テイラー・スウィフトがデビューから2018年末までにリリースした楽曲の原盤権が「新たな買い手」のもとに渡ったと、米Varietyが報じている。(フロントロウ編集部)

更新(2020年11月17日10時):テイラーが、SNSで公式声明を出し、原盤権の新たな所有者がシャムロック・ホールディングスという未公開株式投資ファンドだと報告。そのなかで、スクーターから原盤権を買い戻そうとしたものの、理不尽な守秘義務契約書にサインすることを要求された事や、シャムロック・ホールディングスとの契約でも、今後もスクーターに利益が入る仕組みとなっていることを知り、同社からもちかけられた提携契約を辞退したことなどを明かした。

スクーター・ブラウンがテイラー・スウィフトの楽曲原盤権を売却

 テイラー・スウィフトが2018年末まで所属していたレーベル、ビッグマシン・レコーズを買収し、彼女が2006年にリリースしたデビュー作『テイラー・スウィフト』から、2017年に発表した通算6作目のアルバム『レピュテーション』に収録された楽曲の原盤権を手にした音楽マネージャーのスクーター・ブラウンが、自身率いるイサカ・ホールディングスLLC.が所有していたテイラーのすべての楽曲の原盤権をとある投資ファンドに売り渡したと米Varietyが報じた。

画像: スクーター・ブラウン

スクーター・ブラウン

 ジャスティン・ビーバーのエンタメ界での“育ての親”として知られ、アリアナ・グランデやデミ・ロヴァートといった人気アーティストを手がける“やり手マネージャー”として名を馳せるスクーターは、Varietyによると、ビッグマシン・レコーズを買収したのとまったく同じ、約325億円(300万ドル)でテイラーの楽曲の原盤権を売却。

 買い取り先の企業の名称は現時点では明かされていないが、Varietyはこの決断はスクーターにとっては「大きな勝利」であり、彼はテイラーの楽曲の原盤権を所有していた17カ月間の間に「初期投資からすると莫大な利益を得た」と伝えている。


再レコーディングの権利を得た直後の急展開

 ビッグマシン・レコーズがイサカ・ホールディングスLLC.の傘下に入り、スクーターが自身の楽曲の原盤権を手にすることがわかった当時、テイラーは当時、ビッグマシン・レコードのCEOスコット・ボーチェッタから、買収について事前に知らされていなかったと怒りの声明を発表

 その中で、何年もの間、「自分の作品の権利を持ちたい」とボーチェッタCEOに懇願してきたものの、「新作を出すごとにアルバムを1つ取り返せる」という理不尽な条件を出されていたことを告発した。

 テイラーは、その後も、アワードでのスピーチやインタビューでスクーターとボーチェッタCEOやスクーターの買収をサポートした大手投資会社のやり方を批判したり、楽曲やMV、パフォーマンスなどでも原盤権に関するバトルを彷彿とさせる表現や演出を取り入れるなど、全力で抗議。

 2019年8月に米テレビ番組『グッドモーニング・アメリカ』に出演した際には、原盤権を取り戻すため、スクーターが原盤権を手にした過去の楽曲をすべて再レコーディングするつもりだと明かし、2020年11月に再録の権利が得られることを明かしていた。

 スクーターが別の投資ファンドにテイラーの楽曲の原盤権を売り渡したという報せが飛び込んできたのは、テイラーが再レコ―ディングが可能になると予告していた11月が訪れ、ファンたちがSNSで「#TaylorIsFree(テイラーは自由)」というハッシュタグを添えてお祝いした直後のこと。

 テイラーの原盤権がどう扱われるかは、新たな所有者次第で、もしかしたらテイラーのほうに有利に動く可能性もある。

 しかし、ようやく訪れた再録の機会に水を差すばかりか、ビジネスの世界ではよくある事かもしれないが、テイラーが魂を込めて生み出した楽曲の原盤権を“金儲けゲームの駒”のように売り払ったスクーターの手法には怒り心頭となっている。


なぜ、今になって売却?

 スクーターがなぜ、ここへ来て、テイラーの過去6作分のアルバムの原盤権を売却したか、本人からの説明はないが、第一報を報じたVarietyはある仮説を立てている。

 共和党のドナルド・トランプ大統領から次期大統領を引き継ぐことが見込まれている、民主党のジョー・バイデン前副大統領による新たな政権のもとでは、富裕層を対象にキャピタルゲイン(資本利得)課税率が大幅に引き上げられる可能性が高い。そのため権利所有者たちが、今のうちに価値のある資産を手放し始めているが、スクーターもその波に乗ったのではないかというもの。

 ファンたちも独自の仮説を立てていて、それは、テイラーが過去の楽曲の再録を行なえば、もとの原盤権はさして“お金にならないもの”となってしまうとスクーターが危惧したからなのではないかというもの。なかには、「どうか謎の買い手がテイラー本人ですように…」、テイラーの恋人「ジョー(・アルウィン)が買ってくれたらならいいのに」と祈る人たちもいる。

 記事執筆時点では、どの企業がテイラーの原盤権を手にしたのかは発表されておらず、テイラーやスクーター、ビッグマシン・レコーズからのコメントなどは出されていない。(フロントロウ編集部)

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