イギリスのバーガーキングが、あることをスタートさせた。その決断に拍手が送られている理由とは?(フロントロウ編集部)

バーガーキングがバーガークイーンに?

 イギリスのバーガーキングが名前を変更? といっても、これはすべてのバーガーキングでの話ではない。キングではなく「バーガークイーン」としてレストランを改装したのは、イギリスのスティーブニッジという地域でのこと。というのもここには、バーガーキングがスポンサーを務めるサッカーチームのスティーブニッジFCがあるから。

 スティーブニッジFCの男子チームはリーグ2(イングランド4部)のチームであり、決して強いチームではないけれど、バーガーキングは2019年からスポンサーとして支援している。そしてこの度、バーガークイーンというロゴを作った理由はもちろん、スティーブニッジFCの女子チームのスポンサーにもなったから!

 「彼女たちは同じ挑戦に挑んでいる。彼女たちは同じサポートを受けるべきだ」

 バーガーキングは、米サッカー界を中心に起きている男女の給与格差に意見するかのようなコメントとともに女子チームをサポートする動画を制作・公開。動画のなかでは、「スティーブニッジFC vs アンチ」「スティーブニッジFC vs 長旅」「スティーブニッジFC vs すべて」といったような様々な文字が映し出され、「スティーブニッジFCのためにプレイするのはハードだ。女子チームのためにプレイすることは、さらにハードになるべきじゃない」というメッセージが。

 バーガークイーンのロゴがプリントされたユニフォームもお披露目され、最後には、「スティーブニッジFCの男子チームと同じ契約条件で、誇りを持って女子チームをサポートする」という宣言が表示される。

 バーガーキングとのスポンサー契約について、スティーブニッジFC女子のトップは、「若い女性選手たちに、男性や少年と同じサポート、同じレベル、同じ基盤のうえで試合をする資格があるのだと伝えることができる機会を与えていただいた」と話した。

性差別が深刻なサッカー業界

 日本のなでしこジャパンが、2011年にFIFA女子ワールドカップで優勝、2015年に準優勝という大快挙を成し遂げたにもかかわらず、代表選手の中にはアルバイトをしながら生計を立てている選手がいることは大きな問題となった。日本男子の最高成績はベスト16。

 そしてアメリカのサッカー界では、女子サッカーの強豪であるアメリカの女子サッカー代表選手たちも賃金格差に対して行動を起こしている。アメリカの女子サッカーチームはワールドカップとオリンピックで合わせて8回優勝しているが、男子チームは1度も優勝したことがない。さらに、2016年から2018年で女子サッカーは約56億円の収入をあげた一方で、男子は約55億円の収入となっており、女子サッカーのほうが収入をあげている。

 にもかかわらず、給与やボーナス、トレーニングなどにおいて男子のほうが優遇されており、アメリカサッカー連盟を相手取って性差別訴訟を起こした。そして先日、連盟はチームでの移動で使用されるチャーター機や、チームイベントの会場、滞在先のホテルや選手のサポートサービスにおいて、女子チームの処遇が男子チームよりも劣らないようにすることに同意した。一方で、賃金差別の問題だけは、裁判の途中で棄却されており、チームは上訴する意向を示している。

 どの分野・業界でも深刻な影を落とす性別による賃金格差問題について、今回のバーガーキングのように企業が行動を起こす意味は大きい。(フロントロウ編集部)

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