ドラマ『glee/グリー』で、ブリトニーを演じたヘザー・モリスが亡くなった共演者の1人を愚弄するような行動に出たファンを批判した。(フロントロウ編集部)

メインキャスト3人がこの世を去った『glee/グリー』

 2009年5月から2015年3月にかけて全121話が放送された学園ミュージカルドラマ『glee/グリー』(以下『グリー』)は、エミー賞やゴールデン・グローブ賞など、数々の賞を受賞し、放送終了から5年以上が経過した現在も世界中に根強いファンを持つ。

 数々のスターを輩出し、ショービズ界の歴史に名を遺す作品となった同作だけど、輝かしい功績や人々に笑顔と希望を届けるキラキラとしたイメージとは裏腹に、これまでにメインキャラクターを演じた3人の役者たちが、若くしてこの世を去っている。

画像: メインキャスト3人がこの世を去った『glee/グリー』

 放送中の2013年7月には、フィン役で出演していた俳優のコリー・モンティスが薬物の過剰摂取が原因で死去(享年31歳)。2018年1月には、パック役のマーク・サリングが自殺(享年35歳)。そして、2020年7月には、サンタナ役のナヤ・リヴェラが4歳の長男ジョージ―君と出かけたロサンゼルス郊外のピルー湖で水難事故に遭い、遺体となって発見された(享年33歳)。

画像: 左から:コリー・モンティス、マーク・サリング、ナヤ・リヴぇラ

左から:コリー・モンティス、マーク・サリング、ナヤ・リヴぇラ

 遺された『グリー』のキャストたちは、各々の方法で、かつての仲間たちの死と向き合っているが、先日、ブリトニーを演じたヘザー・モリスが、マークの死を軽視するようなSNS投稿を行なったファンに対して噛みつく場面があった。


マークに対する「侮辱」

 ことの発端となったのは、アーティを演じたケヴィン・マクへイルが、クリスマス・エピソード『メリー・グリー・クリスマス』の放送から10周年を迎えたことを祝福するファンのツイートを引用したこと。

 シーズン2の10話として放送された同エピソードを振り返った投稿には、いくつかの場面写真が添えられていたが、その中の1枚で、マークが演じたパックの顔が「嘔吐している顔」の絵文字スタンプで隠されていた。

 マークは、2015年に児童ポルノ所有で逮捕。自宅からは5万点以上の未成年や子供のわいせつ画像等が押収され、2017年に有罪判決を受けた。

 最高20年間の禁固刑を受ける可能性に直面したが、容疑を認めてカリフォルニア州地区検事と司法取引したことで、最高7年の刑期に留まった。性犯罪者として登録され、20年間の保護観察処分と18歳未満に対する接触の制限を科されたマークは、判決を受けた数週間後の2018年1月に、自宅近くの林で自ら命を絶った。

画像: 2017年12月、弁護チームとともに裁判所に到着したマーク。

2017年12月、弁護チームとともに裁判所に到着したマーク。

 遺書は残されていなかったが、司法解剖の結果、両手に2.5cmと6.5cmの切り傷があったことからマークが生前から自殺を図っていたことが分かっており、精神的にかなり追い詰められていたものとみられる。

 自殺という、いたたまれない最期を迎えたが、「小児性愛者」の烙印を押されたマークに対して、今もなお嫌悪感を抱く人がいることは事実。しかし、だからと言って、彼の死を愚弄していいわけではないと、ヘザーはケヴィンの投稿に「マークの顔に『嘔吐している顔』を乗せるなんて侮辱的」とコメントした。


「無かった事」にするのはツラい

 ヘザーの意見に共感するファンもいれば、やはりマークのした事を許せず、彼を擁護するような発言をしたヘザーを非難する人もいた。

画像: 「無かった事」にするのはツラい

 これを受け、ツイッターで連続投稿を行なったヘザーは、『グリー』の仲間を3人も失った悲しみを吐露しながら、そのうちの1人であるマークの死だけ、彼が罪を犯したとされる人物だからといって、まるで“無かった事”のように扱わなければならないことは辛すぎると綴った。

 以下、ヘザーのツイートをフロントロウが全文訳。

「何かを正当化する必要性は感じない。だって、口にしないほうがいいことだってあるから。みんな、たくさん言いたいことがあるんだよね。わかるよ。許せないことだってある。でも、私たちの多くにとって、今年のホリデーシーズンは、信じられないくらいツラいもの。

 私たち(『グリー』のキャスト)は、2人じゃなく、3人の仲間を失った。3人目(マーク)の死について、まるで無かった事のようなフリをしなくちゃいけないのは、本当にすごくツラいよ。彼がした事は、不当なことかもしれないけど、彼は私たちのファミリーの一員だった時期もある。それに、彼は精神的に病んでいた。小児性愛は病気だよ。でも…。

 これ以上いろいろ言いたくないけど、これが私の素直な気持ち。『グリー』の仲間たちがみんないなくなってしまったことを悲しみ、毎日泣き腫らしている私に対して、無礼で不親切な扱いをしてくれた人たち、どうもありがとう」

 最後の一文は、もちろん、自身の発言を批判し、マークを侮辱する人たちへの嫌味。

 ヘザーは、マークが亡くなった約1カ月後、詩人ロバート・M・ドレイクによる「いつかあなたは、あなたの悪魔と和解し、混沌とした心には平静が訪れるだろう。そして、きっと、生まれて初めて、人生があなたに微笑み返し、帰るべき場所へと招き入れてくれるだろう」という言葉をインスタグラムに投稿。そこには、マークの名前のハッシュタグと「割れたハート」の絵文字が添えられていた。

 当時はキャストたちの間で追悼コメントを自粛する動きがみられたものの、ヘザー以外には、シュースター先生役のマシュー・モリソンやメルセデス役のアンバー・ライリーも、静かにマークを追悼していた。(フロントロウ編集部)

※ナヤ・リヴェラが演じた役の名称に誤植があったため修正しました。

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