サステナブルなキーワード「ウォーターレス・ビューティ」
再生可能な容器を使ったコスメや、フェアトレードで原料を調達したコスメなど、美容業界でも環境や社会に配慮したサステナブルな取り組みが広まるなか、新たに海外で注目されているキーワードが、水資源の保護を掲げる「ウォーターレス・ビューティ」。
ウォーターレス・ビューティとは、美容製品の原材料や製造のために膨大に使用されている水の消費を減らそうというムーブメントのこと。日常的に使っているシャンプーやボディソープをはじめ、スキンケア製品やコスメなどあらゆる製品は、水が主成分となっており、その製造の過程にもたくさんの水が使われている。
蛇口をひねるだけで当たり前のように水が出る環境で生活していると忘れてしまいがちだけれど、水は決して無限の資源ではない。
国連の発表によると、人口の増加や経済の発展、個々の消費量の増加により世界の水需要は年々増加しているものの、気候変動によってその供給量は減少しつつあるため、消費量が供給量を上回っているという。そのため、すでに世界の人口の約3分の2もの人が、1年のうち少なくとも1ヶ月間は水不足を経験しており、その数は今後も増える見込みだという。
この貴重な水資源を大切にするため、近年海外では、専門のブランドが誕生するなど多くのブランドがウォーターレス・ビューティの取り組みをスタート。米大手スーパーマーケットの「ホールフーズ(Whole Foods)」が、2021年の美容トレンドとして予想するなど注目度が高まっている。
固形コスメとパウダーコスメがとくに人気
ウォーターレス・ビューティを掲げた美容製品には、さまざまなアイテムがあるけれど、とくに海外で注目されているのが、パウダータイプや固形タイプの美容製品。
液体が主流であるシャンプーを固形にしたものや、化粧水などのスキンケア製品やデンタルケア製品をパウダー状にしたものが急激に増えていて、サステナブルな製品の購入を意識している多くのユーザーから人気を集めている。
肌にも嬉しいメリットがある
固形やパウダー状になっている原材料に水を含まない製品には、肌に与える刺激が少ないというメリットもある。
その理由について固形シャンプーをはじめ、サステナブルな製品を数多く販売するブランドであるEthique(エティーク)の創設者であるブリアン・ウエスト氏は、「ウォーターレス・ビューティ製品は、水を含まないことで防腐剤を入れる必要がなくなるため、肌に与える刺激が少なくなる」と英Glamourで説明。環境に配慮しながらも、肌に負担をかけない低刺激なケアを取り入れることができるという。
またウェスト氏は、水を原料としないことで製品がはるかに軽量になるため、輸送の際に排出されるCO2の大幅な削減が見込めると話した。
海外で注目を集めるサステナブルなキーワード「ウォーターレス・ビューティ」。これからどのようなムーブメントに育っていくのかに期待。(フロントロウ編集部)