米最高裁判事のルース・ベイダー・ギンズバーグを追悼し、ニューヨークのウォール街に設置されている「恐れを知らない少女」の像がお色直しをした。(フロントロウ編集部)

「恐れを知らない少女」像がRBG仕様に変身

 9月18日にすい臓がんによる合併症のために亡くなったアメリカ最高裁判事のルース・ベイダー・ギンズバーグ(享年87歳)。

 法曹界には“女性など必要ない”と言われていた時代に、ハーバード大学やコロンビア大学といったトップの大学で法律を学び、1993年にアメリカ史上2人目の連邦最高裁判所判事に指名された彼女は、男女間の賃金格差、教育格差、参政権の向上など、法の下の平等の実現に向けて果敢に斬り込み、「RBG」のニックネームで、近年、若者たちからも絶大な支持を得た。

画像1: 「恐れを知らない少女」像がRBG仕様に変身

 ギンズバーグ判事の死を受け、SNSを通じて数えきれないほどの著名人たちが彼女の偉大な功績を称え、全米各地で追悼の意を表明する動きが行なわれるなか、ニューヨークのウォール街に佇む「フィアレス・ガール(恐れを知らない少女)」の像も“RBG仕様”に変身した。

画像2: 「恐れを知らない少女」像がRBG仕様に変身

 ウォールストリートにもとからあった「チャージング・ブル」と呼ばれる雄牛の像と対峙する形で、2017年3月7日の国際女性デーに設置されて以来、女性の権利向上を目指す運動(フェミニズム)の象徴として親しまれているフィアレス・ガールは、新型コロナウイルス禍は交通安全上の理由もあり、ニューヨーク証券取引所前に移動。

画像3: 「恐れを知らない少女」像がRBG仕様に変身

 ウイルスの世界的感染拡大が深刻化した当初は、マスクを着用するなど、社会情勢を映す鏡のような役割も担っている少女像の首元には、ギンズバーグ判事の訃報を受け、彼女のトレードマークともなっていた“レース襟”が装着された。

画像4: 「恐れを知らない少女」像がRBG仕様に変身
画像5: 「恐れを知らない少女」像がRBG仕様に変身

 この像を管理する資産運用会社ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、“RBG仕様”のフィアレス・ガールの写真を公式ツイッターで公開し、「オリジナル(唯一無二)に乾杯」とコメント。アメリカ社会に他に類を見ない重要な軌跡を残したギンズバーグ判事を追悼した。


“レース襟”に込められた想い

 ギンズバーグ判事が、法服の首元にいつもレース襟や大ぶりのネックレスを着用していたのには、深いメッセージがある。

画像1: “レース襟”に込められた想い

 それは、男性用に作られた法服に、あえて女性らしいアクセントを加えることで、存在感をアピールするというもの。

 2009年に行なった米Washington Postとのインタビューで、ギンズバーグ判事は自身が身に着けているレース襟についてこんな風に語っていた。

「一般的な法服は男性用に作られたものなんです。シャツとネクタイをのぞかせる部分があるでしょう。私とサンドラ・デイ・オコナ―(1981年に女性として初めて合衆国最高裁判所の判事となった人物)は、何か女性らしさを表現できるものが法服の一部に含まれていたっていいのではないかと思ったんです。だから、私はものすごくたくさん襟を持っているんですよ」

 この言葉の通り、ギンズバーグ判事は豊富な種類のレース襟や襟のような形のネックレスを所有しており、時と場合によって使い分けてきた。

 ギンズバーグ判事のトレードマークとなったこのアクセサリーを、男性優位な法曹界で果敢に闘う彼女の“鎧の一部”だと称する人も多い。

画像2: “レース襟”に込められた想い

RBGを追悼するアクション

 ギンズバーグ判事の訃報が伝えられた18日からの週末には、米フロリダ州にあるウォルト・ディズニー・ワールドのマジック・キングダム内で、アメリカ国旗が“半分だけ”掲げられた。

 国旗をポールのてっぺんまで上げるのではなく、半分だけ掲げるというのは、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロの追悼の際にも行なわれた方法。

 さらに、彼女の出身地であるニューヨーク・マンハッタン50番街の地下鉄構内では、「50TH ST.」とタイルで書かれていた駅名が、ギンズバーグ判事のファーストネーム「ルース」にちなんで「RUTH ST.」と変化するなど、さまざまな場所で追悼のアクションが見かけられている。

 SNS上では、ギンズバーグ判事を尊敬する親たちの間で、娘たちをRBG仕様に変身させるのがトレンドに。たくさんの親たちが、将来、自分の娘にギンズバーグ判事のように強く、思いやりを持って他者を救えるような女性になってほしいという願いを口にしている。

(フロントロウ編集部)

※「RBG」の愛称の表記に誤りがあったため修正しました。

This article is a sponsored article by
''.