2020年にリリースされた「Mad At Disney(マッド・アット・ディズニー)」がヒットしているシンガーのセイレム・イリースをご存知? ディズニーに物申した皮肉たっぷりな楽曲が話題になっている。(フロントロウ編集部)

セイレム・イリース「Mad At Disney」について語る

 アメリカ・ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーのセイレム・イリース。彼女は名門バークリー音楽学校を退学し、シンガーソングライターとして活動をしており、2020年7月にリリースした楽曲「Mad At Disney(マッド・アット・ディズニー)」がTikTokなどでバズり、注目を浴びている。

 「Mad At Disney」は、そのタイトルの通り、ディズニーへの怒りについて皮肉を込めながら歌っており、なかには「私はディズニーに怒っている/すっかり騙された/流れ星に願いをかけさせるなんて/もう20代にもなったのに/まだ何も分かっていない/自分がどんな人間かも」や「妖精のおばあさんが警告してくれたの/シンデレラの物語だって/離婚するハメになるとか/眠れる森の美女を連れ出すと/王子様は決して眠ることなんてせず/白雪姫の馬に乗ってモーテルへ直行」といった実際に存在するディズニーのキャラクターが歌詞に登場し、ディズニーが見せてきた理想と、大人になって直面する現実とのギャップのもどかしさが描かれている。

 セイレムはディズニーに怒っているという歌詞を書くほどだから、ディズニーのことが嫌いなのかと思いきや、その逆で幼い頃からの大ファン。しかしディズニーファンのセイレムは、「これまでずっと子どもの頃から見てきたディズニー映画を振り返ってみると、映画の中で語られていたのは決してベストな教えではなかったと思う。愛の形はワンパターンで、プリンスに助け出してもらうプリンセスというおとぎ話的状況こそ、理想の人間関係だと感じさせる。でもそれは真実じゃない。愛にはもっと多様な形があるってことをもっと小さい時に学べたらよかったのにと思っている。だからディズニーにはちょっと怒ってはいる」と、昔のプリンセスのあり方は現代の子供のお手本にならないということをオフィシャルインタビューで語っている。

 また、「Mad At Disney」の歌詞についても「私が“ディズニーに怒っている”と言うとしたら、子どもの頃から観続けてきた映画に登場するプリンセスの典型的なタイプに、かな。どの映画でも、プリンセスたちは困った状況にいて、それをプリンスに助け出してもらうのを待っていた。そして毎回ハッピーエンドで幕が下りる。でも現実世界では、女性は決して誰かに助け出してもらう必要はないと思う。だって私たち女性は強くて、自立しているし、ドラゴンだって倒せちゃう。また私たちは、愛についても話し合った。愛の定義とは何かって。私たちが出した結論は、愛とはひとつの感情ではなく、様々な感情が混ざり合ったものだということ。愛の感じ方は人それぞれだから。小さい頃から私は大のディズニーファンなの。週末になると、家ではディズニープリンセスのドレスを着て過ごしていたし、たしか4歳くらいの頃はどのプリンセスも大好きで、おとぎ話のような世界に憧れていた。でもハイスクール時代にはじめて人を好きになって、失恋を味わうと、愛っていうのはディズニー映画でやっていたものとは別ものだと痛感したの」と実体験も交じっているということを明かした。

 セイレムは「Mad At Disney」以外にも、2020年にもう1曲シングルをリリースする予定で、2021年には大きなプロジェクトが控えているよう。(フロントロウ編集部)

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