若者から評価される『セックス・エデュケーション』
Netflixドラマ『セックス・エデュケーション』は、2019年に配信が開始されてこれまでにシーズン2までが公開。現在シーズン3が制作中。本作では、人間関係としてのセックスをテーマに、異性愛や同性愛、パンセクシャルやアセクシャル、性暴力や親子関係の問題など、現代を生きる人が安心して見られて、そして刺激をうけるストーリーを生み出しており、シーズン1ですでに、2019年のNetflixで最も視聴されたドラマランキングの5位に入ったほど。
すべてのキャラクターに個性がある本作で、エイサ・バターフィールド演じるオーティスの親友であるエリックは、悩みながらも自分らしい道を進もうとする姿で視聴者を感動させている。
エリック役チュティ・ガトゥ、デパコスをまとめ買い
そんなエリックが自己表現をするうえで大切にしているものといえば、メイクとファッション。彼を演じるうえで、エリック役のチュティ・ガトゥはメイクアップアーティストと深くコミュニケーションを取り、エリックを作り出していったという。そんなチュティが、英Radio Timesのインタビューで、プライベートな時間でもエリックを表現するために役作りを行なっていたことを明かした。
「舞台でのちょっとしたツヤ消しクリーム以外、メイクはしたことがなかった。(流行に敏感なデパートとして知られる)ハーヴェイ・ニコルズに行って、フェンティをまとめ買いしたことを覚えてるよ。フェンティはセットでも使ってもらうようにしたんだ。リアーナのブランドで、僕は黒人がやってるビジネスをサポートしたいから」
黒人のビジネスをサポートしたいという理由からフェンティ・ビューティをまとめ買いし、撮影現場でも自分が応援するフェンティ・ビューティを使用してもらうという芯の通った性格も垣間見せた彼は、さらにこう続けた。
「そして、僕は家でYouTubeのメイクアップチュートリアルをめちゃくちゃ見て、自分でどうすれば良いのか学んだよ。それがエリックの成長の大きな部分だから」
YouTubeのメイクアップ動画といえば、メイクの研究のために見る若者は多いけれど、チュティもエリックを演じるうえで、そんな若者の1人となったよう。ちなみに、初めてデパートでコスメを買うことにまったく抵抗はなかったという。
チュティ・ガトワ、撮影を通して成長
そんなチュティも、あるシーンではさすがに勇気を出して撮影に臨んだと認める。それは、メイクだけでなくファッションも完全にキメて、ウィッグにヒールで登場したシーン。シーズン1では、エリックがウィッグを被りヒールを履くシーンは複数あるので、どのシーンの撮影のことかは定かでないけれど、エリックにとって大きな出来事であったことは確か。そしてその撮影を通して、チュティ自身も成長したと語る。
「ウィッグを被って、完全にメイクをして、ピンヒールを履いたシーンがあったんだけど、その時には『オーマイゴッド。(地元の)トッテナムの家族や友達!みんなはこの僕を見たことがないよね…』って思った。あれはすごくチャレンジなことだったけど、より度胸のある俳優になれたと思う。自分の不安感や、他人が自分をどう見てるかを乗り越えなくてはいけなかったけど、素晴らしい気持ちになれた。自分の人生であんなに度胸があると感じられたのは初めてだった。あれは、エリックを演じるうえでのすごく良い経験だったよ」
視聴者の心にも訴えかけるものがあったそれらのシーンで、チュティ自身もエリックと同じような葛藤や不安を抱え、そして成長していたというのは、ファンにとってもジーンとくるエピソード。『セックス・エデュケーション』でのチュティの演技は評価されており、今年2020年の英国アカデミー賞テレビ部門(BAFTAs)にノミネートされている。
『セックス・エデュケーション』のキャスト達は、自身が演じたキャラクターに似た感性を持っているのか、メイヴを演じたエマ・マッキーは、過去に性教育やメイヴの描き方などについてしっかりとした意見を語っている。(フロントロウ編集部)