『スター・ウォーズ』シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスが、自身が監督した新3部作について、誰も見たがっていないのは分かっていたと話した。それでも制作した理由とは?(フロントロウ編集部)

『スター・ウォーズ』の生みの親

 1977年に第1作目が公開され、SF映画の金字塔となった『スター・ウォーズ』シリーズは、巨匠ジョージ・ルーカスが生み出した。今では世界中で知らぬ人はいないと言っても過言ではないほどのシリーズとなった『スター・ウォーズ』だけれど、当初はまったく期待されていなかったことでも知られている。

 そのため、20世紀フォックスに提示された監督としてのギャラに納得がいかなかったルーカス監督は、監督としての取り分を50%受け取り、残りの半分は、マーチャンダイジング権で受け取った。その結果として、『スター・ウォーズ』のおもちゃやゲームなどのライセンス収入で莫大な財産を築き上げることとなり、監督はビジネスセンスを持つ人物としても有名になっている。

画像: 『スター・ウォーズ』シリーズのキャストとイベントに参加したジョージ・ルーカス監督(左から3番目)。

『スター・ウォーズ』シリーズのキャストとイベントに参加したジョージ・ルーカス監督(左から3番目)。

1作目と新3部作の監督はジョージ・ルーカス

 『スター・ウォーズ』旧3部作の成功でかなりの資産を持つこととなったルーカス監督だけれど、情熱が注がれる先はやっぱり映画制作。

 1作目の制作当時、監督の弁護士として働いていたトム・ポロック氏が米Deadlineのインタビューで、「私の顧客(ルーカス監督)が欲しかったのはお金ではなかった。映画を制作できる力だった」と言うように、監督はその後、旧3部作から16年後となる1999年から2005年にかけて、『スター・ウォーズ』新3部作を発表した。

 旧3部作で登場した映画史に残る悪役ダース・ベイダーとなる前のアナキン・スカイウォーカーが主人公となった前日譚は、これまた世界的大ヒットを記録。しかしその製作前には、作品の雰囲気が変わることや、ダース・ベイダーという闇の存在を1人の人間として描くことをファンは望んでないだろうと考えていたという。

画像: 1作目と新3部作の監督はジョージ・ルーカス

 先月発売された『スター・ウォーズ』の裏側に迫る本『The Star Wars Archives. 1999-2005』のなかで、ルーカス監督は当時を振り返ってこう語っている。

 「みんなが見たいダース・ベイダーは黒い服に身を包み、ライトセーバーを持った姿だと分かっていた。でも作品の全てのポイントは、“私たちと変わらず良い意思を持った、この優しく良い小さな子供が、どう間違った方向へ進んでダース・ベイダーとなるのか”ということだ。そして物語の2つ目のポイントは、“どう民主主義は独裁制へと変わるのか”ということ。
 ルーカスフィルムの社員には、誰も見たがっていない映画を私は作っているという現実を見なくてはならなくなると伝えた。でも私は物語を伝えたいと。私は、同じストーリーを何度も繰り返すようなシリーズをやるより、物語を伝えることに興味がある」

 子供でも楽しめる未来的な映像やストーリーの中に、政治的なテーマを組み込み、考えさせる。44年前に始まったシリーズが今もなお支持される理由には、ルーカス監督が作品に込めた思いがあるのだろう。

 そんなルーカス監督は、自身の映画制作会社ルーカスフィルムを2012年にディズニーに売却したため、2015年から2019年にかけて公開された続3部作にはかかわっていない。しかし、本『James Cameron’s Story of Science Fiction』のなかで、これまたSF映画の巨匠ジェームズ・キャメロン監督と対談した際に、自分が続3部作を制作していたとしたら『スター・ウォーズ/ファントム・メナス』で言及されたミディクロリアンについてだっただろうとしている。(フロントロウ編集部)

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