モスキーノのコレクションが夢のよう
毎年各ブランドの新作が発表され、ファッション好きが注目するファッションウィークが開幕したものの、いつもと違うところが。それは新型コロナウイルスの影響により、いつもよりゲストの数を減らしたり、無観客のままバーチャルで行なったりしているというところ。例年はファッションウィークのシーズンになると、ニューヨーク、ミラノ、ロンドン、パリに世界中からファッショニスタたちが集結し、ファッションショーを見るというのが定番だけれど、新型コロナウイルスの感染拡大により以前のようなファッションショーが行なえなくなっている。
バーチャルで参加した人も多かったバルマン(Balmain)のコレクション。
そこで各ブランドが試行錯誤して、最新コレクションを発表するなか、ミラノファッションウィークで2021年春夏コレクションを発表したモスキーノ(Moschino)に注目が集まることに。
モスキーノといえば、ジェレミー・スコットが率いるブランドで、これまでにも煙が出るドレスをはじめ、モデルを花束に見立てた人間ブーケなど話題になる作品を発表することが多かった。
本来であれば大勢の人に見てもらうためにコレクションを作るけれど、モスキーノはバーチャル・ファッションショーということを逆手に取り斬新すぎる形でショーを行なった。
その斬新すぎる方法とは、なんと人ではなく人形に最新コレクションを着せてショーを行なうということ。
人形に着せるということでよりディテールが細かくなるものの、ジェレミーをはじめモスキーノのチームは完璧にコレクションとして成立させ、見ている人に夢のようなひと時を与えた。
そしてモスキーノは、モデルだけでなく、米Vogueの編集長であるアナ・ウィンターやアンナ・デッロ・ルッソ、ヴァネッサ・フリードマンなど、ファッションショーで最前列に座るゲストやジェレミー自身も人形に。
とはいえ、今回発表されたコレクションを着用するのは人間。そのため、人形が着る洋服とは別に人間サイズのものも作られており、モスキーノは人間と人形が同じ洋服を着ている写真をインスタグラムにアップ。
ジェレミーは人形でファッションショーを行なったことについて「選挙、パンデミック、社会不安、そして未来についてストレスを感じているすべての人のために僕ができる最善のことは、ファンタジーの贈り物を与えて、数分間だけでもすべてから引き離すということだった」と、ファッション誌Wに語っていた。
毎度注目を集めるモスキーノのコレクションらしく、人形にランウェイを歩かせた遊び心たっぷりのショーは、「パペットショー」と皮肉を言う人もいたけれど、これまでなかった斬新な考えで多くの人を現実から引き離し、夢のような世界にどっぷりと浸らせた。ちなみに今回ショーに出演した人形たちはハリウッドからやってきたようで、ショールームに展示されるよう。(フロントロウ編集部)