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『ハリー・ポッター』原作者のJ.K.ローリングの“トランスフォビア発言”をめぐる騒動に関して、映画シリーズでハグリッドを演じた俳優が、キャストとしては初めて公の場でローリング氏を擁護した。(フロントロウ編集部)

『ハリポタ』俳優が“トランスフォビア発言”で炎上の原作者を擁護

 児童向けファンタジー小説『ハリー・ポッター』(以下『ハリポタ』)の作者であるJ.K.ローリングのトランスフォビア(※トランスジェンダー/トランセクシュアルに対するネガティブな感情・思想・行動)的な発言”が大炎上し、さらに最近発売されたばかりの新作小説のキャラ設定が物議を醸している件に関して、映画『ハリー・ポッター』シリーズでハグリッドを演じた俳優のロビー・コルトレーンがローリング氏を擁護する発言をした。

画像1: 『ハリポタ』俳優が“トランスフォビア発言”で炎上の原作者を擁護

 6月始めにツイッターを通じて投下したトランスフォビアと受け取れる発言が原因で、LGBTQ+コミュニティをはじめとする多くの人々から反発を受けることとなったローリング氏は、2013年からロバート・ガルブレイスという別名義で出版している大人向けの犯罪小説『私立探偵コーモラン・ストライク』シリーズの第5弾となる最新作『Troubled Blood(原題/トラブルド・ブラッド)』を9月15日に出版。

 しかし、主人公の探偵が追う凶悪な連続殺人犯のキャラクターが「女性を殺害するために女装をして犯罪を繰り返すシスジェンダー(生まれたときに割り当てられた性別と性自認が一致している人)の男性連続殺人犯」となっており、これが、以前からTERF(ターフ)<※>疑惑があるローリング氏の“トランスジェンダーの中には危険な人物がまぎれ込んでいる可能性がある”といったトランスジェンダー女性への嫌悪や偏見を助長しかねない持論を後押しするかのような設定であるため、出版前からSNS上で多くの人々が憤りを露わに。

<※>トランスジェンダーの人々を排除しようとする急進的なフェミニスト

 『Troubled Blood』の発売日前日には、ローリング氏の「キャリアは死んだ」、「作家としては、もう終わっている」、もしくは、「もう、黙っていてくれ(安静にしておいてくれ)」という意味合いで「#RIPJKRowling(J.K.ローリングよ安らかに眠れ)」というローリング氏の死を匂わせる物騒なハッシュタグを使用するユーザーが続出し、一時はトレンド入りするまでの事態となった。

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 この一連の騒動に関して、映画『ハリポタ』シリーズで主人公のハリーたちが通うホグワーツ魔法魔術学校の森番兼魔法生物飼育学教員のルビウス・ハグリッドを演じた俳優のロビー・コルトレーンが、同作の出演者としては初めて、表立って、ローリング氏を擁護する発言をした。

画像: ©WARNER BROS. PICTURES / Album/Newscom

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「調子に乗るな」、「もっと賢くなれ」

 英エンタメ雑誌Radio Timesとのインタビューに応じたロビーは、ローリング氏を批判している人たちは「(誰かに)気分を害されるのを待ち構えているような人たち」だと独自の見解を口に。

 「彼女が言ったことは、別に気分を害されるような内容ではなかったと思う。なぜかはわからないが、ツイッターを使う人たちの世代には、気分を害されるのを待ち構えているような人たちがたくさんいる」とコメントし、「そんな事をしても勝ち組になれるわけじゃないのに、そうだろう?」、「これは、不機嫌な老人である私の意見かもしれないけど、『おい、調子に乗るなよ。もっと賢くなれ。真っ直ぐ地に足をつけて立って前進しろ』と思ってしまうね」と、ネット上でローリング氏を批判している人たちに苦言を呈した。

画像: 2016年、英テレビ映画『National Treasure(原題)』の撮影現場でとらえられたロビーの姿。

2016年、英テレビ映画『National Treasure(原題)』の撮影現場でとらえられたロビーの姿。

 それ以上は「中傷のメールやなんかが来るから、関わりたくない」という理由で、この騒動について口を閉ざしたロビーだったが、自身は世間で騒がれているローリング氏の発言は、さほど問題ではないと考えており、彼女が間違ったことをしているとは思っていないという立場は明確にした。 

 映画『ハリー・ポッター』シリーズからは、主演のダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリントらがローリング氏の“トランスフォビア的発言”には「賛同しない」とコメント

画像1: 「調子に乗るな」、「もっと賢くなれ」

 さらに、同作のスピンオフシリーズでありローリング氏が脚本を手掛ける『ファンタスティック・ビースト』に主演するエディ・レッドメインも「トランスジェンダーの女性たちも女性です。トランスジェンダーの男性たちは男性だし、ノンバイナリーの人々のアイデンティティだって正当です」と声明を出してローリング氏の姿勢に異論を唱えている

画像2: 「調子に乗るな」、「もっと賢くなれ」

 6月の問題発言以降、世間では、ローリング氏著の作品への不買運動が勃発するとともに、今回の件で裏切られたと感じた『ハリポタ』ファンたちが、続々、体に刻んでいた“ハリポタ愛”を証明するタトゥーを除去する、または、ほかのモチーフで上書きするといった行動に出ている。

 ちなみに、ローリング氏がロバート・ガルブレイス名義で出した『Troubled Blood』を読んだ一般読者や書評家の多くは、同作のストーリーが“トランスフォビア的”であると感想を述べている。英The Telegraphの書評では、この物語から受け取れるおもなメッセージは「ドレスを着た男性は信用するな」というもののようだと分析しており、ローリング氏への風当たりは、ますます厳しくなるばかり。(フロントロウ編集部)

※この記事ではtransphobiaという言葉を当初「反トランスジェンダー」と記載していましたが、より適切な「トランスフォビア(※トランスジェンダー/トランセクシュアルに対するネガティブな感情・思想・行動)」に修正しました。

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