ジャスティン・ビーバー、グラミー賞にノミネートも納得いかない点
音楽界最高峰のアワードと呼ばれるグラミー賞。第63回を迎える2021年の同アワードのノミネーションが、日本時間の11月25日深夜に発表された。
2020年の2月に前作から約4年ぶりとなる5作目のアルバム『チェンジズ(Changes)』をリリースしたシンガーのジャスティン・ビーバーは、同作が最優秀ポップ・ボーカル・アルバム部門にノミネート。さらに、収録曲「ヤミー(Yummy)」が最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス部門、ラップグループのミーゴスのメンバー、クエヴォとのコラボ曲「インテンションズ(Intentions)」が最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス部門、カントリーデュオのダン+シェイとのコラボ曲「テンサウザンド・アワーズ(10000 Hours)」が最優秀カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンス部門にノミネートし、主要部門は逃したものの、計4部門で入選を果たした。
しかし、ノミネーションが発表された直後、ジャスティンがインスタグラムを通じてあるメッセージを公開。そこには、今回のグラミー賞へのノミネートを、どうしても素直には喜べないという複雑な胸の内が綴られていた。
ジャスティンの言い分は、自分としては、R&Bのサウンドを意識して作ったアルバムである『チェンジズ』や、その収録曲がポップミュージックのカテゴリーにノミネートされているのは、どうも納得がいかず「奇妙な感じがする」というもの。
「どうか、僕が感謝していないって誤解しないで欲しいんだけど、賛同を得られようと、得られまいと、これが僕の考え。僕のノミネーションのために戦ってくれた人たち、ありがとう」という前置きを添えて公開された、ジャスティンからグラミー賞主催者へのメッセージを全訳。
「グラミー賞へ。僕の芸術性を認識し、高く評価してくださった事を嬉しく思っています。僕は自分の音楽に関して、細部までこだわり、明確な意図を持って取り組んでいます。それを踏まえたうえで、僕はR&Bアルバムを作ろうと試みました。『チェンジズ』はR&Bアルバムとして作った作品で、それ以外の何物でもありません。それにもかかわらず、『チェンジズ』はR&Bとは認識されていない。僕にとっては奇妙で仕方がない事です。
僕はR&B音楽に憧れて育ち、そのサウンドを具体化する作品を作ることを夢見てきました。使用されているコードやメロディー、ボーカルスタイル、ヒップホップ・ドラムの響きまで、明らかにR&Bを意識して作ったアルバムなのに、然るべきカテゴリーに分類されていない事について、僕は奇妙だと感じずにはいられません!
誤解の無いように言っておきますが、僕はポップミュージックが大好きです。だけど、今回に関しては、それは僕の意図していたものではありませんでした。それでも、自分の作品に敬意を払ってもらえることにとても感謝しているし、光栄だと感じています」
「変化(Changes)」というタイトルがつけられたアルバム『チェンジズ』は、2020年に入って、約2年半ぶりに本格的に音楽活動を再開させたジャスティンが、休養期間を含むここ数年のあいだに自分の身に起こった様々な“変化”に影響を受けて作られた作品。
2019年の年末、リリースに先立って公開されたティーザー動画では、「この作品はこれまでに発表してきたアルバムとは違うと感じてる」、「僕らは人それぞれ、違う物語を歩んでるけど、僕のストーリーをみんなと共有できることにワクワクしてる。僕にとってはこれまで作ってきた中で、一番気に入っている音楽なんだ」と『チェンジズ』への熱い想いを語っていた。
選ばれし者しかノミネートを果たすことができないグラミー賞に、入選を果たせたことは嬉しいものの、自分が目指していたR&Bとしての評価は受けられなかったことは悔しい、というのが、ジャスティンの本音のよう。
世間では、ジャスティン本人が主張するように『チェンジズ』がR&Bなのか、それとも、グラミー賞を主催するザ・レコーディング・アカデミーによるポップ音楽であるという位置づけが正しいのかで、意見が真っ二つに割れており、盛んに議論が交わされている。
第63回グラミー賞の授賞式は日本時間の2021年2月1日に開催。パンデミック禍での開催となり、形式は決定していないが、ジャスティンが何らかの形で授賞式に参加するかどうかにも注目が集まる。(フロントロウ編集部)