Photo:Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中,ゲッティイメージズ,ニュースコム,©Netflix
海外で大フィーバー中のNetflixのオリジナルドラマ『ブリジャートン家』。摂生時代が舞台の同作で「有色人種が貴族を演じているのは違和感がある」との一部の人々からの難癖をキャストが一蹴した。(フロントロウ編集部)

世界中でファン急増中の新ドラマ『ブリジャートン家』

 Netflixで2020年のクリスマスから独占配信がスタートしたオリジナルドラマ『ブリジャートン家』は、19世紀初めのイギリス・ロンドンの社交界が舞台。

 摂政時代末期の貴族たちの胸を焦がすようなロマンスや華やかな日常、そしてその裏側の人間臭さを描いた新シリーズで、ナレーターとして“レディ・ホイッスルダウン”という名の謎のゴシップ・コラムニストが登場することから、2000年代に社会現象的ヒットを記録したドラマ『ゴシップガール』の“時代劇版”とも称されている。

 アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、イタリア、スペインほか欧米各国でドラマ部門の月間視聴回数1位を獲得し、配信開始から約1カ月での視聴世帯数が6300万を超えることが見込まれている『ブリジャートン家』。つい先日、シーズン2の制作が決定したことも正式発表された。


多様性に富んだキャスティングに注目

 『ブリジャートン家』の制作総指揮を務めるのは、原作である米作家ジュリア・クインによるロマンス小説シリーズ『ブリジャートン シリーズ』に惚れ込み、実写化に名乗り出たという敏腕ショーランナーのションダ・ライムズ。

 『グレイズ・アナトミー 』、『スキャンダル 託された秘密』、『殺人を無罪にする方法』といったヒットドラマの数々を世に送り出してきたションダは、スキャンダラスでセクシーで、社会派なメッセージも織り込んだ作風で知られるが、『ブリジャートン家』も、もちろん例外ではない。

 さらに、多様性を重視した作品づくりで知られるションダが総指揮をとる『ブリジャートン家』では、実際の摂政時代にはあり得なかった、黒人やアジア系といった有色人種たちがイギリス上流階級の貴族や王族として描かれる。

 シーズン1の主人公であるブリジャートン家の長女ダフネは白人俳優のフィービー・ディネヴァーが演じるのに対し、相手役となるもう1人の主人公のヘイスティング公爵ことサイモン・バセットを演じるのはジンバブエ出身の母を持つ黒人の血を引く俳優のレゲ=ジャン・ペイジ。

画像1: Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中

Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中

 摂政時代には、異人種間の恋愛や結婚は御法度だったはずだが、『ブリジャートン家』は、あえて人種を話題にすることなく、ただ純粋に惹かれ合う2人のロマンスを描いている。

 さらに、君主ジョージ3世の妻で社交界で大きな権力を握るシャーロット王妃役には、黒人やさまざまな人種の血を引くゴルダ・ローシュウェルがキャスティング。これは実在した人物であるシャーロット王妃が、複数の人種の血を引く人物だったことを踏まえたうえでのもの。

画像2: Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中

Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中

 彼女の背後に並ぶ侍女たちや取り巻きの人種も白人や黒人、アジア人とさまざまで、そのシーンだけ見ても、いかに『ブリジャートン家』がダイバーシティ(多様性)を重視した作品かどうかがわかる。


キャストが「してやったり」の反論

 しかし、これに関しては、配信開始前から「歴史と違いすぎ」、「無理やり多様性を出そうとしていて違和感がある」と一部で懐疑的な視線も。「有色人種が貴族として描かれる時代モノなど成功するはずがない」と決めつけ、辛らつな意見を述べる人たちもいた。

 ところが、フタを開けてみると、『ブリジャートン家』は、連日世界各国のメディアで取り上げられるほどの大ヒット。

 メインキャラクターの1人であるペネロピ・フェザリントンを演じる俳優の二コラ・コーグランが、同作の多様性の豊かさに難癖をつけていた人々に“してやったり”な反論を見せた。

画像3: Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中

Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中

 Netflixの公式メディア、Netflix Queueによる「『ブリジャートン家』の配信開始4週間での視聴世帯数が6300万件を超える見込み」とのツイートを引用した二コラは、「『多様性に富んだ時代劇ドラマなんて成功するわけない』って言っている人たちがいたのは、みなさんもご存じだよね。…でも、6300万世帯はそうじゃないって思ってくれたみたいだよ」と皮肉を込めたドクロの絵文字を添えてコメント。

 さらに、「多様性が豊かだからって、IMDB(※)で一生懸命、“低評価”をしてた人たちもいたのを覚えてる?Netflixの歴代5位のオリジナルシリーズになったんだから、もう私たちを反対票で負かすことなんてできないよね」と続けた。

※インターネット・ムービー・データベース。映画、テレビ番組、俳優、映画、ビデオゲームに関する情報のオンラインデータベースで、一般視聴者による批評も公開している。

 また、ダフネ役のフィービーも英Gratziaとのインタビューで、キャラクターの人種についてキャスト同士で話題にしたことはあるものの「意図的という感じはしなかった」と、演じている側としては、ごく自然だったとコメント。「レゲよりもサイモンらしい人なんてほかにはいないもの。パーフェクトなキャスティングだと思う」と、公爵であるサイモン役にはレゲ以外の俳優は考えられないと擁護した。


原作者は多様性に富んだ配役に理解

 シーズン1の下敷きとなっているシリーズ第1作目の『恋のたくらみは公爵と(The Duke and I)』に始まる原作シリーズには、有色人種のキャラクターは登場しないが、原作者のクィン氏は、ドラマ版が多様性を意識した作品として昇華されたことに好意的。

画像4: Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中

Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中

 「私自身、ユダヤ系の人種なんですが、ある本を読んで登場人物たちの中に1人でもユダヤ系のキャラクターがいると『あ、私だ』と嬉しくなります。とてもパワフルなことですよね。だから、(多様性豊かな作品を作ることは)『みんなにとって必要なことなんだ』と推測できるようになりました」と、多くの現代人に共感してもらいたいからこそ、ドラマ版の配役には納得がいっていると米Peopleに語っている。

 人種問題について、劇中でまったく触れられていないのは、逆に不自然で問題なのではないかという意見もあるが、そんな世間からのフィードバックも踏まえて、『ブリジャートン家』のシーズン2以降には、もしかしたら何かしら人種にまつわるトピックが盛り込まれるかもしれない。(フロントロウ編集部)

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