パンデミックの影響で子供たちがリモート学習を余儀なくされているという家庭も多いなか、不便を“逆手にとった”新しい休暇スタイルの「スクールケーション(Schoolcation)」が欧米のママ&パパたちの間で注目を集めている。(フロントロウ編集部)

家族旅行+リモート学習「スクールケーション」が人気

 新型コロナウイルス禍では、子供たちがリモート学習をしているという地域も多い。でも、家族みんなが自宅などに籠って、親はリモートワーク、子供はリモート学習という状況は、なかなか大変で、長く続くと息が詰まる…。

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 コロナ不況にあえぐ欧米のホテル業界では、そんな、パンデミック禍で膨らむ一方の家族のストレスに解消目をつけた滞在プランが続々登場中。

 一家みんなでリゾートホテルに滞在しながら、日中は子供たちを施設内の学習スペースで学ばせ、その間、親はリモートワークに徹したり、自分の時間を楽しんだりできる「スクールケーション(Schoolcation)」と呼ばれるプランを提案するホテルが増えている。

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「スクールケーション」ってどんなもの?

 「Schoolcation」とは、お察しの通り、「School(学校)」と「Vacation(バケーション/休暇)」を合体させた造語。

 フロリダ州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内にあるフォーシーズンズ・リゾートでは、宿泊ゲストが、子供たちをスタッフによって監督されている特別な学習エリアで学ばせることができる。

 米Washington Postによると、心と体の健康に配慮して、自然光が降り注ぐ場所に設置されているというこのエリアでは、学習デスク同士がしっかりとソーシャル・ディスタンスを守って配置されているなど、感染拡大予防措置が徹底。各クラスの定員は6名と少人数制となっており、ランチやおやつも含まれる。

 子供たちは、このエリアで、それぞれが通う学校が実施するオンライン授業などを受け、“放課後”には、フォーシーズンズ・リゾートの敷地内で運動不足解消のために走り回ったり、ウォーターパークやプールでめいっぱい遊ぶこともできる。

 月曜から金曜、平日の日中に実施されているこのプランは、1泊500ドル~(約5万2千円~)の宿泊費にくわえて、子供1人あたり、9時から正午までの半日コースが50ドル(5,200円)、9時から15時までの全日コースが100ドル(1万500円)で利用可能。

 このほかにも、図画工作の課外授業が用意されているほか、リモート学習を終えた後は、近くにあるディズニー・リゾートのテーマパークに直行して、思いきり遊ぶこともできる(別料金&別途入場予約が必要)。

ホテル内のレストランでキャラクター・ブレックファーストを楽しむことも可能。

 フォーシーズンズ・リゾートは、メキシコのビーチリゾート、プンタ・ミタにあるホテルでも同様のプランを実施。さらに、ザ・リッツ・カールトンやモンタージュ・ホテル&リゾート、キンプトン・ホテル&リゾート、グレート・ウルフ・リゾートといったラグジュアリー・ホテルも、いくつかのロケーションで、1泊2万円台からの料金で、子供たちを学習エリアに預けることができる宿泊パッケージを提供している。


独自の学習プランを提供するホテルも

 子どもたちが安心&集中してオンライン授業に取り組めるスペースを提供するだけでなく、独自の学習プランを設けているところもある。

 ウルグアイのホセ・イグナチオにある、部屋数12室のみ、1泊あたり6000ドル(約63万円)の隠れ家的高級ビーチリゾート・ホテル、エスタンシア・ヴィ―クでは、美術の授業と称して、現地の博物館に子供たちを連れて行ってくれたり、体育の授業の代わりに乗馬を楽しめたり、専門家から現地の言葉を習うことができる学習コースが用意されている。

 メキシコのビーチリゾート、カンクンにあるマリオット・カンクンでは、宿泊ゲストの子供たちがウミガメを海に返すアクティヴィティに参加できるプランを実施。

 ニューヨーク州キャッツキルでブティックホテルを展開するフォスター・サプライ・ホスピタリティの系列ホテルでは、ウェルネス&フィットネス・スタジオのChi Hive(シー・ハイヴ)と提携して、6~10歳の子供たちを対象に、各分野の専門家たちを招いてアートや演劇、ダンスを学べる“キッズ・キャンプ”を行なっている。


時期を気にせずいつでも行ける

 これまで、家族休暇というと、就学児の夏休みや年末年始休みといったスケジュールにとらわれていたけれど、リモート学習が行なわれている現在は、カリキュラムさえきちんとこなしていれば、ある意味、どこへでも行き放題。

 家族全員が家にいる事で必然的に家事も増え、まだまだ慣れないリモートワークとの両立で疲労困憊しているという親たちも多いが、ホテルに滞在している間は、掃除や洗濯、食事の支度からも一時的に開放される。

画像: 時期を気にせずいつでも行ける

 もちろん、行き先は、新型コロナの感染予防・拡大予防策がきちんとした場所に限り、ソーシャル・ディスタンスのルールを厳守することが大前提だが、ホテル業界にとっても利益回復の切り札となりそうな「スク―ルケーション」は、これからますます注目度が高まる予感。(フロントロウ編集部)

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