バレンタインは愛し合う2人だけのための日じゃない
アメリカのテネシー州にあるパワーズ法律事務所(The Powers Law Firm)が、2月14日のバレンタインデーに、パートナーとの別れを決意した人たちのなかから、1名限定で離婚弁護を無料で引き受けると発表して話題になっている。
“カップルの愛の誓いの日”と言われるバレンタインデーに、なぜ別れの手助けをすることにしたのか? 同事務所でパラリーガルとして働くティモシー・セクストンは、米CNNの取材に対し、「離婚をしたいと思っていても、経済的な理由で実行に移せないという方がたくさんいます。離婚にはお金がかかります。通常は1,150ドル(約12万円)からですが、みんながみんな払える金額ではありません」と言うと、「新型コロナウイルスの大流行やロックダウン(都市封鎖)、選挙期間中の国の分断に耐えたあと、何人かの人たちは限界に達したかもしれません。彼らには出口が必要です。私たちは彼らの人生を前進させる機会を提供したいのです」と、その理由を説明した。
バレンタインと離婚。一見相容れないが、かつて愛していた人と別れることでつかめる幸せもある。金銭的な事情で、離婚したくても離婚できないカップルの別れの手助けをすることで、「前に進んでほしい」という同事務所の思いになんだかグッとくる。
ちなみに、このキャンペーンの対象はテネシー在住者で、希望者はバレンタインデーの翌日である2月15日までに、離婚したい理由を事務所宛てにメールで送り、当選者には2月19日に直接連絡がいくことになっているという。
パワーズ法律事務所によると、離婚には双方の合意が必要で、子供の親権問題についてはほぼ関与しないとのこと。また、未成年の子供がいて離婚する場合に参加が義務付けられている、親のための教育プログラムの費用は今回のキャンペーンではカバーされないそう。
セクストン氏によると、収入が限られていたため離婚することができず、約20年間にわたって別居生活を送っていたという、障害のある老夫婦からすでにエントリーがあったそうで、「私たちのコミュニティは非常に結束が固く、それ故に、私たちは人々が苦しんでいるところを見たくありません。誰かを助けるためにできることがあるなら、喜んで引き受けます」と、さらなる申込みを呼びかけている。(フロントロウ編集部)