人気ブランドのヴェトモン(Vetements)が2021年秋冬コレクションを開催。「私たちが生きている地獄」というテーマも反映されたコレクションでは、165ルックが発表されたのだけれど、なかには物議を醸すアイテムもあった。(フロントロウ編集部)

ヴェトモンが最新コレクションを発表

 2021年―2022年秋冬コレクションのシーズンが到来。今年は昨年に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でコレクションは無観客のものが多く、それぞれのブランドがインスタグラムなどのソーシャルメディアを使って世界中にファッションショーを配信。

 これまで多くのブランドが最新コレクションを発表するなか、人気ブランドのヴェトモン(Vetements)は2021年秋冬コレクションの一部をインスタグラムの投稿で発表した。今回ヴェトモンが発表したのは165ルック。そのうちの66ルックは何かが爆発した地獄の空を表したかのような背景で、59ルックは自然豊かな滝に虹がかかっている背景、そして残りは雲の橋がかけられ天国に誘われるような背景と、3つの背景が混在している。

 なぜこの3つの背景を今回のコレクションに使用したのか。デザイナーだったデムナ・ヴァザリアの弟でブランドの最高経営責任者を務めるグラム・ヴァザリアは、冒頭部分のパートを「私たち全員が生きている地獄」を反映しているとし、「まず地獄があり、僕たちは地球と虹に行く。そしてそこには天国がある」とそれぞれのセクションに意味があることを米Vogueに明かした。

 今回もステイトメントTシャツをはじめ、ビッグシルエットのアイテムなどヴェトモンらしいアイテムが並んだのだけれど、グラムが「地獄」と表現したパートに物議を醸すものがあった。そのルックがこちら。

 オーソドックスなアイテムにブルーのペンキを飛ばしたようなスプラッシュプリントが印象的なアイテム。このブルーのペンキのようなものは、香港の民主化を求める人たちによって行なわれたデモで警官隊が青い染料の入った水を噴射したことに影響を受けているよう。青い染料の入った水は、刺すような痛みを伴う刺激物が入ったもので、抗議デモに参加した人を識別するために警官隊が噴射した。

画像: ヴェトモンが最新コレクションを発表

 ヴェトモンはこれまで、1982年にイスラエルがレバノンに侵攻した際にジャーナリストが着用していたTシャツのレプリカを発表して中東問題に焦点をあてるなど、現代の社会を風刺したデザインのアイテムを数々生み出しており、物議を醸すこともしばしば。そんなヴェトモンは今回、香港の民主化を求めるデモから影響を受けたアイテムを発表したけれど、このアイテムは賛否両論を呼んでいる。

賛否両論を呼んでいる理由とは?

 今回なぜヴェトモンが一部で非難されているかというと、香港でデモが行なわれていた当時、ヴェトモンは沈黙を貫いていたから。しかし今になり、香港の人々の人生を揺るがした事件を象徴する青いスプラッシュがデザインに使われ、そのアイテムを通してブランド側が利益を得ることに不快感を抱く人が続出している。

 しかしその一方で、もしこのコレクションの利益が香港の民主化デモで闘う人たちに寄付されるのであればいいのではないかという声や、香港の民主化デモがより一層注目されるのでいいのではないかという賛成の声もあがっている。

 社会的な問題をファッションに取り入れることが多い故、様々な意見が噴出するヴェトモン。今後ヴェトモンはどのような対応を取るのか。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.