マライア・キャリーが「クリスマスの女王」へと成長した理由に涙が出そう

「クリスマスの女王」マライア・キャリー

　2020年も全米・全英シングルチャートの1位に輝いた「恋人たちのクリスマス」に代表されるクリスマスソングをいくつも世に送り出し、唯一無二の“クリスマスの女王”として親しまれるシンガーのマライア・キャリー。

　“ビジネス”ではなく、クリスマスが心底大好きで、今年は、クリスマスの2つ前のビッグイベント（※）であるハロウィン（10月31日）が終わると、そそくさと「クリスマスシーズンの到来」を世界中のファンに高らかにお知らせするほど楽しみにしていたマライアだけれど、彼女がそこまでクリスマスに強いこだわりを持つようになった背景には、悲しい事実が隠されていた。

※1つ前は11月26日のサンクスギビングデー（感謝祭）

壮絶な幼少時代　現在も残る兄姉との確執

　記憶もおぼろげな3歳の頃に両親が離婚し、母親しか知らずに育ったマライア。血のつながらない兄と姉はいたものの、だいぶ年が離れており、さらに彼らはかなり荒んだ生活を送っていたため、家族の温かさをほとんど知らずに育った。

　12歳の頃には、姉のアリソンから精神安定剤を盛られ、コカインの摂取を促された挙句、火傷を負わされ、危うく売春をさせられそうになったことや、兄モーガンによる家庭内暴力が絶えなかったと2020年9月に発売した自叙伝『The Meaning of Mariah Carey（ザ・ミーニング・オブ・マライア・キャリー）』で綴っている。

　歌姫としてブレイクした後も、自身をまるで「ATMのように扱った」という兄姉とは、現在も絶縁状態のマライア。姉アリソンが2016年に売春容疑で逮捕された際にも断固として助けず、もともとドラッグやアルコールの問題を抱えるアリソンが、2019年に母親のパトリシアが「私が10歳の時、見知らぬ男性たちが私に性的な行為をするよう仕向けた」、「夜中に開かれる悪魔崇拝の集会の中で、大人たちが大人と子供の両方と性的行為に及ぶ様子を強制的に見せられた」などとして訴えを起こした際にも、マライアはノーコメントを貫いた。

　兄モーガンは、マライアが自叙伝で綴った内容は事実ではないとして、「（マライアは）精神的に錯乱している」「嘘八百」だと、損害賠償を求めてマライアを訴える構えを見せていると英TheSunが伝えている。

クリスマスへの強い憧れ

　母パトリシアとは仲が良かったマライアだけど、“毒姉＆毒兄”と称する兄姉との暮らしのなかでは、楽しいクリスマスを過ごせた試しがなかった。

　米ELLEのクリスマス特集号でロングインタビューに応じたマライアは、幼い頃から幸せなクリスマスに憧れを持っていたものの、それが叶わなかった反動で、大人になった今、最高のクリスマスを過ごすことに強い執念を持っているとこう明かした。

　過去のインタビューでも、何度かこの件に言及し、貧しい家庭だったため、よその家のような豪華なクリスマスを過ごした事はないとも語っていたマライア。

　しかし、彼女は、そんな悲しみや羨望、悔しさといったネガティブな思いをバネにして、「自分が思い描くクリスマスを自分で作るんだ」と心に誓ったという。

そして「クリスマスの女王」へ

　23歳の若さで、当時ソニー・ミュージックの社長だった21歳のトミー・モトーラと結婚したものの、彼の異常なまでの束縛や監視、暴力的行為に耐えかねて夫婦生活5年で離婚したマライアは、これを機に一念発起して、幼い頃に夢見た幸せなクリスマスの実現を目指して始動した。

　イントロを聴くだけで、子供から大人まで、みんな心がワクワクしてしまうようなクリスマスシーズンの到来を告げる風物詩となった「恋人たちのクリスマス」は、2019年にリリースから25年の時を経て、初めてビルボードのシングルチャートHot100で1位を獲得。2020年は、イギリスの全英シングルチャートでも1位を獲得した。

　2020年は新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、残念ながら、恒例のクリスマス・コンサートは行えず。

　その代わり、マライアは、シンガーのアリアナ・グランデやジェニファー・ハドソン、ラッパーのスヌープ・ドッグやコメディ俳優のティファニー・ハディッシュ、バレリーナのミスティ・コープランドといった多彩なゲストを迎えたスペシャル番組『マライア・キャリー：マジカル クリスマススペシャル』を制作。Apple TV+で配信されている同スペシャルには、マライアが溺愛する双子の娘モンローと息子モロッカンも参加している。

（フロントロウ編集部）