新型コロナウイルスのワクチンを接種する日も近いかもしれない。しかし、ワクチンを接種した後も、マスク着用やソーシャルディスタンスは守ったほうが良さそう。米国立アレルギー・感染症研究所の所長であるアンソニー・ファウチ医師が呼びかけた。(フロントロウ編集部)

イギリスで接種開始の新型コロナウイルスのワクチン

 米製薬会社ファイザーとドイツの製薬会社ビオンテックが開発した新型コロナウイルスのワクチンがイギリスで接種開始となり、大きな注目を集めている。2021年の世界を襲った新型コロナウイルスのワクチンは、そのほかにもアメリカのモデルナ、イギリスのアストラゼネカやオックスフォード大学などが開発に尽力している。

 ファイザーとビオンテックによるワクチンは90%以上効果的という結果、モデルナのワクチンは94%以上効果的という結果が出ており、これは最終的な分析結果ではなく、現時点でのワクチン接種は希望しない人も少なくないけれど、開発においては希望の光と捉える人は多い。

ワクチン接種後もマスクは着けたほうが良い

 しかしワクチン接種が現実味を帯びてきたことで、今一度、感染拡大を防ぐ行動を呼びかける声がある。米国立アレルギー・感染症研究所の所長であるアンソニー・ファウチ医師は、11月の一般教書演説で、「90%以上有効なワクチンともなれば、当然、(ウイルスにはかからないという)自信をさらに得ることになると思います。しかし、ワクチンをしたからと言って安全のための行動を止めることはないよう推奨します」と呼びかけている。

画像: ワクチン接種後もマスクは着けたほうが良い

 その理由の1つはもちろん、ワクチンは100%有効ではないから。自分が残りの5%や10%に入るかどうかは分からないと、ファウチ医師は指摘する。そしてさらに、ワクチンが効き始めるまでの時間も懸念点だそうで、その期間は1ヵ月、もしくはそれ以上の時間がかかる可能性があるとした。

 また、ファイザーとビオンテックによるワクチンとモデルナのワクチンは伝えられている有効性に達するためには2度の接種が必要であり、ファイザーのものは、1度目の接種後の効果は50%前後。その状態で、2度目の接種をするまで3週間開けなくてはいけない。

 そしてもちろん、ワクチンによって自分は重症化しなくても、他人に移す可能性が残るという危険性もある。ワシントン大学の免疫学者であるマリオン・ペッパー医師は、「ウイルスが複製されるのが早いか、免疫システムがコントロールするようになるのが早いかですからね。これは非常に重要な疑問点です」と、米The New York Timesに話した。

 マスク着用やソーシャルディスタンス、人混みを避け、手洗いうがいをすること。これらが健康の害になることはない。ワクチンを接種できるようになった後も、これらの行動は続けるのが良さそう。(フロントロウ編集部)

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