そもそも「コラーゲン」とは?
コラーゲンとは、私たちの身体を構成する「たんぱく質」の1つで、肌にハリや弾力を与えるだけでなく、骨、筋肉、靭帯、髪、爪など全身の組織を支える重要な要素。
基本的に身体のなかで自然に生成されるけれど、20代前半をピークに減少が始まり、40代にはピーク時の50%、60代には30%にまで減少するとされている。
そのため、食事やサプリメントからコラーゲンを摂取したり、コラーゲン配合の化粧品を使ったりすることで、不足しがちなタンパク質を補うことが多い。
そんな美容や健康に欠かせないコラーゲンだけれど、これらの製品は、一般的に「動物由来」や「魚由来」のコラーゲンが使用されており、ベジタリアン(菜食主義)やヴィーガン(完全菜食主義)、食物アレルギーを持つ人たちにとって悩みの種でもあった。
そんななか、海外で新たに誕生したのが「ヴィーガン・コラーゲン(Vegan Collagen)」。動物由来成分を一切使わない“新たなコラーゲン”として注目を集めている。
美しさも優しさも叶える「ヴィーガン・コラーゲン」
ヴィーガン・コラーゲンとは、簡単にいえば、遺伝子組み換え酵母と微生物によって作られたコラーゲンのこと。
ニューヨークの皮膚科専門医アマンダ・ドイル医師は「コラーゲンを産生するヒトの遺伝子を微生物の遺伝子構造に加えることで、酵母や微生物がコラーゲンを生成。そこに、ペプシンと呼ばれる消化酵素を加えることで、ヒトのコラーゲンとまったく同じ構造をもつコラーゲン分子ができる」と米Covetureで説明。
現在は、スキンケア製品にのみ使用され、摂取物としては使用されていないという。
どんな美肌効果はあるの?
では、ヴィーガン・コラーゲンには、一体どんな美肌効果があるのだろうか。
ニューヨークの皮膚科専門医アマンダ・ドイル医師によると、一般的な動物由来のコラーゲンは保湿力に優れており、乾燥による小ジワを目立たなくするなどの美肌効果は期待できるという。
そして、非常に似た構造を持つ「ヴィーガン・コラーゲン」も、これらと同様の美肌効果が期待できるとのこと。ビバリーヒルズの皮膚科医であるアヴァ・シャンバン医師は「コラーゲンは(肌の奥まで)浸透しないけれど、(動物由来と)同様の保湿効果はある」と話している。
ヴィーガン・コラーゲンを使用するメリット
ヴィーガン・コラーゲンはまだまだ知名度が低く、生産にコストがかかるため、値段も高くなってしまう傾向にある。
しかし、ドイル医師は「植物由来の製品のほうが環境に優しい傾向があるし、クリームやサプリメントを作るために動物に危害を加えなかったことを知っているというだけで、気持ちよく使えるもの」とコメント。
また、動物や環境にやさしいこと以外にも、アレルギーの原因を減らすことも期待されている。
たとえば、動物由来のコラーゲンには、食物アレルギーなどの潜在的なリスクが懸念されているけれど、微生物を介したコラーゲンは、これらのアレルゲンやその他の有害物質を除去できる環境で生産されるため、これらのアレルギー反応を減らすことができるとドイル医師は言う。
今後、さらなる人気が予想されるヴィーガン・コラーゲン。化粧品化学者でコスメ製造会社Freelance Formulationsの創業者であるヴァネッサ・トーマス氏も「この成分が気軽に手に入るようになれば、このトレンドは間違いなく大きなものになるだろうし、実際にヴィーガン向けコラーゲン市場は高い成長率を示している」とコメント。日本でもヴィーガン・コラーゲンが製品化される日は近いかも。(フロントロウ編集部)