『エターナルズ』を担当したクロエ・ジャオ監督による『ノマドランド』には、『アベンジャーズ』が映っている。その意図とは?(フロントロウ編集部)

才能が高く評価されているクロエ・ジャオ監督

 クロエ・ジャオ監督が、各映画祭を席巻している。日本では2021年3月26日に公開予定の映画『ノマドランド』は、現代の遊牧民である“ノマド”を描いた作品。先日開催された第78回ゴールデン・グローブ賞では、女性監督の作品として初めて映画の部ドラマ部門で作品賞を受賞し、ジャオ監督自身も監督賞に輝いた。

 そんなジャオ監督は、2021年11月に全米公開予定のマーベル映画『エターナルズ』でもメガホンを取った。『エターナルズ』はフェーズ4の作品であり、アンジェリーナ・ジョリーがついにMCU入りしたことでも注目を集めている。

画像: コミコンに登場したアンジェリーナ・ジョリー。

コミコンに登場したアンジェリーナ・ジョリー。

『ノマドランド』における『アベンジャーズ』のシーン

 そして『ノマドランド』には、ジャオ監督とMCUの関わりを匂わせる要素が入れられていたのではないかと予想されたことがあった。2020年トロント国際映画祭で『ノマドランド』を鑑賞した米Fandangoのエディターであるエリック・デイヴィスは、当時、こうツイートしていた。

 「『ノマドランド』にはマーベルのちょっとした引用と見られるところがあった。マクドーマンドのキャラクターが、鮮やかで美しいテントを持って映画館の近くを歩いているシーンで、1つの映画が上映されていた。『アベンジャーズ』だ。カメラはテントを長く映し、そして次へいった。ジャオの次の旅への合図?」

 フランシス・マクドーマンドが主人公のファーンを演じ、現代社会における1つの生き方を描いた『ノマドランド』という作品に、まったく異なる作風の『アベンジャーズ』が使用されたことで、『ノマドランド』、ジャオ監督、MCUの繋がりを感じたファンは多かった。

 しかしジャオ監督の意図は別のところにあったよう。米Fandangoのインタビューで、監督はそのシーンの理由について語った。

 「テントには、私たちがいた時期、つまり2011年後半から2012年を表す何かを入れようと思っていた。何が1番ヒットしていた映画?『アベンジャーズ』だった。それが私のMCUへの関心が始まった時だったし、それは、私たちには馴染みのある世界から、ファーンがどれだけ離れているかを見せるものでもあった」

 2008年にリーマンショックが起こり、世界的な経済危機が発生。それによってノマドとなったファーンの生きる世界は、当時、『アベンジャーズ』に夢中になれていた世界とはまったく異なる。一方で、それほど『アベンジャーズ』は大ヒットしたともいえる。

 そこにジャオ監督の個人的な意図はなかったようだけれど、その要素が映画に良い効果をもたらしたことは確か。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.