『エターナルズ』クロエ・ジャオ監督の挑戦
2021年2月に公開予定のマーベルMCU映画『エターナルズ』。アンジェリーナ・ジョリーがセナ役でついにMCU入りして話題となった本作では、イカリス役にリチャード・マッデン、セルシ役にジェンマ・チャン、ブラック・ナイト役にキット・ハリントンなど、多くの人気俳優が名を連ねている。さらに本作では、ブライアン・タイリー・ヘンリーが演じるファストスと、ハーズ・スレイマンが演じるキャラクターは2人の子供を持つ同性カップルで、MCU史上初となる同性同士のキスシーンがあることでも知られている。
そんな期待の作品の監督を務めるのは、中国出身のクロエ・ジャオ監督。キャスト・制作陣にすでに様々なバックグラウンドを持つ人物が集められていることが分かるけれど、それこそがジャオ監督の狙いの1つかもしれない。米The Hollywood Reporterのインタビューで、監督がこう話した。
「私は、マンガに深くて強いルーツを持っています。それは『エターナルズ』にも少し持ち込みましたよ。東洋と西洋の結合をより進めることを楽しみにしてるんです」
7,000年の時を地球でひっそりと生きてきたエターナルズが主役の本作では、原作コミックに、16世紀に学んだ侍の武術を活かして日本の映画スターとして活躍しているという設定で描かれるキンゴというキャラクターがいるのだけれど、映画版ではパキスタン出身のクメイル・ナンジアニが演じるにあたり、ボリウッドスターに変更された。
クメイルはそのリハーサルについて、「リハーサルにいたのがすべて南アジア人だった…それを見た瞬間、感動したよ。オー・マイ・ゴッド、今まで僕たちみたいな人種が(MCUの作品には)1人もいなかったのに、ワンシーンだけでこんなにいるってね」と感動したことを明かしている。
ジャオ監督のセンスの裏側
ジャオ監督を高く評価するマーベル・スタジオの社長であるケヴィン・ファイギ氏は、彼女が持ち込んだ多数のイメージ画像が映画を進める要因の1つだったと話し、監督のセンスについてこう分析する。
「クロエは、マリックやこれまでに作られた難解で小さな映画から、『スター・ウォーズ』や『ワンパンマン』まで、非常にユニークで目を見張るような視点で語るんです」
日本のマンガから『スター・ウォーズ』、そしてインディー映画まで、その感性の裏づけには多岐にわたる作品がある様子のジャオ監督。そしてその感性を育めたのは、幼少期の監督に対する両親の姿勢があったよう。
「北京によくいるような両親ではなかったですね。彼らは変でした。私が自分らしくあることを止めることは絶対にしなかった。私の成績が本当に悪くて、マンガばかり描いていた時、私は自由な子供だったのですが、彼らはそのままでいさせてくれた。そしてそれは非常にレアなことです」
あらすじやキャストは明らかになっているとはいえ、詳しいことは分からないMCU映画の『エターナルズ』。公開まではあと約半年。今後さらに期待値があがっていきそうだ。(フロントロウ編集部)