アンバー・ハードが元夫のジョニー・デップに送ろうとしてしたためたという怒りや絶望が込められた「私的メール」が法廷で読み上げられた。その衝撃的な内容を全文訳。

アンバー・ハードがジョニー・デップに“送ろうとした”メール

 映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』などで知られる俳優のジョニー・デップが自身を「Wide Beater(妻を虐待する者)」と呼んだイギリスの大衆紙The Sunの発行元である出版社New Group Newspapers(以下NGN)を名誉毀損で訴えている裁判が終盤へと突入するなか、被告側の証人として裁判に登場し、ジョニーとの交際・婚姻中に彼から精神的・肉体的暴力を受けたと主張している元妻で俳優のアンバー・ハードが、2013年にジョニーに宛てて書いたと言われるメールの内容が法廷で公開された。

画像: アンバー・ハードがジョニー・デップに“送ろうとした”メール

 映画『ラム・ダイアリー』での共演がきっかけで2012年からジョニーと交際を始めたアンバーは、これまでの裁判で、彼女いわく、アルコールや薬物を乱用しているシラフではない状態は「モンスター」のような別人格となってしまうというジョニーから、共演者や友人との浮気を疑われ、2013年頃から、再三にわたって激しい家庭内暴力(DV)を受けてきたなどと主張。

 英現地時間7月27日の朝に行なわれた、裁判15日目のNGN側弁護士による最終弁論では、2013年にアンバーがジョニーに宛てて書いたものの、送信はせずに保存しておいたといわれるメールの全文が読み上げられた。

 アルコールや薬物の乱用により、手がつけられない状態となることもあったというジョニーとの別れを決意して書いたようにも受け取れるメールには、ジョニーの二面性や荒れた生活ぶりに言及し、周囲のスタッフに失態の尻拭いをさせている彼を「Man-child(幼稚な大人)」と形容する場面も。その一方で、彼を愛している、どうしたらいいかわからないといった苦悩を抱えている様子も綴られている。

 以下、英Sky Newsが入手した裁判記録に含まれるアンバーからジョニーに宛てたメールの内容を全文訳。

私、もうこれ以上続けられるか分からない。まるで『ジキル博士とハイド氏』(※1)のよう。あなたの半分は狂おしいくらい愛してる。でも、もう半分は恐ろしく感じる。私は彼には対応できない。そうできたらいいけど、私にはできない。それに、あなたがドラッグを使っている限り、私がそのモンスターと対処しなければならないのは間違いないみたい。

もう一度言うけど、「何が」「どうやって」「いつ」を知ることが違いを生む。ある時は二日酔い、翌朝が激しい流血の惨事のようになることだって予想しなくちゃならない。
あなたは、自分の言うことを何でも聞き入れてくれる人たちに囲まれた世界で生きている。自分の言うことを聞かない人は排除し、嫌っている(あなた自身は、その事に気づいていないかもしれないけど)。

私には、誰がどのカテゴリーに当てはまるのか、簡単に見分けることができる。あなたがどれだけ頻繁にその人たちに会うか、日常において彼らがどんな役割を果たしているか、そういうので分かる。

昨日、私は、あなたの周囲に居たすべての人が、あなたを引き起こすのを見た。あなたを抱えるようにして。あなたが、何とかうまく人生をやっていけるように。あなたが崩れ落ちるのを阻止してた。あんな風にみんなが助けてくれたら、それがどんなにあなたやあなたの人生を傷つけることか、もちろんあなたには知ることができないでしょうね。

問題は、私には、手遅れになる前に、どちらのあなたと対峙してるのかに気づけない、もしくはその境い目が理解できないってこと。あなたがお酒を飲んでいる時は、私はモンスターと接しているんだとわかる。そんな時、あなたは、虐待され、恐怖を抱え、不安で暴力的な少年。でも、その線引きが私にはどうしてもわからない。

だって、あなたは、周りの人にお金を払って、自分がどん底に落ちるのを防いでもらってるから。

昨日、私は、あなたが3回も嘔吐しながら意識を失うのを見た。3回とも、ジェリー(※2)があなたを床から担ぎ上げなくてはならなかった。飛行機では、ネイサン(※2)が、これまでに何度も、トイレでカギをかけたまま眠ってしまってしまったあなたを起こすためにドアを壊して侵入しなくてはならなかったと話していた。

もし誰かがあなたに正直に話したり、その現場を見せたとしたら、あなたは数えきれないほど、恥をかくことになるでしょうね。もしあなたが、ああいう状態の時の様子を誰かが(カメラで)撮っていたら、あなたはきっと、ものすごく屈辱的な気分になると思う。ああいう事が起こるのを見ているだけでも、恥ずかしい。

あなたには分からないでしょうね。だって、人々(友だちって言うの?)は、あなたの前では微笑んでるから。でも、みんな裏では、自分の尿や吐しゃ物にまみれた大人の男を引き起こすことが、いかに馬鹿げているか、呆れ顔をしてる。彼が、自分自身では、どんなに情けない姿をしているかなんて知る由もないとわかりながらね。

二日酔いもそうだけど、薬をやった後も同じくらい悲惨だよね。あなたは意地悪く無神経になる。

私には、あなたと一緒に居なくちゃいけない理由なんて無い。だからそうしないつもり。あなたからお金をもらっているわけじゃないし。自分の仕事や生活、子供のために、あなたに嘘をつく必要もない。

あなたに縛りつけられたくない。私が守るべきものは、私自身の自由だと気づいた。私はあなたを決して信じないし、あなたの罠にははまらない。

私は、あなたが具合が悪くなるまで飲んで、冷たい床で気を失うのを見た。あなたは、縫わなくちゃならないほど、ひどく自分の体を切りつけたこともあった。

あなたは、自分でも思ってもいないことを口に出す。理解不能な事を口にすることだってある。だからみんな、何とかあなたをなだめようとする。さらに悪い事に、あなたは自分にも嘘をつく。そして、それを信じるの。

あなたの周りには、いつもあなたをあなた自身や真実から守ってくれるイエスマンばかり。彼らが落胆した様子であなたを見ているのは真実でしょ? ああ、それじゃ上手くいかないはずだよね。 

もしも彼らが、糞にまみれたあなたを鍵のかかったバスルームに放置して、あなたが仕事をすっぽかすようなことがことがあったら、その時こそ、あなたは学ぶことができるのかも。自分で自分の世話をするということを。

あなたは自分のことをすごくタフで、ビッグで自滅的な人間だと思ってる。そんなの私にとっては、マジでどうでもいい。

もしあなたがそうしなければ、そんなにたくさんお世話係がいる必要ないよね。あなたは、自分の問題や痛みから逃げている間、彼らに面倒な事をぜんぶ処理してもらってる。お金を払って雇っているアシスタントや家族に自分の失態の尻拭いをしてもらうなんて、ホント、偉大な男だよね。

本当の男は、赤ちゃんみたいにお世話をしてもらう必要なんてない。昨夜私が見たのは、まさに子供。

最初、あなたは私に安心だと感じさせた。まるで私のことを心配してくれているかのように。あなたと家族を持てるんじゃないかとすら感じた。真の男だと感じさせた。でも、それは、あなたの半分だけだった。

昨日、そしてこれまでに何度も、私が見たのは、世話のやける幼稚な男性。私はほかの大人の男性たちが、あなたを拭いてあげているのを見た。便利な事に、あなたは、覚えていないみたいだけど。よかったね。

だから、あなたは、自分がついたたくさんの嘘から逃げることができてる。あなたは自分がつくクレイジーな嘘で自分を騙している。しかも、それについて誰にも何も指摘されないことに慣れすぎているから(彼らはあなたに雇われてるんだから、当たり前だよね)、自分の嘘を信じてしまうんだね。(参考が必要?あなたは、私が先にあなたを叩いた、もしくは、私がドラッグを隠したと思い込んでいた…とか、リストアップしたらきりがないよ)

まずは、自分の汚点を認めなさいよ。あなたは何度も私を傷つけた。シラフではないとき、あなたは、身体的にも私を傷つけたし、言葉の暴力で精神的にも私を傷つけた。

モンスターが姿を現すと、あなたは陰湿で酷い人になる。その反対が、私があなたを愛している理由。

私はどうしたらいいの? 1人の人と恋に落ちたはずなのに、その人が、じつは“2人”だったと知ったら? どちらのあなたも、私にとっては人生最大の愛。モンスターは同じ顔をしている。これがどんなに私を混乱させるか、わかる?

私は怒ってる。すごく怒ってる。不良品を売りつけられた時、どんな風に感じる? 私はシラフのあなたに恋に落ちたのに。1年間、シラフだった頃に。まさか、こんなトラブルが潜んでるなんて、どうやったら気づけたっていうの? 良い部分だけを見せて私に恋をさせておいて、いざ、手に落ちたら被っていたマスクを破って正体を見せるなんて。私は自分が世界一の馬鹿のように感じてる。

私はこれまでたくさん我慢してきた。直接的にも、比喩的にも、あなたの排便や吐しゃ物、尿を片付けたことだってある。

身に覚えのないクレイジーな事で非難されたことだってある。あなたは、酒に酔ってした事について謝罪したことなんてないけどね。

あなたは私の事を何度も叩いた。それは、絶対にするべきではないことだった。なんて人なの? お酒やドラッグをやらなければ、絶対にそんなことするはずなかったのに。

※1 1886年に出版されたロバート・ルイス・スティーヴンソンによる小説『ジキル博士とハイド氏』のこと。同作は、二重人格を題材にした作品であり解離性同一性障害の代名詞として「ジキルとハイド」というフレーズが使われることも多い。物語は、ハイドという裏の顔を持つジキルが薬を飲むことによって性格、および容貌までも変化するという怪奇的な小説となっている。

※2 ジョニーの元で働く側近たちの名前。

 この日、ジョニーによるアンバーへのDVを主張している被告側の弁護人は、ジョニーがあまりにも酒やドラッグに溺れていたために、アンバーにした暴力行為を覚えていないのではないかとも指摘。

 ジョニーはアルコールや薬物の使用は認めているものの、アンバーへのDVに関しては強く否定しており、アンバーがDV被害の証拠として提出したアザなどの写真は、彼女が捏造した疑いがあると主張している。

 28日に行なわれた裁判最終日のジョニー側の弁護士による最終弁論でも、アンバーが嘘をついているという点が強調された。ジョニーの弁護士は、DVを受けたのは、ジョニーのほうであるという主張を最後まで貫き、「彼女(アンバー)こそが虐待する者であり、デップ氏ではありません。彼は妻を虐待する者ではありません」と高らかに論じた。


集まった群衆に向けてアンバーが演説&ジョニーは笑顔

 2人の裁判は、ひとまず7月28日で閉廷。この後、裁判官たちによる審議が行なわれ、後に判決が下される。

 最終日に高等法院から出てきたアンバーは、階段の上に立ち集まった群衆に向けてスピーチ。

画像1: 集まった群衆に向けてアンバーが演説&ジョニーは笑顔

 「2016年にジョニーに対する接近禁止令が出され、離婚が成立したあと、私はもうその先の人生へと進みたいと思っていました。今回の裁判を起こしたのは私ではありません。この件はとても重大な問題ですが、私は法廷に立つことは望んでいませんでした。ジョニーとの破局を振り返り、自分の動機や真実を疑われ、ジョニーとの生活で経験した最もトラウマ的で個人的な出来事の数々が法廷やメディアの放送によって世界中に知られることは、信じられないくらい辛いものでした。私は自分の法廷での証言を固持するとともに、イギリスの司法を信じます」などと語った。

 一方のジョニーは、アンバーのようにスピーチは行なわなかったが、「Justice for Johnny!(ジョニーに正義を!)」と合唱するファンたちの声援に笑顔で応え、差し出された花束やテディベアを受け取り、手を振ったり拳を突き上げたりしながら、高等法院を後にした。

画像2: 集まった群衆に向けてアンバーが演説&ジョニーは笑顔

(フロントロウ編集部)

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