チェスがテーマのNetflixオリジナルドラマ『クイーンズ・ギャンビット』は、アメリカ本国でチェスブームを巻き起こすほどの大人気を博している一方で、オンラインのチェスサイトに深刻な悪影響を与えているという。(フロントロウ編集部)

チェスの天才少女の人生を描く『クイーンズ・ギャンビット』

 ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』は、映画『ミスター・ガラス』や『ニュー・ミュータンツ』などに出演し脚光を浴びているアニャ・テイラー=ジョイが主演を務めるNetflixオリジナル作品。

 原作は、1983年に発表されたウォルター・テヴィスによる同名小説で、米ソ冷戦時代を舞台に、主人公のベスが薬物やアルコール依存に悩まされながらも、チェスの最高位、グランドマスターを目指すというもの。

 Netflixで10月23日に世界配信された同作は、わずか28日間に6,200万家庭で視聴されており、1シーズンでストーリーが完結するリミテッドシリーズのドラマとして史上最高の視聴回数を記録。米辛口批評サイトのRotten Tomatoesでは99%のスコアを記録しているだけでなく、原作小説は37年ぶりに米ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーランキング入りを果たした。

 米玩具メーカーのGoliath Gamesによると、同番組の配信開始からチェス盤の売り上げが170%アップ。米オンラインオークション大手のeBayでも、チェス盤の取引が215%アップしているそう。

 そんな社会現象的大ブームを巻き起こしている『クイーンズ・ギャンビット』だけれど、実は一部のプレイヤーに深刻な悪影響を及ぼしている。

オンラインチェスサイト、崩壊の危機

 悪影響を受けているのは、米オンラインチェスサイトのChess.com。米Wall Street Journalの報告によると、4,000万人もの登録者を誇る同サイトは、『クイーンズ・ギャンビット』の配信以降、不正行為が急増し、11月の間だけでも18,511ものアカウントに対して閉鎖の措置を行なったという。

画像: オンラインチェスサイト、崩壊の危機

 もちろん、『クイーンズ・ギャンビット』はイカサマのストーリーではなく、オンラインチェスの利用者が『クイーンズ・ギャンビット』の影響を受けて不正行為をし始めたと簡単に結論づけることはできない。しかし、ドラマの放送が始まってから不正行為が急増していることを考えると、何か関連がある可能性は極めて高い。

 Chess.comの事業開発ディレクターであるニックバートンは米Business Insiderに向けて、今回の騒動について「ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』がリリースされて以来、Chess.comでチェスへの情熱を発見した新しいプレイヤーの最近の波は、私たちにとって本当に屈辱的なものだった」とコメント。そして、「私たちは、Chess.comがあらゆるレベルのプレイヤーにとって、チェスをプレイし、学ぶための最高の目的地であり続けることを保証するために、フェアプレー技術を進化させていく」と、不正行為と戦うことを示した。

 ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』はNetflixにて配信中。この作品を見てチェスを始める人は、フェアプレーを心がけて。(フロントロウ編集部)

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