オックスフォード大学出版が出版する辞書などには女性蔑視が含まれる。署名に賛同が集まり、いくつかのアップデートが行なわれた。(フロントロウ編集部)

女性の“類語”にあばずれ、売春婦

 世界的権威を持つオックスフォード英語辞典や、その他複数のオンライン辞典などを持つオックスフォード大学出版局に対して、女性蔑視の内容を改めるよう求める署名が、2019年に立ち上がった。

 問題となっているのは、女性(Woman)という言葉の“類語”に、日本語で言うところのあばずれや売春婦といった意味の英語「Bitch, besom, piece, bit, mare, baggage, wench, petticoat, frail,bird, bint, biddy, filly」が書かれていること。まず、女性に対する差別用語がこれだけ多いことにもショックを受ける。一方で、男性器が語源になっており、オックスフォード辞書で「バカ、うっとうしい、または滑稽な男性」と定義されている「Dickhead」という言葉は、男性(Man)の類語には含まれていない。

 また、女性の例文にはこのようなものがあり、女性は男性の所有物や男性を刺激するモノであるとする表現であると批判されていた。

・セプテンバー氏はプロフェッショナルであり賢い一方で、セクシーなキャリアウーマンという姿を表している。
・これが上手くいかなければ、道端にいる女性になるだろう。
・漁師は、その嫁に捌かせるために釣った魚を家に持って帰る。
・嫁よ、俺が家に帰る時には家にいるよう言ったはずだ。

 ※英語だと、妻を指す言葉としてWifeではなくLittle Womenと表記されている。日本語では「嫁」という言葉は、女に家と書き、「うちの嫁」「あの家の嫁」という所有の表現が出来ることや、女性は男性側の家に入るものだという概念が女性蔑視にあたると、近年問題視する声が増えている。

 ネット上で改正を求める署名への賛同の多さを受けて、Women’s AidとThe Women’s Equality Party(女性の平等党)の代表は、2020年の国際女性デーにオックスフォード大学出版局に向けて変更を求めるオープンレターを公開していた。

画像: 女性の“類語”にあばずれ、売春婦

オックスフォード大学出版局がアップデートを実施

 そんななか、ついにオックスフォード大学出版局が性別にかかわる単語の定義をアップデートした。今回のアップデートでは、差別的な内容を変更するとともに、ジェンダーに括られないよう定義を変更。

 例えば、女性であっても「誰かの妻で、彼女で、もしくは女性の恋人」、男性であっても「誰かの夫で、彼氏で、もしくは男性の恋人」という説明が加えられた。また、「Housework(家事)」の例文は「彼女はまだすべての家事をやっている」だったけれど、「ドアベルが鳴った時に、家事をしていて忙しかった」に変更された。

 署名の発案者はポジティブな変更に喜ぶ一方で、女性の類語から「bitch(ビッチ/あばずれ)」という単語は取り除かれなかったことには落胆の色を隠さない。オックスフォード大学出版局は、「bitch」を“侮辱的な”類語として定義した。オックスフォード大学出版局はこのことについて、「独立した編集方法は、私たちの辞書は言葉の正しい現実を提供しているということを意味します。そこでは、私たちが賛同しなくとも、不快で侮辱的な使い方の例も含まれます」とコメントしている。(フロントロウ編集部)

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