第63回グラミー賞のノミネート作品およびアーティストが発表されるも、2020年最大のヒット曲と言っても過言ではない「Blinding Lights」で知られるシンガーのザ・ウィークエンドが、まさかの“ノミネート無し”という結果に終わったことが波紋を呼んでいる。(フロントロウ編集部)

グラミー賞がザ・ウィークエンドを“フルシカト”

 現地時間2021年2月1日に授賞式が開催される第63回グラミー賞のノミネーションが発表され、歌姫ビヨンセが最優秀R&Bパフォーマンス、 ベスト・ラップ・ソングなど計9部門にノミネートされたほか、シンガーのテイラー・スウィフトとデュア・リパが主要3部門を含む計6部門、前回のグラミー賞で主要4部門を制覇したビリー・アイリッシュは計4部門で選出された。

 その一方で、コロナ禍の今年3月、周囲の反対を押し切ってリリースしたニューアルバム『After Hours(アフター・アワーズ)』からのシングル曲「Blinding Lights(ブラインディング・ライツ)」がビルボードチャートの1位に輝き、40週連続でトップ10圏内にランクインし続けたザ・ウィークエンド(The Weeknd)が、まさかの“ノミネート無し”という結果に終わったことが疑問視されている。

画像: グラミー賞がザ・ウィークエンドを“フルシカト”

 音楽界で最も栄誉ある賞と言われるグラミー賞を、過去に3度受賞しているザ・ウィークエンド本人もこの結果に満足いっていないようで、つい先ほど、自身のインスタグラムとツイッターを更新し、「グラミー賞は腐ったままだ。あなた方には私と私のファン、そしてこの業界に、“透明性”をはっきりさせる義務がある」と不満を露わに。

 グラミー賞のノミネート作品及びアーティストは、1万人以上いるナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス(NARAS)の会員によって選考されており、その際に重要視されるのはセールスやチャートの成績ではなく、作品の「クオリティ」であると言われている。しかし、ザ・ウィークエンドの『After Hours』は売り上げが良かっただけでなく、作品としても高い評価を得ていたことから、今回の“ノミネート無し”という結果に謎は深まるばかり。

 そんななか、ザ・ウィークエンドがグラミー賞ではなく、スーパーボウルのハーフタイムショーを選んだことが、ノミネーションから除外された原因ではないかと推測する声が関係者からあがっている。

スーパーボウルを選んだことにグラミー側が憤慨!?

 すでにご存じの方も多いと思うが、ザ・ウィークエンドは、毎年2月に行なわれるNFLチャンピオンシップ、スーパーボウルの2021年大会のハーフタイムショーでパフォーマンスを披露することが決定している。

 米TMZに関係者が語った話によると、ザ・ウィークエンドのチームはグラミー側からグラミー賞とスーパボウルの“どちらかを選べ”と、究極の選択を迫られていたそうで、話し合いの末に「ザ・ウィークエンドはグラミー賞とスーパーボウルの両方でパフォーマンスを披露することができる」ということで一度は決着がついたものの、途中で交渉が決裂。グラミー側との折り合いがつかないうちに、ザ・ウィークエンドがハーフタイムショーでパフォーマンスすることを決断したことが、グラミー側のトップの怒りを買い、最終的にノミネーションからも外されるという結果を招いたと、この関係者は証言している。

 ちなみに、スーパーボウルの開催日は現地時間2月7日で、グラミー賞授賞式の開催日はその約1週間前の現地時間2月1日。日にちがかぶっているわけでもなければ、移動やリハーサルの実施に支障があるような日程でもない。そのため、ザ・ウィークエンドがその両方に出演することの何が問題なのかはわからないが、関係者いわく、「ザ・ウィークエンドを“独占”したい」というグラミー側の思惑と、スーパーボウルとグラミー賞授賞式の放送局がどちらもCBSであることから、1週間以内に2度も類似したパフォーマンスを放映することを懸念した放送局側の“大人の事情”が絡んでいるのではないか、とのこと。

画像: MTVビデオ・ミュージック・アワード(VMA)でパフォーマンスを披露するザ・ウィークエンド。

MTVビデオ・ミュージック・アワード(VMA)でパフォーマンスを披露するザ・ウィークエンド。

 対するグラミー側は「ザ・ウィークエンドがスーパーボウルのパフォーマーに選ばれたことは大変喜ばしいことです。彼にはぜひともグラミー賞の授賞式でもパフォーマンスを披露して頂きたかったのですが…」としたうえで、この報道内容について、「これだけははっきりさせてください。スーパーボウルでザ・ウィークエンドがパフォーマンスをすることが発表される前に、すべてのカテゴリでの投票が終了していました。従って、投票のプロセスに影響を与えることは不可能です」と否定している。 

グラミー側の言い分に疑問の声

 グラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーの会長及びCEOを暫定で務めるハーヴェイ・メイソン・Jr氏は、ザ・ウィークエンドが“ノミネート無し”という結果に終わったことについて、米Varietyの取材にこう答えている。

 「我々はすべてのレコードに対して公正であり、すべての音楽を聞いています。それはアルバムであっても同じです。アルバムに収録されている曲ももちろんすべて聞きます。たとえ何時間かかろうとも。それは非常に長く、骨の折れるプロセスであり、我々はその仕事に誇りをもってやっています。(選考委員たちは)皆、とても思慮深く、選考するうえでの議題のようなものは一切ありません。『この人やあの人を落とそう』なんてことも、全くないです。あるとすれば、『卓越した作品とアーティストを見つけよう』ということだけです。

 また、委員会はそこ(リスト)にないものに投票することはできない、ということを覚えておく必要があります。彼らは一般投票によって選ばれた上位20名の投票者のリストを取得し、そのなかから最後の8名に誰を推し進めるかについて話し合います。つまり、実際には2段階のプロセスということです」

画像: グラミー側の言い分に疑問の声

 ノミネーションは「最高の作品とアーティストを選んだ結果」と言われればそれまでだが、グラミー側の言い分も腑に落ちないものとなっており、ファンにとっても、ザ・ウィークエンド本人とってもモヤモヤが残るかたちに。また、上位20名の名前もしくは作品名が記された候補者リストにザ・ウィークエンドの名前があったのかどうかについては、「ノーコメント」としている。(フロントロウ編集部)

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