カニエ・ウェストが今年11月に行なわれる米大統領選への出馬を表明して以来、初めて自身の思いをインタビューで告白。出馬を決意した経緯や、最近まで支持を表明していたドナルド・トランプ元大統領に対する思いなどを語った。(フロントロウ編集部)

トランプ大統領とは別の道を進むとカニエ・ウェスト

 米Forbesがカニエ・ウェストにインタビューを敢行。彼が今年11月に行なわれる米大統領選への出馬を表明して以来、初めて応じたインタビューとなっている。

画像1: トランプ大統領とは別の道を進むとカニエ・ウェスト

 カニエは米現地時間7月5日に自身のツイッターを更新。「俺たちは今、神を信頼し、みんなが持つビジョン(未来像)を統一し、未来を築くことでアメリカの約束を果たさなければならない。俺はアメリカ大統領に立候補する。#2020VISION」とツイートして、来たる今年の11月3日(火)に行われるアメリカ大統領選挙に出馬する意向を示した。

 今年4月には、今年の大統領選で再選を目指しているトランプ大統領に投票することを宣言していたカニエが大統領選への出馬を表明したことに対し、一部では、カニエが反トランプ票を自分に集めてトランプ大統領を再選させようとしているのではないかとの見方もあったのだけれど、どうやらそういうわけではないよう。

 トランプ大統領が掲げる「Make America Great Again(アメリカを再び偉大にしよう)」というスローガンが書かれた赤いキャップをかぶって彼への支持を表明していたことで知られるカニエは、米Forbesとのインタビューのなかで、「このインタビューでは、赤い帽子を脱ぐよ」と宣言。トランプ大統領とは別の道を進む姿勢を示した。

画像2: トランプ大統領とは別の道を進むとカニエ・ウェスト

 「トランプはここ数年で、神様を会話の中に最も近づけた大統領だった」と、共和党の大統領候補であるトランプ大統領のこれまでの取り組みを評価した上で、カニエは「トランプがいなかったら、俺は共和党から立候補するよ。トランプがいるのであれば、俺は単独で立候補する」と明言。あくまで共和党の支持者であるとしつつも、トランプ大統領と代表の座を争わないために、大統領選には独立して出馬すると明かした。

 インタビュアーから、自身の立候補は反トランプ票を集めることになり、トランプ大統領の再選を助けることになるのではないかと指摘されると、カニエは「それを否定するつもりはない。それは言えるね」と認めた上で、「黒人だから民主党に投票するというのは、人種差別の一つだと思うし、白人至上主義的だよね」と、自身が所属する黒人コミュニティの有権者たちが必ずしもトランプ大統領に反対しているわけではないと指摘。

 「俺が赤い帽子を被っていた主な理由の一つは、黒人コミュニティにおける隔離された投票権に反対を示すためだ。それから、俺はトランプホテルが好きだし、そこのロビーにあるサックスも好きだからね」と語り、自身がトランプ大統領への支持を大々的に示していたのは、「黒人=民主党支持」という偏見を壊すためだったと説明した。

黒人が民主党を支持しているという偏見は差別とカニエ

 カニエはこれまで投票したことがなかったと明かした上で、今回の大統領選では元々投票に行くつもりだったとして、「俺が初めて選挙で投票しようと決めたのは、怖かったからだ」と告白。

 「もし俺がトランプに投票すれば、俺の音楽キャリアは終わりだって言われたんだよ。(民主党という)一つの政党を支持するように脅迫されたんだ。セレブリティとして、一つの政党を支持するように脅迫されたんだよ。黒人として、民主党を支持するように脅迫されたんだ。民主党員たちがしているのはそういうことなんだよ」と、音楽業界やショウビズの世界には、民主党支持派でなければいけないという暗黙のしきたりがあると批判した。

画像1: 黒人が民主党を支持しているという偏見は差別とカニエ

 また、大統領選で争うことになる、民主党の大統領候補であるジョー・バイデン元米副大統領については次のように語った。「多くの場合において政党の人たちは、黒人なら民主党員にならなければいけないと考えているわけでね。ジョー・バイデンという男は、自分に投票しなければ、その人は黒人じゃないと言ったんだ」とカニエ。「それを聞かなかったフリをしたらよかったのか? 俺たちは、あの男がそう言ったことを聞かなかったフリをするのか? あの男はそう言ったんだ」

 「他の候補者の人たちには、身を引いてもらいたい。トランプとバイデン、身を引いてください。ここは神様の国だからね。俺たちの行動はすべて、神様のためのものなんだ。他の誰でもなく、神様のためさ。俺は、我らが主で、救世主であるイエス・キリストに仕えてる。俺は自分が手にしたものをすべて、神様に捧げているんだ」とクリスチャンらしくカニエは語り、大統領選への出馬を決めたのは神様の名のもとで国を一つにするためだと説明した。

画像2: 黒人が民主党を支持しているという偏見は差別とカニエ

カニエ・ウェストの出馬に否定的な意見も

 大統領選への出馬を表明した当初は、本当に出馬するのかと懐疑的な見方も一部であったカニエだけれど、今回の発言を見るに、かなり本気で大統領選に挑む心意気であるよう。すでにテキサス州、ノースカロライナ州、ニューヨーク州、メイン州、ニューメキシコ州、インディアナ州では独立系候補者の登録を締め切っているため、これらの州ではカニエの不戦敗が確定していたり、連邦選挙管理委員会への登録や公約を提示する必要があるなど、実際の出馬には越えなければいけないハードルは多い。

 加えて、トランプ大統領の支持を公言していたカニエだけれど、彼の妻であるキム・カーダシアンが2018年にカニエのトランプ大統領支持について、「彼はドナルド・トランプという人物が好きなだけ。政治については分かっていないの」と発言するなど、カニエがトランプ大統領の政策をきちんと理解せずに支持していたことも判明しており、カニエが本当に彼の政策そのものを支持しているかどうかは不明。

 また、カニエは過去に「奴隷制度が400年間も続いていたんだ。400年もあったら選択肢のように感じる」と米TMZに語り、黒人たちの奴隷制度を肯定するような発言をするなど、問題発言も多く、現時点で大統領選の公約は発表されていないものの、彼の政治家としての手腕を疑問視する声も多い。

 ちなみに、カニエが米Frobesに明かしたところによれば、カニエは、自身と同じくたびたび炎上発言をすることでも知られる、テスラ社やスペースX社のCEOを務めるイーロン・マスクの助言のもと、「the Birthday Party(バースデー党)」という新たな政党から出馬するそう。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.