年ぶりにリリースした復帰第1作目となる2014年発表のアルバム『1000 フォームズ・オブ・フィアー(1000 Forms of Fear)』に収録されている「シャンデリア」は、シーアの数ある代表曲の1つ。

 「シャンデリアにぶら下がって揺れている」と力強く歌うパートが印象的なこの楽曲だけれど、英語で“Swing from the chandeliers(シャンデリアにぶら下がって揺れる)”は、“騒々しくパーティーをする”を意味するフレーズ。「パーティー・ガールズたちは傷つかない」というフレーズから始まるこの楽曲でシーアが歌っているのは、アルコールなどに頼りながらも、毎日を懸命に生き抜こうとしている強い思い

「アライヴ(Alive)」

 「シャンデリア」と同じく、“生きる”ことへの強い思いが歌われているのが、2015年に発表され、翌年にリリースされたアルバム『ディス・イズ・アクティング』に収録されているシングル「アライヴ」。シンガーのアデルと共作したこの楽曲は、アデルの視点から書かれた楽曲だそう。これまでの人生で経験してきた苦しみを並べながら、シーアは「私はまだ息をしている/私は生きている」と力強く歌いあげ、聴く人たちを奮い立たせてくれる。シーアの楽曲には、ネガティブにもなり得る感情を前向きにさせてくれる力がある。

「サンタズ・カミング・フォー・アス(Santa's Coming For Us)」

 ポップソングの達人であるシーアにとっては、クリスマスソングだってお手の物。「夜が短くなってきた」と、クリスマスが夏に訪れるオーストラリア出身の彼女らしいフレーズから幕を開ける「サンタズ・カミング・フォー・アス(Santa's Coming For Us)」では、「あなたは私のツリーのてっぺんにいる天使」と歌いながら、「月に向かって歌うの/気持ちを解放して」と、クリスマス以外のことは忘れて楽しもうといざなってくれる。この曲が収録されている2017年発表のクリスマスアルバム『エブリデイ・イズ・クリスマス』はすべてオリジナル楽曲で構成されていて、ポジティブな楽曲を次々と作り出すシーアの器用な一面を改めて感じられる作品に仕上がっている。

2019年にはフジロックで来日

 2019年に開催されたフジロック・フェスティバルでは、ヘッドライナーの1人を努めたシーア。フジロックの名物とも言える大雨が降りしきる環境のなか、ダンサーらと共に独創的なステージを披露。なんと、このフジロックのステージはシーアが2019年を通じてフルスケールでライブを披露した唯一の機会となっていて、とても貴重なステージとなった。

画像: 2019年にはフジロックで来日

 シーアは日本滞在中、東京のマイクロブタカフェを訪れている様子や、アパレルショップを訪れた際の写真をインスタグラムに投稿。2つの投稿はシーアのチャーミングな素顔が垣間見られるものになっていて、日本をとても楽しんでくれたよう。

新曲「トゥゲザー」で伝えたいこと

 そんなシーアが今回、新曲「トゥゲザー」をミュージックビデオと共にリリースした。これはシーアが監督を務める新作映画『ミュージック』のサウンドトラックと、近日発売予定のニューアルバムに収録される楽曲。

画像: 新曲「トゥゲザー」で伝えたいこと

 シーアが「トゥゲザー」で歌い上げるのは、曲名が意味している通り、“一緒に進んでいこう”という前向きなメッセージ。「私には稲妻が見える/あなたの口から飛び出してくる/あなたが怖い思いをしているのが私には分かる/ライオンの姿も見える/今夜はあなたの流した涙で眠るみたい」と歌われるこの曲で、シーアは恐ろしい思いをしている相手に思いを馳せながら、「一緒になら高いところへ行ける」と手を差し伸べている。

ああ、あなたには私を愛せない
まずは自分を愛さないと
バカみたいに自分を気にかけてみて
まずは自分を愛してくれなきゃ、私のことも愛せない
自分を愛さないと

 相手が抱えている恐ろしい気持ちを「稲妻」や「ライオン」に例えながら、“まずは自分を愛してみて”と投げかけるシーア。心に秘めた恐怖のようなネガティブな感情を前向きなポップアンセムに変えて、シーアは「さあ、過去に火を点けて/立ち上がって、顔を空に向けて」と、聴く者に前を向くように促してくれる。

 けれど、シーアが前を向くように促しているのは、必ずしも相手のためだけではない。彼女は「私は愛が欲しいし、愛を与えたい/愛が欲しい、愛を運んできて」と歌いながら、自分も愛を必要としている1人であることを打ち明ける。この楽曲に込められているのは、“誰しもが愛を必要としている”というメッセージ。「一緒になら高いところへ行ける」と歌われる「トゥゲザー」でシーアが伝えようとしているのは、まずは相手に愛を与えて、相手にも愛を返してもらって初めて「一緒」になれるということ。そのためには、前を向いて、自分自身を愛することが大切だと歌われている。

ポジティブな雰囲気漂うカラフルなMV

 楽曲に漂うポジティブな雰囲気は、合わせて公開されたミュージックビデオの色彩豊かな世界観にも表れている。シーア自らが監督を務めたミュージック・ビデオには、来たる映画『ミュージック』で主人公のミュージック役を演じる女優のマディー・ジーグラーが出演。シーアのファンにとっては、「シャンデリア」や「ザ・グレイテスト」などシーアの多くのミュージックビデオに出演してきたお馴染みの「あの子」と言えばピンとくるかもしれない。

 ビデオは、虹と雲をモチーフにしたヘッドフォンをつけながら踊るマディーの周囲に次第に人々が集まってくるというもので、四方を虹色に塗られた壁で囲まれた部屋に、次から次へと人が集まってくる。大人の男性や女性、そして大勢の子供たちが続々と部屋に入ってくるのだけれど、その人たちの着ている衣装の色はもちろん、肌の色や年齢、体型は実に多様。ここにも、シーアの“一緒になって”というテーマが込められていると言えそう。あらゆる人々をお互いが受け入れるべきというメッセージが見て取れる。

シーア、初監督を務める映画のテーマとは?

 「トゥゲザー」がサウンドトラックの1曲として使用される近日公開予定の映画『ミュージック』は、ケイト・ハドソン演じる中毒症状を克服した女性ズーが、マディー演じる義理の妹で自閉症の少女ミュージックの唯一の後見人となり、この世の中をどう生き抜いていくべきかを模索していくという物語。シーアは自らが監督を務め、脚本にも参加した同作を通じて、「自分の意見を持つこと、家族を築くこと」という、彼女が大切だと考える2つのテーマを描いているという。

 とりわけ、「家族」というテーマについて言えば、これはシーアがキャリアを通じて声をあげてきたテーマの1つ。彼女は、自分たちで家族のような存在になることを選んだ血縁の繋がっていない人々同士による「Chosen Family(チョーズン・ファミリー)」を支援してきていて、2017年にはチョーズン・ファミリーの人々を支援するためのチャリティTシャツも販売した。

画像1: シーア、初監督を務める映画のテーマとは?

 オーストラリア出身のシーアは、1997年に渡英してイギリスで生活していた際、当時の恋人を交通事故で亡くしている。その後、ドキュメンタリー監督のエリック・アンダース・ラングと2014年に結婚。2016年に彼と離婚し、子供はいなかったシーアだけれど、彼女は先日、現在18歳の男の子2人を養子として迎え入れていたことを明らかにした。元々チャリティ活動に熱心だったシーアは、犬や猫の保護活動を行なう団体も長年支援し、シェルターから引き取ってきた犬3匹を飼っている。

画像2: シーア、初監督を務める映画のテーマとは?

 犬3匹と暮らしていた生活に息子2人が加わり、家族が増えたシーアにとって、「トゥゲザー」で歌われている“思い合う”気持ちは、彼女が心から感じていることに違いない。いつだって前向きで力強い気持ちにさせてくれるシーアだけれど、新曲でもこれまでと同じくポジティブなメッセージが溢れている。そんなシーアのシングル「トゥゲザー」は現在発売中!

<シングル情報>

SIA / シーア
「Together / トゥゲザー」
2020年5月20日配信
ダウンロード / ストリーミングはこちら

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(フロントロウ編集部)

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