テイラー・スウィフトのニューアルバム『フォークロア(Folklore)』のグッズに配されたロゴが、既存のオンラインセレクトショップのロゴに酷似していると、ショップの運営者からクレームがついた。「盗作疑惑」へのテイラー側の対応がかなり迅速でさすが。(フロントロウ編集部)

テイラー・スウィフトのアルバムグッズのロゴに「盗作疑惑」

 シンガーのテイラー・スウィフトが新型コロナ禍のステイホーム中に制作したニューアルバム『フォークロア(Folkrore)』は、事前告知ほぼゼロのサプライズリリースだったにもかかわらず、発売後24時間で130万枚を売り上げたほか、Spotify、Apple Music、Amazon Musicといったストリーミングサービスでの再生回数においても、それぞれ新記録を樹立するほどの大ヒットを記録している。

 テイラーは、そんな『フォークロア』の発売を記念して公式オンラインストアを通じてさまざまなグッズを発売。しかし、そのいくつかにプリントされたロゴが、アルバムと同名のオンラインセレクトショップが以前から使用してきたロゴとあまりにも似ていると運営者から指摘が寄せられた。

 アフリカ発のブランドの商品や、そのほかの民族の人々が製作したアイテムを取り扱うオンラインセレクトショップ、「The Folklore(ザ・フォークロア)」の運営者であるアミラ・ラスールという女性は、ツイッターで「ちょっと待ってよ、テイラー・スウィフト。まず、“Folklore(フォークロア)”っていう名前が被ってるし、黒人女性(が運営するショップ)のロゴを盗むってどういうこと? 」と動揺を露わに。

 インスタグラムでも「テイラー・スウィフトが“The Folklore”のロゴがプリントされたアルバムグッズを販売しています。私たちのロゴとあまりにも似ているため、グッズをデザインを担当したデザイナーは、私たちの会社のロゴを盗作したのではないかと思います」と投稿し、「この明らかな盗作を見逃すわけにはいきません」、「みなさんもツイッターやインスタグラムでの拡散に協力してください」と呼びかけた。


盗作疑惑に迅速な対応

 事態を重く見たテイラーのチームは、すぐに類似性が認められたロゴのデザインを修正。“The Folklore Album”と表記されていたロゴの”The”を取り除き、公式ショップの商品写真にもすべて変更を反映した。

 さらに、テイラーの広報は、米Instyleを通じて今回の件に関して声明を出し、「昨日、私たちは、アルバム『フォークロア』のいくつかのグッズに関して、“folklore album”の前に“the”を使用することの問題点に気づきました。“folklore album”という表記の前に“the”がついたロゴが入った商品は、現時点ではまだ生産されておらず、出荷もされていません。私たちは、誠意をもって、彼女(指摘者のアミラ)のリクエストに応じると共に、すでに商品を注文してくださった方々にデザイン変更が生じる旨をお伝えしました」とコメントした。


スピーディーに対応したワケ

 ロゴはかなりシンプルなデザインであり、傍目から見ると、実際に盗作にあたるかどうかは微妙なラインのようにも見える。しかし、テイラーと彼女のチームは、ビジネスを妨害されかねないと危機を感じたアミラの要望に、真摯に、そして迅速に対応した。

 これには、アミラも納得しているようで、その後、SNSを更新して、まだ決着はついてはいないことを示唆しながらも、「テイラーのチームが私の会社のブランドに損害を与えたことを認識してくれたことを称賛します。私は彼女が、これまで、女性のクリエイティブな権利の推進に熱心に取り組んできたことを認識しています。彼女のチームが自分と同じ考えを持ってくれていることを嬉しく思います」とコメントした。

 『フォークロア』のグッズのロゴデザインから“the”が排除されたことは、「素晴らしい第一歩」とも評したアミラ。現在は弁護士とともにテイラーのチームと協議中だといい、今後、さらに然るべき措置が取られるだろうと報告している。

 アミラのコメントにある通り、テイラーは女性の人権向上や男女平等を目指す活動に熱心に取り組んでいることで知られる。

 さらに、テイラーは、黒人に対する人種差別撤廃や権利向上を訴えるムーブメント「ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter/黒人の命も価値がある))にも賛同を示しており、今回の件に関して、すみやかな対応が行なわれた背景には、黒人女性オーナーであるアミラのビジネスの妨げになってはいけないという思いにくわえて、彼女が運営するセレクトショップがアフリカ系の人々の生活を豊かにすることに繋がるビジネスを行なっているということも影響したものとみられる。

追記:テイラーは、米現地時間の7月30日、アミラに宛てて「あなたの仕事ぶりを尊敬しています。あなたの会社と8月3日に始動するBlack in Fashion Council(ファッション業界における黒人評議会)を寄付によって支援したいと思っています」とツイート。ファッション界の黒人コミュニティをサポートすることを宣言した。アミラもこれに「ありがとう、テイラー。ベストを祈っています」と返答。この問題は決着がついたことを明かした。

(フロントロウ編集部)

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