リドリー・スコット監督によるSFホラー映画『エイリアン』は、大ヒットしたにもかかわらず続編ではジェームズ・キャメロン監督と交代になった。その理由はなぜ?(フロントロウ編集部)

SFホラーの傑作映画『エイリアン』

 映画『エイリアン』は1979年に公開されたSFホラー映画。謎の地球外生命体が宇宙船に入り込み、船員たちが恐怖に陥れられていく姿を描き、アカデミー賞を含む様々な賞を受賞した。

 キャストには、シガニー・ウィーバー、トム・スケリット、ヴェロニカ・カートライトなどが参加。シガニーは本作で一気にスターダムを駆け上り、人気俳優となった。

 映画『エイリアン』は興行的にも大きな成功を収め、映画だけでなく、小説、漫画、ゲームを含むさまざまな作品となり、現在でも多くのファンに愛されている。

 そんな本作は、大ヒットにもかかわらずある理由のために『エイリアン』とその続編『エイリアン2』の間に7年もの期間があき、さらに監督もリドリー・スコットからジェームズ・キャメロンに変わってしまった。

『エイリアン』の続編まで7年かかった理由

 米Varietyによると、リドリー監督は『エイリアン』の監督の4番目の候補だったという。そして映画スタジオはリドリー監督が1977年に制作した映画『デュエリスト/決闘者』でカンヌ国際映画祭で新人監督賞を獲得したことから、彼を『エイリアン』の監督に選んだ。

画像: シガニー・ウィーバー(左)、リドリー・スコット(右)

シガニー・ウィーバー(左)、リドリー・スコット(右)

 結果は大成功。プロデューサーのデヴィッド・ガイラーは、1979年にすでに映画『エイリアン』の続編を作るという計画を持っていたという。さらに、当時映画会社フォックスの社長だったアラン・ラッド・ジュニアもその計画に完全に乗っていた。

 ところがその年デヴィッドは会社を去ることとなり、フォックスも1981年に投資家のマーク・リッチとマーヴィン・デイビスに会社を売却。新しい経営陣は、劇場の利益率が非常に大きかったにもかかわらず、『エイリアン』の続編を作ることにあまり興味がなかったそう。

 さらに、デヴィッドと『エイリアン』の他のプロデューサー2人が、受け取るはずだったギャラが天引きされていたとフォックスを提訴。この訴訟は1983年まで続いたけれど、その年には、『エイリアン』の続編を進めようとするフォックスの新しい重役たちが現れた。

『エイリアン』の監督が変わった理由

 そんななか目をつけられたのが、1984年に公開された映画『ターミネーター』で大成功を収めたジェームズ・キャメロン監督。フォックスの重役であるラリー・ウィルソンは、キャメロン監督の『ターミネーター』の脚本に感銘を受け、彼に『エイリアン2』を依頼した。

画像: ジェームズ・キャメロン

ジェームズ・キャメロン

 その時のことについてリドリー監督は米THRのインタビューで「興味深いことに、僕は一度も『エイリアン2』の監督を頼まれなかったんだ」と話した。続けて、「たぶん、その時の僕はとても強情な男だったから、彼らは僕に戻ってきて欲しくなかったんだろうね。でも、その時も続編をやりたくない癖があったんだよ。だから(もし頼まれたとしても)絶対にやらなかっただろう」と言った。ところがこのインタビューより前の米THRのインタビューでは当時のことを「本当にがっかりだったよ」とも話していた。

 『エイリアン2』は前作を上回り、全世界で1億3,100万ドルの興行収入を記録し、アカデミー賞では7部門にノミネートされるという結果に。その後、デビッド・フィンチャー監督の『エイリアン3』をはじめとする『エイリアン』シリーズが数多く制作された。

 一方、リドリー監督は2020年9月の米Forbesのインタビューで『エイリアン』シリーズの映画を制作中であることをほのめかしている。今後の『エイリアン』シリーズの動きから目が離せない。(フロントロウ編集部)

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