クィアであることを公表しているクリステン・スチュワートが、ストレートの役者が同性愛者のキャラクターを演じることについて語った。(フロントロウ編集部)

「ストレート・ウォッシング」に言及

 クィアであることを公表し、マッケンジー・デイヴィスと恋人役で共演したホリデーシーズンの映画『ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト(原題:ハピエスト・シーズン/Happiest Season)』がアメリカのHuluで配信がスタートしたばかりの俳優クリステン・スチュワートが、ストレートの俳優がLGBTQ+のキャラクターを演じる、「ストレート・ウォッシング」の問題について言及した。

画像: 「ストレート・ウォッシング」に言及

 ハリウッドでは近年、性的マイノリティであるLGBTQ+のキャラクターをストレートの役者が演じる「ストレート・ウォッシング」が問題視されており、今年7月には、映画『チョコレート』などで知られる俳優ハル・ベリーが“トランスジェンダーの男性”を演じる可能性に言及したことに批判が寄せられ、その後、ハルがSNSへの投稿を通じて降板を発表するという一件もあった。

 俳優なのだから当事者ではない役を演じるのは当然という意見もあるものの、問題は、マイノリティがメインキャストに起用される機会や、マイノリティを主題にした作品が作られる機会が少ないこと。だからこそ、そういった役が登場した時には当事者であるマイノリティにその座を与えるべきだ、というのがストレート・ウォッシングの論点。

 映画『トワイライト』シリーズで大ブレイクしたことで知られ、現在は私生活で俳優兼脚本家のディラン・マイヤーと交際しているクリステンが今回、米Varietyとのインタビューに応じて、“ゲイのキャラクターはゲイの俳優が演じるべきという課題についてどう思うか?”という質問に回答した。

「すごくグレーな問題だと思う」とクリステン

 「この問題についてはいつも考えてる。幅広い仕事にアクセスできる人間として、私は豊富なクリエイティヴィティのなかで生きてきた。私は、元々はストレートだった若い白人女性で、後になってゲイになったっていうだけ。それに、スキニーだし……言っていること分かるかな?だから自分が(有利に)仕事を得られていたことは理解している」と、2016年に女性も恋愛対象であることを認めたクリステンは、自身はあくまでもマジョリティである「白人でストレートで痩せている」俳優としてキャリアをスタートしたと前置きした上で、次のように語った。

 「私自身、経験者が伝えるべきだと思う物語を自分が伝えたいとは決して思わない。とはいえ、これは極端な結果をもたらしかねないものだと思う。つまり、もしもこうした特定の決まり事に全員を当てはめてしまえば、私はもうストレートのキャラクターを演じられなくなる」とクリステンは指摘。「すごくグレーな問題だと思うんだ」。

画像: 「すごくグレーな問題だと思う」とクリステン

 「男性が女性の物語を伝える方法はあるし、女性が男性の物語を伝える方法もある」とした上で、「だけど、私たちはその実状をきちんと把握して、気を配らなければいけない。どこまで許されているかを把握する必要があるの」とクリステン。

 「つまり、コミュニティの物語を伝えようとしている時に、そのコミュニティから歓迎されていないのだとしたら、身を引きなさいということ」と語り、この問題についての明確な答えは持っていないとしつつも、自分が所属していないコミュニティのキャラクターを演じるにあたっては、そのコミュニティから歓迎され、自分もアライとなってコミュニティの一部になる必要があると語った。(フロントロウ編集部)

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