GAP、「青と赤半分ずつのパーカー」を使ったメッセージが炎上
11月3日に投票が締め切られたアメリカ大統領選挙で、共和党のドナルド・トランプ大統領と民主党のジョー・バイデン元副大統領が接戦を繰り広げるなか、アメリカ全土には非常に緊迫したムードが漂っている。
投票率が史上最高の70%近くにまで及んだ今回の選挙は、結果次第では、むしろ、どちらに転んでも、暴動や内乱が勃発しかねないと危惧されるほど。
そんななか、アメリカを代表するカジュアルブランドであるGAP(ギャップ)が行なったツイートが、悪趣味で不適切だと世間から反感を買った。
人々が開票速報に食い入るように見入っていた投票日翌日の4日、GAPの公式アカウントは、青と赤のスウェットを半分ずつつなぎ合わせたデザインのパーカーのGIF画像を投稿し、こうツイート。
「1つだけ確かなのは、みんなが団結すれば、私たちは前進できるということです」
説明は不要かもしれないが、「青」はバイデン氏を擁する民主党を表す色で、「赤」はトランプ大統領率いる共和党のシンボルカラー。画像をクリックすると、ジップが閉じ、ロゴの隙間が埋まるという仕掛けになっていた。
GAPとしては、このユニークなパーカーを用いて、“アメリカ国民が政治観の違いを乗り越えて団結すれば、明るい未来が待っている”といったメッセージを送ったつもりだったようだが、ちょっとしたおふざけにも見えるこのツイートは、何しろタイミングが悪かった。
国の未来を考えて真面目に選挙結果に注目している人々は、2色のパーカーを繋げたところで簡単に解決できる問題ではないと、「空気読もうよ」、「今じゃない」、「内乱の最前線で、このパーカーを着ろと? 」といった冷ややかな意見を口にした。
ツイートを削除「時期尚早だった」
多くの人々が不快感を露わにしたことを受けて、GAPの公式は問題のツイートを削除。米New York Timesを通じて、青と赤のパーカーは、実際には販売目的で作られたものではないことを説明しtつつ、釈明。
「私たちのブランドは、設立当初から、個人間や文化間、世代間のギャップ(溝)の橋渡し的存在となれるよう努めてきました。ソーシャルメディアで行なった青と赤のパーカーの投稿は、団結がもたらすパワーに言及したものでした。しかし、そういったメッセージを発信するには時期尚早だったようです。私たちは、国が一丸となってポジティブな変化を迎えられることを信じています」とコメントした。
カリフォルニア州サンフランシスコに本社を構えるGAPは、適度に流行を取り入れたシンプルかつカジュアルなデザインで、1969年の創業以来、アメリカを代表するSPA(製造小売業)ブランドとして愛されてきた。
国民的ブランドという責任感から、今回のツイートに至ったようだが、同社の反省にもある通り、口を挟むには少し早まってしまったよう。(フロントロウ編集部)